ドル・コスト平均法とは? 由来やメリット・デメリット、“ナンピン買い”との違いを解説

ドル・コスト平均法とは? 由来やメリット・デメリット、“ナンピン買い”との違いを解説

預貯金の金利が0.1%を下回る状況が続く近年、政府は「貯蓄から資産形成へ」というスローガンを掲げ、少額からの積立・分散投資による資産形成を推奨しています。このような投資を行ううえで理解しておきたいのが、「ドル・コスト平均法」です。今回の記事では、ドル・コスト平均法の概要やメリット・デメリットに加え、その由来や「ナンピン買い」との違いを詳しく解説します。 

「ドル・コスト平均法」は英語の「Dollar-Cost Averaging」に由来し、金融庁は次のように定義しています。

『一度に多額の投資を行うのではなく、積立投資信託のように、少額・定期定額で投資を行うことで、時期による値動きに応じて、価格が高い時期には少なく、価格が低い時期には多く投資を行うのが「時間(時期)の分散」(ドル・コスト平均法)の手法』
出典:金融庁ホームページ 

ここでポイントとなるのは、「少額・定期定額で投資を行う」という点です。たとえば「毎月1万円分だけを株式に投資する」「毎月5,000円分だけを純金積立に投資する」といった投資をイメージしてください。投資を行う際には、いつ、いくら、何に対して投資を行うかを決める必要がありますが、こうした要素をあらかじめ決めたうえで、継続して投資を行うことがドル・コスト平均法の特徴です。 

それでは、次にドル・コスト平均法のメリットとデメリットを解説しましょう。

ドル・コスト平均法

税制面の優遇措置がある

近年注目されている、「個人型確定拠出年金(iDeCo)」や「つみたてNISA」は、少額・定期定額で投資信託を購入した場合に、税金面のメリットを受けられる制度です。ドル・コスト平均法を用いた投資を行うことで、運用益が非課税になるといった節税効果を期待できます。 

少額からはじめられる

ドル・コスト平均法を用いた積立投資を始める際、多額の資金をあらかじめ用意する必要はありません。たとえば、つみたてNISAの場合は月額100円から(購入する投資信託によって異なります)、iDeCoも月額5,000円からスタートできます。ご自身の余剰資金の中から、無理なく資産形成をはじめられるでしょう。 

購入する際の手間がかからない

投資を行うには、相場や為替変動を毎日チェックし、専門知識を駆使して購入のタイミングを見計らう必要があると思われるかもしれません。しかし、ドル・コスト平均法を用いた投資の場合、「毎月○日に、○という商品を購入」といったルールをあらかじめ設定するだけですから、投資のタイミングをその都度考える手間を省けます。 

購入価格を平準化できる

株式や投資信託など、投資をした金融商品は、日々値動きをするものです。そのため、購入するタイミングを見誤ると、価格が高いときに購入(高値づかみ)して、損をしてしまう可能性があります。 

しかし、ドル・コスト平均法は、少額・定期定額で投資を行うスタイルのため、購入する時間(時期)を分散できます。このことにより、価格が高いときに投資を行う時期もあれば、価格が低いときに投資を行う時期もあるため、長い目で見れば1回あたりの購入価格が平準化されていきます。 

この点を理解するため、具体的な数値をもとにシミュレーションしてみましょう。次の表は毎月5,000円分、ある投資信託を購入すると仮定したものです。

シミュレーション一覧表

このケースでは、1月に購入したときの価格が1口あたり10円で、12月には6円まで下落しています。1口あたりの価格だけを見ると、損をしたように思われるでしょう。しかし、結果的には、12月末時点の投資金額の合計額60,000円に対し、投資信託の総額は12,728口×6円=76,368円。つまり16,638円の利益が出ています。 

このような結果になったのは、ドル・コスト平均法を用いたことで、投資信託の価格が落ちた場合には多くの口数を購入し、逆に価格が高いときには少ない口数を購入しているからです。つまり、自動的に高値づかみを防ぐことができています。 

大幅な損失リスクの軽減

前述のとおり、購入価額の平準化により高値づかみを防ぐことができ、損失のリスクを軽減することができます。投資から得られた利益をさらに運用すると「複利」の効果により効率的に利益を増やすことができます。投資期間が長いほど複利効果も大きくなる傾向があるため、大幅な損失リスクを軽減でき、安定した収益が期待できます。 

下降相場に弱い

先述のとおり、ドル・コスト平均法を活用することで、一時的に投資をした株式や投資信託などの価格が落ちたとしても、長期的に見れば利益を期待できます。ただし、ドル・コスト平均法を用いれば必ず利益を得られるわけではありません。 

たとえば、積立投資をしている投資信託が、価格を下げ続け、その後相場が回復しなければ元本割れを起こす可能性もあります。ドル・コスト平均法は損失のリスクを抑える方法ではありますが、元本を保証するものではないことを念頭に置いておきましょう。 

購入のたびに手数料がかかる

どんな投資を選んだ場合でも、手数料の支払いは避けては通れません。ドル・コスト平均法は、1回あたりの購入金額は少額ながら、定期的に投資をするので、その都度手数料が発生します。 

ただし、中にはこうした手数料が不要な積立投資もあります。たとえば、販売手数料のかからない投資信託、いわゆる「ノーロードファンド」がその一つです。また、iDeCoを利用する際も、販売会社によりますが、条件によっては運営管理手数料が無料になるケースもありますので、各社の商品特徴や条件を比較してみてください。 

短期のハイリターンには適さない

ドル・コスト平均法は、少額でコツコツと長期で積立投資をする方法ですから、短期間で大きな利益を得たい人には向きません。 

たとえば、ある株式が1か月で3倍に値上がりしたとしましょう。この場合、値上がり前に、この株式を100万円分購入していた人は、値上がり後に売却すると200万円の利益を得ることができます。しかし、1万円の積立投資をしていた人は、売却しても利益は2万円にとどまります。 

アベレージダウン

ドル・コスト平均法に似た投資の手法として「ナンピン(難平)買い」が挙げられることがありますが、両者の特徴は大きく異なります。まず、ナンピン買いとは何でしょうか。 

『取引で、損失を平均化すること。買ったあとに相場が下落しても買い増して買値の平均を下げておき、逆に売ったあとに相場が騰貴したら売り増して売値の平均を上げておくことによって、損失を回復しようとすること。』
参照:コトバンク 

上記の解説からも分かるとおり、ナンピン買いは自分の判断で、売買のタイミングや投資額を判断する必要があり、その点でドル・コスト平均法とは根本的に異なります。 

投資手法を検討する際はそれぞれの特徴を正しく理解する必要があります。ここまで解説したドル・コスト平均法の概要やメリットとデメリットを理解したうえで、ご自身のライフプランに合うように活用してみてはいかがでしょうか。

関連記事