付加年金とは? 国民年金に付加保険料を上乗せして、将来の年金額をアップ

会社に属さない個人事業主やフリーランスなどの自営業者が将来支給される国民年金(老齢基礎年金)は、サラリーマンの厚生年金に比べて低い金額になっています。そのため、自営業者は老後の生活に向けた準備がより必要になりますが、そこで知っておきたい制度が「付加年金」です。この制度を利用すれば受給する年金額を増やすことができますが、条件があります。今回は付加年金を利用するための注意点や年金への影響などについて解説します。

20歳以上60歳未満の自営業者など、国民年金の「第1号被保険者」に該当する人は、原則として65歳から国民年金を受給します。このとき受給する金額は保険料の納付済み月数などに応じて、最大で年間780,100円に設定されています(2019年4月分以降)。 

この受給額を増やすために利用できるのが「付加年金」という制度。毎月の国民年金保険料に、一定額の「付加保険料」を加算して納めることで、将来受け取る国民年金の金額を増やすことができます(加算額の計算方法については後ほど解説します)。

付加年金を利用できる人

付加年金は、誰でも利用できる制度ではありません。利用できるのは、第1号被保険者や、60歳以降も国民年金に任意加入している人に限られます。厚生年金や共済組合に加入している会社員・公務員などの「第2号被保険者」や、第2号被保険者に扶養されている配偶者が該当する「第3号被保険者」は、付加年金を利用することができません。 

申し込み・納付方法

付加年金の利用は任意のため、市区町村の役所に申し込む必要があります。一度申し込みをすると、その月から付加保険料が発生し、翌月末日の納期限までに付加保険料の400円を納め、以降、毎月400円を納め続けます。 

付加保険料は、国民年金の保険料と合わせて納付します。国民年金の保険料は年度によって改定がありますが、2020年度の場合は保険料が月額16,410円のため、付加保険料400円を合わせた16,810円を毎月納めることになります。納付方法としては、現金納付のほか、口座振替やクレジットカード払いも可能です。

付加年金に加入できる期間

付加保険料を納付できる期間は、国民年金と同様、最長で20歳から60歳未満までの480か月です。そして、納付月数に応じて、将来加算される年金が増えるため、申し込みを早く行うほど、将来の年金受給額への影響が高まります。ただし、付加保険の納期限を経過した場合でも、期限から2年間はさかのぼって付加保険料を追納することができます。

付加年金のメリット

付加年金に申し込んだ方がいいのかを判断するには、メリットとデメリットを比較する必要があります。ここで最もポイントとなるのが、「納付する付加保険料」と「受給する付加年金」の金額です。まずはその計算方法を解説します。

付加年金で加算される年金額の計算

付加保険料を納付すると、「200円×納付月数」が、将来的に受け取れる月々の国民年金に毎年加算されます。例えば、20歳から60歳未満までの40年間、国民年金に上乗せして付加保険料を払い続けた場合、200円×12か月×40年=96,000円が、将来的に年金に加算されて毎年支給されるのです。 

一方、付加保険料を40年納付したとすると、納付総額は400円×12か月×40年=192,000円です。つまり、国民年金の受給が始まる65歳から2年たつと、付加保険料の納付総額と年金受給の加算額が一致し、元が取れる計算になります。 

・20歳から60歳未満まで毎月、付加保険料を支払い続けた場合の納付総額
400円×12か月×40年=192,000円

・年金受給開始から毎年受け取る国民年金の総額
65歳 毎月の国民年金+年間96,000円
66歳 毎月の国民年金+年間96,000円
67歳 毎月の国民年金+年間96,000円

付加年金のそのほかのメリット

付加年金にはほかにもメリットがあります。国民年金の保険料は全額が社会保険料控除として所得から控除されるため、所得税や住民税が減額されます。付加保険料も同様に、全額が社会保険料控除の対象になることから、節税につながります。 

また、付加保険料の納付済み期間が36か月以上ある人が亡くなった場合、遺族に支給される死亡一時金に8,500円が加算されます。死亡一時金は、第1号被保険者として保険料を納めた月数が36か月以上ある人が亡くなった場合に、その人によって生計を同じくしていた遺族に支給されるものです。 

付加年金の注意点

最後に、付加年金に加入するにあたってのデメリットや注意点を説明します。

付加保険料が納め損になるケース

国民年金の受給期間が2年に満たない場合、納めた付加保険料よりも、受給する付加年金が少なくなります。国民年金の受給開始は原則として65歳から始まるため、67歳未満で亡くなると付加保険料は納め損になります。例えば、40年間にわたり付加保険料を納めた場合、納付総額は196,000円ですが、66歳で死亡して国民年金の受給期間が1年間だった場合、受給できる付加年金は96,000円になります。さらに、受給開始前に亡くなった場合は付加年金を受け取ることはできません。 

また、障害基礎年金と国民年金の両方の受給要件を満たした場合、いずれかを選択することになりますが、障害基礎年金を選択した場合は国民年金を受給することができなくなります。この場合、支給停止されている期間は付加年金も支給されないため、付加保険料の納め損となる可能性が高まります。 

年金の繰り下げ・繰り上げ受給の影響

前述のとおり、国民年金の受給は、原則として65歳から始まります。この受給開始時期を後ろ倒し(繰り下げ)すると年金受給額がアップし、逆に前倒し(繰り上げ)をすると年金受給額が減額されます。このときの増減率は、繰り下げや繰り上げを行うタイミングによって定められています。 

付加年金を納めていた人が国民年金の繰り下げや繰り上げをした場合、同じ増減率で付加年金として加算される年金の額が変わります。したがって、繰り下げをすれば付加年金の受給額がアップしますが、繰り上げをすれば付加年金の受給額は減額されます。

国民年金基金との併用はできない

付加年金と似た制度に「国民年金基金」があります。国民年金基金は、国民年金の第1号被保険者を対象とした、国民年金(老齢基礎年金)に上乗せした年金を受け取るための公的な年金制度です。国民年金基金は、加入する口数や給付の型(終身年金もしくは一時金)を自身で選択できるため、納付する掛け金や将来受け取る給付をアレンジできる点において、付加年金と異なります。この国民年金基金に加入する場合、付加年金に加入することはできません。

自営業者などの第1号被保険者の人が、将来的な年金の受給額を増やす方法として、付加年金は公的年金制度の中に設けられています。国民年金の受給開始後2年で納付総額に相当する年金を受け取ることができ、その後も毎年一定額の支給を受けることができますが、納め損となる可能性もあります。制度の特徴をよく理解した上で、加入するかどうか検討してみてください。

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