世界一のファンダメンタル投資家、ウォーレン・バフェットの投資術に学ぶ

世界一のファンダメンタル投資家、ウォーレン・バフェットの投資術に学ぶ

半世紀以上にわたって、年間平均20%以上という驚異的な投資効率で運用を続けているのがウォーレン・バフェットです。1981年、世界富豪ランキングベスト10の5位に初登場。それ以来、30年以上連続エントリーしている“スーパー投資家”の手法は、私たちが投資を考えるうえでも大いに参考になるはずです。 

人類史上一番成功した投資家とさえ言われるウォーレン・バフェット。なにか魔法のような投資の秘訣を駆使しているようにも思われるかもしれませんが、実際のところを知れば、そんな期待は肩すかしに終わってしまいます。ウォーレン・バフェットが自ら公言し、かつ実践している投資手法の基本は、あまりにも当たり前すぎるものばかりだからです。 

「誠実で有能な経営陣が率いる優れた企業を見つけ、その内在価値より安い価格で株を購入する。そして、永久に保有すればよいのです」(『新版 バフェットの投資原則』ジャネット・ロウ/ダイヤモンド社より)

この発言こそ、バフェット流投資における基本を物語るものと言えます。もう少し分かりやすくするために、発言の内容を切り分けてみると3つの要素が現れます。 

バフェット流投資の基本1

まず、企業を率いる人間です。優秀な経営陣であれば、その企業が高い事業成績を上げる可能性が大きくなるのは当然と言えます。ただし、ウォーレン・バフェットはそこにプラスアルファを求めます。

優秀であることに加え、仕事と社会に対して誠実であることを、伸びる企業の条件に挙げているのです。もちろん、それだけで投資が成功するとは限りません。 

バフェット流投資の基本2

そこで、2番目の条件。投資対象の企業が本来持っている価値に比べて、株価が安いということです。

通常、株価はさまざまな理由で変動し、高くなったり低くなったりします。ただ、ウォーレン・バフェットが注目するのは、短期的な底値ではありません。企業価値が現状の株価以上である会社を洗い出し、同時にその企業のサービスが長期にわたって継続するものかどうかで投資を判断するのです。そんな企業を発見するための目が必要という意味では、たしかに誰にでもできることではありません。 

バフェット流投資の基本3

さらに決定的なのは、一度購入した株を長期保有するというポイントです。

長期投資は、分散投資と並んでよく知られた投資法で、投資の成功率を上げるための必須条件だと言われます。リスクのコントロールに効果的で、実際にその効果が大きいことも知られる手法です。ただし、ウォーレン・バフェットが「永久に保有すればよい」と言うとき、それは一般的な意味とは少し異なります。

本来の価値以下の値段で買った、優秀で信頼できる=本当に優れた経営者の率いる企業の株であれば、長期的に保有すればその他の株式以上の値上がりが期待できるのが当然だ、というのが彼の長期投資をする理由になっています。 

成長

現在も会長・CEOを務めるバークシャー・ハサウェイを30代の頃から経営し、世界最大級の投資会社にまで育て上げたのがウォーレン・バフェットです。大富豪であるウォーレン・バフェットの個人資産の多くは同社の株式が占めています。 

では、バークシャー・ハサウェイとはどれほどすごい会社なのでしょう。

一般的に、経済成長とともに株式価値は増加するものです。実際、1965~2017年の間、アメリカを代表する株価指数の1つS&P500【*1】の平均成長率は9.9%、資産総額は約155倍になりました。ところが同じ時期のバークシャー・ハサウェイは平均成長率19.1%、純資産額はなんと1万2000倍近くにまでなっているのです。 

これがバフェット流投資の実力です。投資は勝つこともあり負けることもあるのが当然。ところがバークシャー・ハサウェイの年間パフォーマンスがマイナスだったのは、半世紀を超える歴史のなかでもわずか2回、2001年と2008年だけに過ぎません。 

バークシャー・ハサウェイを通じたバフェット流投資は、投資対象を確実にウォッチできる範囲に絞った集中投資といえます。過度な分散投資は、投資先の実情をしっかり把握するという彼の基本方針から外れるからです。 

2019年第3四半期時点で同社が保有する株式のベスト10は次のようなものでした。
※投資先企業名/ティッカー/ポートフォリオ内比率(2019年9月) 

①  アップル(AAPL)25.96%
GAFA【*2】の一角を占めるIT大手。「iPhone」「iPad」「Mac」などのIT機器のデザイン・製造・販売と「iOS」「iCloud」「Apple Pay」などを展開。 

②  バンク・オブ・アメリカ(BAC)12.60%
アメリカと世界40以上の国や地域で事業展開する銀行・金融持株会社。預金、貸付、クレジットカードや証券、保険などの販売、企業・機関向けサービスも提供。 

③  コカ・コーラ(KO)10.14%
世界最大の飲料メーカー。「コカ・コーラ」をはじめ果汁飲料、紅茶、コーヒーなど500種類以上の多岐にわたるブランドを展開。 

④  ウェルズファーゴ(WFC)8.89%
アメリカの大手銀行持株会社。小口金融、商業銀行や企業向け銀行業務、各種ローンやリースに加え、トータルな金融サービスを全米で提供。 

⑤  アメリカン・エクスプレス(AXP)8.35%
銀行持株会社として、クレジットカード、法人向け銀行業務、プライベートバンキングなどの金融事業に加え、T&Eの旅行関連事業を手掛ける。 

⑥  クラフト・ハインツ(KHC)4.24%
主にアメリカとカナダで製造し世界市場に商品展開する加工食品メーカー大手。各種チーズや加工品、ケチャップ、調味料など多彩な商品を展開。 

⑦  U.S.バンコープ(USB)3.41%
銀行持株会社で、貸付、融資や信託管理、資産運用・管理などを個人、企業、政府機関に提供し、クレジットカードサービスや住宅ローン、保険販売などにも従事。 

⑧  JPモルガン・チェース(JPM)3.26%
アメリカの大手金融持株会社。米国23州での銀行業務、全国でのクレジットカードビジネスに加え投資銀行、債券・株式業務。世界60カ国以上での金融事業を展開。 

⑨  ムーディーズ(MCO)2.35%
世界的な信用格付会社。企業信用情報のリサーチ、データ、分析サービスに加え、社債、国債、コマーシャルペーパーなど信用格付情報全般を提供。 

⑩  デルタ(DAL)1.90%
アメリカの大手航空会社。自社と提携便によるネットワークは世界の約100カ国、約500都市に広がり、定期旅客便と貨物輸送サービスを展開。 

この10銘柄だけで投資総額の81.1%を占め、ベスト5では65.94%とさらに集中率が上昇します。セクター別では、投資業種は金融44.84%、テクノロジー29.08%、生活必需品15.27%、工業4.79%、一般消費財3.89%などという割合です。

ウォーレン・バフェット 

そんなウォーレン・バフェットの投資は「買うのは企業であって株ではない」。そして具体的な投資先の条件は、本人が何度も口にしています。 

  1. 事業内容が自分で理解できる。
  2. 強固なブランド力がある。
  3. 長期にわたっての安定した収益力。
  4. 信頼できる優れた経営陣。

という4つです。一方で、投資しない条件についても、 

  1. 変化の激しい業界には投資しない。

ということを挙げています。 

先に挙げたバフェット流投資の「基本1~3」とこの「5条件」のなかで、定量的にチェックできるのが「内在価値より安い価格」と「長期にわたっての安定した収益力」の2つです。それらを重視することから、ウォーレン・バフェットの投資法はファンダメンタル投資とされます。 

ファンダメンタル分析に利用される指標はいくつもありますが、企業価値が割安かどうかの判断に使われることが多いのは、PBR(株価純資産倍率)やPER(株価収益率)です。またROE(自己資本利益率)を組み合わせることで対象企業のプロフィールを深掘りすることが可能になります。実はその方法はウォーレン・バフェットが好んで利用するものでもあります。 

「ROEが15%以上ある限り、四半期の業績についてあれこれ心配する必要はない」(『新版 バフェットの投資原則』ジャネット・ロウ/ダイヤモンド社より)
というのは彼自身の言葉です。ウォーレン・バフェットを投資の道へ導いたとも言われるベンジャミン・グレアム【*3】はPBRとPER(株価収益率)を重視しました。それに対しウォーレン・バフェットは「企業の財産に注目するのがグレアム氏だが、私は企業が将来稼ぎ出す現金から割安かどうかを判断する」と話しています。
もし2人が挙げている指標を組み合わせるなら、ROEが15%以上であることに加え、PBR1.5倍以下、PER15倍以下という企業が投資すべき対象にあがってくることになります。 

※PBR、PER、ROEの各指標の意味や計算方法については、以下の記事でご説明しています。

「バリュー投資とは? 注目される株式投資の手法について解説」 

投資で実際に収益を上げ続けることの難しさは、投資家であるウォーレン・バフェット自身が一番よく知っています。だからこそ彼はバークシャー・ハサウェイの株主に向けた「株主への手紙」の2013年版で、個人投資家へ勧める投資の王道を次のように語りました。 

「S&P500に連動する低コストのインデックスファンドへの投資」 

世界一の投資家が勧める、個人投資家が投資するべき対象は、誰もが知っている平凡なインデックスファンドだったのです。皆さんはこの言葉をどう受け取りますか?

【*1】S&P500
米国の代表的な株価指数。ニューヨーク証券取引所、NYSE MKT、NASDAQに上場している銘柄のうち代表的な米国企業500銘柄の時価総額をもとに算出されるもの。機関投資家などに広く活用されている。同指数に連動するように設計されたファンド等の金融商品は日本国内でも多数販売されている。 

【*2】GAFA
コンピューターやソフトウェア、インターネットを活用し、巨大な影響力を持つ社会基盤となるサービスを世界的に展開するアメリカ企業であるグーグル、アマゾン、フェイスブック、アップルの4社を指す言葉。同4社の頭文字を取った造語。 

【*3】ベンジャミン・グレアム
米国の伝説的な投資家であり、経済学者。「バリュー投資の父」とも呼ばれ、著書には投資の古典として高く評価される『証券分析』『賢明なる投資家』がある。その投資哲学は教え子であるウォーレン・バフェットにも多大な影響を与えている。1976年没。 

文: みんなのマネープラン編集部
監修:大間 武(フィナンシャル・プランナー)

関連記事