副業でおトクに暮らすには?

副業でおトクに暮らすには?

2018年、副業解禁が大きな話題になったのは記憶に新しいところです。それまでは多くの会社で禁止が一般的だった副業が、いくつもの大企業で解禁されました。副業は正社員にとってどんな利点があるのでしょうか。たくさん働いた分、給料がもらえるだけなら残業するのとあまり変わらないのでは? これから、副業が正社員にもたらすおいしいメリットなどを紹介していきます。

まず前提として、「副業が解禁された」と言われる2018年に、日本ではなにが行われたのかを紹介しておきます。

この年、政府は「モデル就業規則」において「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という条項を削除しました。これは副業を否定する見解が公的に改められたということを意味します。実際、この変更を受けて、リクルートやアサヒビールなど、いくつかの大手有名企業は副業禁止の規定を変更しています。このことから、日本では2018年が「副業解禁」元年と言われ、話題になったのです。

政府がモデル就業規則を変更した背景には、ある理由がありました。それは、高齢化の進展です。副業は働き手の収入アップだけでなく、彼らのキャリアやスキルの向上にもつながります。そして若いころから積み重ねたキャリアやスキルは、定年退職後の生活の支えとなり、生きがいを生む可能性もあります。高齢化がますます進行する現在、早くから副業に取り組んでおくことは社会的にも大きなメリットがあると考えられます。

しかし実のところ、働き手が副業から得られるメリットはそれだけではありません。

まず、「副業」とはどんなものか? これにはいくつかのパターンがありますが、一番多いのは正社員として勤めながら、アルバイトなどで別の会社で働いて追加収入を得るケースでしょう。この場合、副業による所得は正社員としての収入と同様、給与所得扱いになります。なお、給与所得の年末調整は通常、多い収入を得ている会社(本業の会社)1社だけで行うことになっているので、自分で確定申告を行う必要があります。アルバイトで年間合計20万円以下しかもらっていなかったとしても、給与所得なら確定申告が必要です。

次に、被雇用者としてではなく、独自に収入を得るパターンです。といっても、この場合は収入源が多岐にわたっています。たとえば、さまざまな投資や賃貸不動産の運用益は、それぞれに法律で決められた税率によって課税されるものです。継続的に労働を行い、一定の収入を得ている場合であれば、これらは事業としても認められる可能性があります。事業による収入であれば、事業所得として申告することが可能です。このほかにも、所得には細かい分類があり、それによって課税方法も決められているのですが、そのどれにも当てはまらないもの、たとえば空いた時間にWebメディアで記事を執筆している人への原稿料などは、すべて雑所得扱いとなります。

ちなみに、所得とは得られた収入から、その収入を得るためにかかった経費を差し引いた金額のことです。もし所得が年間合計20万円以下であれば、所得税の確定申告は必要ありません。給与所得であれば、経費は雇用されている会社内で処理されますが、それ以外の場合はこの経費の金額も自分で計算して、申告する必要があります。こう書くと「面倒くさい」という印象があるかも知れませんが、実は経費を自分で計上できることは、雇用されずに副業を行う際の大きなメリットなのです。

とくに、事業所得や雑所得に対する経費の対象は幅広く、業務のために利用した資料の購入費用はもちろんのこと、自宅に事業用のスペースを設けていれば、その分の家賃や水道光熱費、通信費なども事業用の経費扱いにできる可能性があります。経費が増えればそれだけ所得は減少し、所得税額を抑えることができるのです。

また、副業の収入を事業所得として申告するケースでは、さらに見逃せない利点があります。それは、所得税の計算時に本業の給与所得と副業の事業所得とを合算することができることです。これがなぜメリットになるかというと、経費の計上によって事業所得がマイナスになれば、本業の給与所得にかかる税額まで引き下げられるからです。つまり、収入を増やしつつ税額を引き下げられる可能性もあるということです。

全額損金算入できる有利な共済が使える

副業を事業化することによるメリットはこれだけではありません。個人事業主として、あるいは自分で会社を設立して副業に取り組んでいる場合には、いくつかの共済が利用できます。これが税額の調整に有効なのです。その筆頭とも言えるのが小規模企業共済。小規模法人の役員や個人事業主を対象に、退職金を積み立てておく制度で、独立行政法人である中小機構が運営しています。この共済では短期間で任意解約すると元本割れしてしまうリスクはありますが、法人の解散や個人事業の廃業による解約であれば掛金以上の金額が戻ってきます。たとえば20年間納付して、法人を解散した場合は、掛金の110%を超える金額が戻ってくる可能性もあります。

そしてその掛金は、小規模企業共済等掛金控除の対象として、全額を払い込んだ年の個人所得から控除できます。

なお、解約時に戻ってくる共済金は所得税の課税対象になります。65歳未満で任意解約した場合は一時所得、それ以外では退職所得扱いになります。これらの所得は、税法上の計算法が事業所得などとは多少異なります。一時所得や退職所得の場合、税額はその総額の半分を他の所得と合算して算出するのです。また、退職所得は勤続年数1年につき最低40万円という控除枠もあります。これらを上手く活用することで、大きな節税効果を得ることができるのです。

このほかに、小規模法人や個人事業主が利用できる共済制度としては、同じく中小機構が運営するセーフティ共済もあります。これは取引先が倒産したときに小規模法人や個人事業主が共倒れにならないためのもの。最低でも12カ月以上掛金を納付していれば、解約時に掛金の80%以上が戻ってきます。掛金納付月数に応じてこの割合は増額していき、40カ月分以上掛金を納付していれば全額払い戻しされます。この掛金は小規模企業共済の場合と同様、全額を経費扱いにできます。

セーフティ共済を解約した際に受け取る解約手当金は、事業所得の対象です。特別な控除などは得られません。しかし、自己都合でいつでも解約できるため、多額の経費がかかった年度に解約するなどして、トータルで税額を適切に調整することができます。

さらに副業を本格化させ、大きな利益を得たいという人なら、自分の会社(法人)を設立するのも有効なやり方です。起業と聞くとおおごとに感じるかもしれませんが、個人事業主でも会社員でも、法務局や税務署などに必要な届け出さえ行えば、自由に法人を設立、運営することができます。設立費用は最低6万円程度(合同会社の場合)ですみます。

では、起業がなぜ利益につながるのか? これは、法人の方が個人よりも税制上有利になるからです。そもそも法人には個人事業主より適用できる経費の範囲が広いという特徴があります。たとえば自宅の家賃のうち、事業使用分のみが経費扱いだった個人事業主に対し、法人であれば、自宅(賃貸)を役員の社宅として申請すれば家賃の半分ほどは経費にできます。また社長を被保険者とした生命保険の保険料も、法人契約にすれば同じく経費扱い。このほかにも、法人名義にすることで経費化できるものが数多くあるのです。

さらに、会社から事業主である自分に対して役員報酬を支払えば、法人の所得が圧縮され、法人税を引き下げられます。もちろん報酬には所得税が必要ですが、一定の条件を満たせば給与所得控除の対象にもできます。そしてなにより、法人税と所得税はともに所得額によって税率が変わるため、役員報酬の金額で法人と個人それぞれの所得を最適化すれば、税率を低く保つことも可能です。所得税と法人税の両方をコントロールすることで、節税の方法は確実に増えるのです。

まとめ

以上のことを念頭に置いて副業に臨めば、節税効果などで実際の収入以上の利益を生み出すことが可能です。ただし、どの方法でも税務申告は必須。そこでミスをしてしまえば、かえって追加徴税を受けてしまうことも考えられます。そうしたリスクや手間の問題は、副業に取り込むうえで絶対に忘れてはいけないポイントです。

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