自宅を担保に住みながら融資を受けるリバースモーゲージで安心のシニア生活を

自宅を担保に住みながら融資を受けるリバースモーゲージで安心のシニア生活を

老後の生活は、年金に加えて2,000万円も必要。そんな話題から多くの人が老後の生活への漠然とした不安を感じるようになってしまいました。しかし、同じく多くの人が資産として保有している自宅を利用すれば、そんな不安から自由になれる可能性が生まれます。それこそがここでご紹介するリバースモーゲージという金融手法です。 

「リバースモーゲージ」という言葉を聞いたことがない方もいるかも知れません。でも実はその仕組みや内容は、多くの人が知っていたり、経験したりしている住宅ローンに似たものです。 

仕組みを単純化して説明します。自分の持ち家(自宅)に住み続けることを条件に、その不動産を担保として金融機関から借入れし、最後には担保の不動産によって借入を返済するというのが、リバースモーゲージの基本です。

もちろん、同じリバースモーゲージでも金融機関によって、多少のバリエーションがあります。ここでは、馴染み深い住宅ローンとの大きなふたつの違いをご説明しましょう。
家を買うための住宅ローンと異なるのは、 

  1. まず、借入タイミングが一括ではなく通常は「月々」や「年ごと」となること。
  2. 次に、返済は毎月ではなく、不動産所有者が亡くなった後の一括返済となる、というところです。 

このような点から、リバースモーゲージは、現役引退後のシニア世代がセカンドライフの生活資金やその補助として利用することが多くなっています。ただし、借入れ用途は老後資金に限らず、自由というケースがほとんどです。 

「モーゲージ」というのは、英語で「抵当」や「貸付金」、「担保」などの意味で、多くは住まいなどの不動産を抵当にすることです。
「リバース」の意味は、「逆に」や「反対の」ということですから、住宅を担保にお金に換えていくローンということになります。 

日本で最初に導入されたのは、1981年の武蔵野市の公的プラン。その後、社会保障制度との併用効果などが注目され、2003年度以降は厚生労働省がサポートする形で全国都道府県の自治体、そして民間の金融機関や大手住宅会社が次々と独自のプランを展開するようになってきました。 

リバースモーゲージ

保有する不動産を利用する(居住)というメリットはそのままで、その価値を資金(お金)に換えていくリバースモーゲージですが、当然、そこには有利な点があり、同時に、気をつけたいリスクもあります。 

使いこなしたいメリット

リバースモーゲージにはいくつかのメリットがあります。そのなかでも最大の魅力は、なんといっても、自宅に住み続けながら融資を受けられることです。

通常、不動産を資金に換える場合は所有権を譲り渡さなければなりません。例外は住宅担保ローンなどですが、リバースモーゲージはそれとも違います。最初から自宅を融資返済に充てる契約でありながら、その融資返済のタイミングを、基本的に所有者が亡くなった後としているのです。

つまり、不動産資産はあっても生活資金が少ない場合などに大変役立つ仕組みといえます。利用するプランごとに異なりますが、融資で受けとる資金は一括受けとりと、年金のように毎月や年額で受けとる場合、あるいは融資設定額内で自由に引き出せるものなどに分かれます。 

2つめのメリットは、ほとんどの場合、資金用途に制限がないという点です。

生活資金用の限定型のほかに、自由型リバースモーゲージでは自宅のリフォームや高齢者施設への入居費用、旅行費用などにも利用できます。ただし、その際の金利などの条件や、そもそも自由型があるかどうかは、引き受ける行政機関や金融機関ごとに異なります。 

3つめのメリットは、契約のハードルが比較的低いこと。一般の住宅ローンなどでは契約可否の重要な条件となる収入要件が、リバースモーゲージでは緩やかになっています。基本的には担保となる住宅の資産価値が融資審査でのポイントになります。 

さらに、リバースモーゲージの大前提である、契約者が生存中は返済の必要がないという点もメリットです。契約プランによっては融資額の利息分返済という契約もありますが、基本は担保不動産所有者が亡くなった後の一括返済となり、それまでは返済の手当てに悩まされることはありません。 

気をつけたいリスク

メリットの多いリバースモーゲージですが、どんなケースでも必要な融資額が得られるというわけではありません。

1つめのリスクは、融資対象になる不動産に条件があるということです。基本的には対象になるのは一戸建て住宅で、マンションはすべてが対象となるわけではありません。これは、日本では不動産資産評価で建物の部分が評価される割合は少なく、大部分が土地の価値とされるのが理由です。また、同様の理由で、不動産の資産価値は地域によって大きな差があり、それに応じてリバースモーゲージにも地域の制限がある場合があります。 

融資額は、通常、一戸建てで評価額の7割程度、マンションでは5割程度とされます。そこで発生するのが、金利上昇や地価下落のリスクです。

長期にわたる融資ですから契約中に金利が変化します。利息分を含めた融資可能額は変わりませんから、もし金利が上昇すれば受取総額が低下します。また、不動産価格が低下すれば連動して融資可能額も低下してしまうので、その場合も受取総額が減ってしまう可能性が出てきます。 

第3のリスクは長生きリスクです。リバースモーゲージを生活費補填に利用していた場合、長生きによって融資総額が評価額に達してしまうと、その時点で融資受け取りが終了するので、生活費が足りなくなる恐れがあります。あるいは、融資期間が20年などの単位で決められている契約もあります。そのケースでもやはり融資受け取りがなくなってしまいます。 

相続に関連したリスクもあります。

日本では相続財産の大きな部分が不動産です。そこで、リバースモーゲージ契約には法定相続人の同意が条件となっている場合があります。あるいは、相続人がリバースモーゲージの契約者と同居していた場合には住む場所を失ってしまうことにもなりかねません。そこで、相続人が居住し続けるケースでは、契約者を引き継いでリバースモーゲージが継続する契約になっている商品も出てきました。 

事前チェックポイント 

こうしたメリットとデメリットがあるリバースモーゲージの契約を検討する際には、最低でも次のようなポイントを確認しておきたいものです。 

  1. 世帯構成員の年齢(公的機関によるものは高齢者世帯の生活支援が目的のため、65歳以上が対象となるのが一般的)
  2. 不動産の所有者
  3. 不動産の賃借権や抵当権の有無
  4. 不動産の評価額と融資希望額の概算
  5. 融資資金使用用途 

利用の流れ 

リバースモーゲージの契約から返済までの流れを見ていきましょう。 

  1. まず、取り扱い自治体や金融機関での相談。その際に、その取り扱い機関のリバースモーゲージ契約の内容が、希望のものと合致するかどうかの確認を行います。
  2. 次に、ローンの設定金額や融資形態などを確認した上で、申込みをします。融資を一括で受けとるのか、年金のように月ごとに受けとるのかといったことや、返済について満期や契約者死亡後の一括返済なのか、利息のみ定期的に返済するのかといった条件についても、申込み時に選択します。
  3. その上で、取り扱い機関による審査へ進みます。審査完了で実際の融資額が決まり、契約となります。
  4. 通常は融資開始後も1年に1度程度の面談や見直しが実施されることも多いです。
  5. そして最後に、契約終了(契約期間満了や契約者死亡)後の、融資総額と利息分合計額の返済です。 

シニアライフを左右する、年金を中心とした社会保障制度の将来に不透明感が漂っています。そんななか、多くの人にとって所有資産の大きな部分を占める不動産を、老後の生活に活用できるのがリバースモーゲージです。

ただし、そこにはメリットの大きさとともにリスクもあり、さらに個々の不動産によって利用できる条件も違います。自分の条件に当てはめて、具体的にどのようにメリットを活用できるのか(あるいは自分にとってはデメリットのほうが大きいか)を十分に考えて、これからの人生のプランニングに活かしてみてはいかがでしょうか。

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