住宅ローン控除とふるさと納税は併用できる? 損をしない利用法とは

住宅ローン控除とふるさと納税は、どちらも一般に広く知られた節税方法です。しかし、節税効果が高いとされるこれらの控除も、仕組みをしっかり理解した上で利用しないと、思わぬ損失につながる可能性があります。ここでは、住宅ローン控除を利用している人がふるさと納税をするとき、覚えておきたいポイントをまとめました。

住宅ローン控除や住宅ローン減税は、どちらも同じもので、正しくは「住宅借入金等特別控除」と言います。これは、住宅ローンを借りて自分が住むための家を購入した人が、一定期間、住宅ローン残高に応じた税額控除を受けられるというもの。

控除を受けるためには、一定以上の床面積や10年以上の住宅ローン借入期間といった、条件を満たす必要があります。詳細は、国税庁のウェブサイトをご確認ください。 

控除される金額

住宅ローン控除の金額は、購入した住宅に入居した年によって異なります。

例えば、2014年1月1日~2019年9月30日に入居した場合であれば、ローン残高の1%(上限40万円、消費税8%での購入でない場合は20万円)を10年間控除してもらうことができます。それ以前に入居した場合も、10年間にわたって1%の控除が受けられる点は同様ですが、上限金額は年によって異なります。 

なお、2019年10月1日~2020年12月31日に消費税10%で購入した住宅に入居した場合は、2019年9月30日までと同様の控除に加え、11~13年目も「年末残高等(上限4,000万円)×1%」か、「(住宅取得等対価の額-消費税額(上限4,000万円))×2%÷3」のどちらか少ない方の金額が控除されます。

原則、所得税から控除される

住宅ローン控除は、原則としてその年の所得税から控除されます。

例えば、2019年10月1日に3,000万円(消費税10%)の住宅ローンを組んで、新築住宅を購入した場合で考えてみましょう。2019年12月に入居、2020年12月31日の時点で2,700万円の残高があるとします。

この場合、2,700万円×1%=27万円で、上限の40万円に満たないため、27万円分が全額控除されます。2020年の所得税額が35万円だった場合、住宅ローン控除を利用することで、所得税の額を35万円-27万円=8万円に減らすことができるのです。なお、消費税10%での購入ですから、11~13年目も住宅ローン控除が利用できます。 

会社員の場合、所得税は毎月の給与からあらかじめ源泉徴収されています。この源泉徴収される所得税は、住宅ローン控除を計算に入れずに算出していますから、年末調整で住宅ローン控除の申請をすることで、多くの還付金を受け取ることができるでしょう。ただし、住宅ローンの利用を始めた最初の年は年末調整ではなく、確定申告が必要なことに注意してください。

住宅

控除しきれない場合は住民税からも一部控除が受けられる

住宅ローン控除は節税効果の高い控除制度ですから、中には控除の額が所得税の額を上回ることもあります。

27万円の住宅ローン控除を受けられる人の2019年の所得税額が20万円だった場合、所得税は0円になり、納める必要はありません。しかし、全額を控除しても、まだ7万円の「控除できる金額」が余っています。そこで、この余った分を2020年に納める住民税から控除できる制度があります。 

住民税からの控除は、「前年分の所得税の課税総所得金額等の7%(13万6,500円を限度)」までと決められています。要するに、2020年に支払う住民税の場合、2019年の所得税の課税総所得金額の7%か、13万6,500円のうち、少ない方を限度に控除が受けられるということです。 

前述の例で課税総所得金額が300万円だった場合、7%(21万円)よりも13万6,500円の方が少ないため、控除できる上限は13万6,500円となります。一方、所得税から控除しきれなかった住宅ローン控除の金額は7万円ですから、2020年の住民税から7万円が控除されることになります。

ふるさと

ふるさと納税は、自分の選んだ自治体に寄付することで、税制優遇が受けられたり、返礼品がもらえたりする制度です。返礼品の内容は自治体によって異なり、該当地域の特産品・名産品などが用意されています。また、中には返礼品を用意していない自治体もあります。

ふるさと納税をした金額のほとんどが所得税・住民税から控除される

ふるさと納税をすると、その合計額から2,000円を引いた金額が、所得税や住民税から所得控除されます。例えば、A市に1万円、B市に1万5,000円のふるさと納税をした場合、控除額は以下のような計算になります。

例)
A市に1万円
B市に1万5,000円
控除額 1万円+1万5,000円-2,000円=2万3,000円 

つまり、2万5,000円支払って、2万3,000円が控除されるのですから、「ふるさと納税をするとお金がもらえる」というわけではありません。しかし、実質的な負担2,000円で自治体の応援ができたり、特産品がもらえたりするため、ふるさと納税は広く人気を集めています。

ふるさと

ふるさと納税は申告をしないと意味がない

ふるさと納税をして所得税や住民税の控除を受ける場合、「ワンストップ特例制度」を利用するか、「確定申告」をするか、どちらかの方法で申告を行わなければいけません。ふるさと納税をしただけでは控除の対象とはなりませんので注意しましょう。また、ふるさと納税は年末調整で申告することはできません。 

ワンストップ特例制度は、その年に寄付した自治体が5カ所以内で、確定申告をする必要がない人だけが利用できる制度です。ワンストップ特例制度を利用する場合は、寄付をした自治体に対して「ワンストップ特例制度を利用する」という申請を行います。 

ワンストップ特例制度を利用した場合、所得税ではなく全額が住民税から控除されます。2万5,000円分のふるさと納税を行った場合、自己負担額の2,000円を引いた2万3,000円が、翌年の住民税から控除されることになります(上限に達しない場合)。 

ワンストップ特例制度を利用しない人は、確定申告をする際に自治体から送られた証明書を添付して、ふるさと納税を行った旨を申告します。

この場合は、所得税の一部から還付され、住民税からの控除が行われます。仮に、所得税率が10%だった場合は、2万3,000円×10%=2,300円がその年の所得税から還付され、残りの2万3,000円-2,300円=2万700円が翌年の住民税から控除されます。

ふるさと納税をするときは控除限度額に注意

控除が受けられることを重視してふるさと納税を行うのであれば、所得税や住民税から控除できる限度額を超えないようにすることが大切です。例えば、所得税と住民税が合わせて50万円だった場合、100万円のふるさと納税をすると、納税額から2,000円を控除した金額が戻ってくるのかといえば、そういうわけではありません。 

総務省のふるさと納税ポータルサイトには、税制上のメリットが受けられる可能性が高い、ふるさと納税の上限額の目安が紹介されています(ただし、具体的な上限額はそれぞれの状況によって異なります)。

また、民間のふるさと納税ポータルサイトの中には、ふるさと納税の上限額のシミュレーションができるサイトもあるため参考にしましょう。

住宅ローンを検討する夫婦

住宅ローン控除とふるさと納税は、併用することができます。ただし、場合によってはせっかくふるさと納税をしても、税金面でのメリットが受けられなくなるため、事前に十分検討することが大切です。

住宅ローン控除とふるさと納税を併用する場合の、注意点をご紹介します。

住宅ローン控除が所得税額を上回るならワンストップ特例制度を

住宅ローン控除とふるさと納税を併用した場合に問題になるのが、住宅ローン控除の金額が所得税額を上回っている場合です。住民税から控除できる住宅ローン控除の金額は、「前年分の所得税の課税総所得金額等の7%(13万6,500円を限度)」です。

確定申告をすると、ふるさと納税により所得税が控除されるため課税総所得金額が減少し、住宅ローン控除ができる上限が下がってしまう可能性があるのです。 

住宅ローンの控除額が所得税額を上回る場合は、できるだけワンストップ特例制度を利用し、ふるさと納税が住民税のみから控除されるようにしましょう。なお、所得税額が13万6,500円を上回る場合、影響はありません。

ワンストップ特例制度を利用できない場合がある

住宅ローンを最初に利用し始めた年や、1年間に6カ所以上の自治体にふるさと納税を行う場合、ワンストップ特例制度を利用できず、確定申告を行わなければなりません。また、医療費控除などその他の控除を利用したい場合も、確定申告を行う必要があります。

確定申告をする場合は上記のように、住宅ローン控除の上限額が想定していたより下がる可能性があることを覚えておきましょう。

控除

所得税や住民税の節税に役立つ控除制度は、住宅ローン控除やふるさと納税のほかにもいろいろあります。いくつか例をご紹介します。

・医療費控除

医療費控除は、年間の医療費が一定額を超えた場合に利用できます。家族の医療費も合算して申請が可能です。

・寡婦控除

寡婦控除は、配偶者と死別した女性(合計所得が500万円以下の場合のみ)や、扶養する親族・子がいる離婚した女性が受けられます。

・寡夫控除

寡夫控除は、配偶者と死別または離婚した男性のうち、合計所得額が500万円以下で扶養する子がいる人が受けられます。

・小規模企業共済等掛金控除

小規模企業共済の掛金を支払っている場合やiDeCo(個人型確定拠出年金)を利用している場合などに、掛金が全額所得控除の対象となります。

・保険料控除

保険料控除は、生命保険、介護医療保険、年金保険料を支払っている人が利用できます(受取人等一定の要件あり)。

・地震保険料控除

地震保険料控除は、地震保険に加入している人が利用できます(物件に住んでいる人等一定の要件あり)。

これらの控除は、本人が申告しなければ受けることができません。自分が該当する控除を見落とさず、正しく申告することで節税につながっていくでしょう。

住宅ローン控除やふるさと納税の控除は、非常に節税メリットの大きい控除制度です。しかし、やみくもに利用しても、得になるとは限りません。

住民税や所得税の計算は非常に複雑で、各家庭の状況で控除の上限額は変わります。また、同じ家庭であっても、その年の収入額やほかの控除の額によっても上限が異なります。損をしないためにも、制度をよく理解して利用しましょう。

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