世界を知るために外国株に投資する

世界を知るために外国株に投資する

インターネットは言うに及ばず、LCC(格安航空会社)が当たり前になり、AirbnbやBooking.comなどを使って世界中の都市で格安の民泊がスマホ予約できる時代。海外はこの10年ではるかに身近な存在になり、世界は小さくなりました。個人投資のフィールドに目を向けてみても、メジャーなネット証券会社のサイトで、約10カ国もの国の市場に上場している株式やETFを購入できるようになっています。ただ、それにしては、「外国株を買っている」という人は、まだまだ少数派の印象があります。外国株には特有のリスクがあるのは事実ですが、それをよく理解した上で、自分のポートフォリオの中に外国株という選択肢を追加することは、検討してみる価値があるのではないでしょうか。

では、なぜ外国株に投資するのか? いくつかの理由が考えられます。

まず、先進国の中でも、日本は低成長で、少子化・超高齢化の影響で、将来的に大幅な成長は望みにくいということがあります。日本貿易振興機構(ジェトロ)がIMFの出した数字をまとめた2019年の日本の経済成長率(のび率)は0.9%(予測)。2020年はさらに下がって0.5%(予測)となっています(2019年10月18日発表)。

世界的にも2019年は伸び率3.0%(予測)で低成長なのですが、それでも米国は2.4%ありますし、中国・インドは減速したと言ってもいずれも6.1%、サブサハラ・アフリカは3.2%の伸び率です。 

高成長の国に投資すれば必ず儲かるわけではもちろんなく、銘柄ごとの相応のリスクや為替リスクがあり、さらに日本ではあり得ないような地政学的リスクもあります。ただ、成長率0.9%の国の市場平均に投資するのと、5%の国の市場平均に投資するのでは、どちらがいいかはわかりませんが、明らかに「別物」だということは言えるでしょう。そういう日本国内ではあまり考えにくい条件の株式やETF(上場投資信託)に出会えることは、外国株に投資する面白さのひとつではないでしょうか。 

また、会社員として日本で働いている場合、それは自分の人的資本をすべて日本に投資している状態と言えます。また、貯金や保険、日本の国債、日本企業の株式、マイホームなど、いずれも日本の資産です。すべてが日本経済と結びついています。それでいいという人も多いと思いますが、グローバルな視点からは、日本に一点張りしている状態にも見えてきます。

とは言え、それを一気に世界に分散するのは誰にとってもハードルが高いでしょう。ここで提案したいのは、旅で世界を知るように、まずは小額の投資で世界の市場を感じてみてはどうかということです。海外に好きな国、好きな都市がある人も少なくないと思います。好きな国の興味がある会社に投資するというのは、楽しくもあり、当然ながら相応のリスクがあり、学ぶところも多いものです。その後、本格的に外国の株式に資産を分散するかどうかは、その過程でじっくり考えればよいでしょう。 

ただし、投資する際には経済成長だけでなく、その国や地域の政治にも目を向けないといけません。ひとたび政治不信・不安に陥ると経済も一気に悪くなります。単に経済成長しているということだけから投資判断することは危険が伴います。くれぐれも、はじめは余裕資金の範囲で試してみることをおすすめします。 

外国株

外国株に投資するもっとも簡単な方法は、日本の証券会社で売られている、海外株式などに投資する投資信託や日本の取引所に上場しているETFを購入することでしょう。これらは日本の商品ですから、気軽に日本円で購入でき、立派な外国株投資のひとつと言えます。

さらに踏み込んで、例えばアメリカの証券取引所NASDAQに上場しているアップルの個別株を買いたいとか、ロシアの証券取引所MICEXに上場している天然ガス会社ガスプロムの個別株を買いたいといった場合は、証券会社の外国株式口座を開設する必要があります。 

外国株式口座を開設する

自分が投資したい国の株式や海外ETFを取り扱っている証券会社で株式総合口座の開設と外国株式を取引するための設定申込みを行い、入金を行うと外国株式の取引ができる状態になります。

あるいは、これまで日本株を取引していた証券会社があるのであれば、その証券会社で外国株式取引の設定を行って、そこで購入できるものの中から銘柄を選ぶというやり方でも、メジャーな国の株式であれば十分な数の銘柄が選択できるでしょう。

買える商品

証券会社によって、買える商品はさまざま

マネックス証券では米国株式、中国株式の取引が可能となっています。また、楽天証券では米国株式、中国株式、アセアン株式取引ができます。SBI証券では米国株式、中国株式に加え韓国、ロシア、アセアンの株式取引が可能です。また、単に国だけでなく、各国のどの取引所に対応しているのか、取引所に上場している銘柄のすべてなのか一部なのかなど、細かな違いがあるので、新規に総合口座を開設するのであれば、目当ての証券会社のサイトをじっくり比較してから決めましょう。取引手数料の違いなども忘れずチェックしてください。

 GAFA

バラエティ豊かな海外ETF

各証券会社が取り扱っている各国の証券取引所に上場しているETFを選んで投資することができます。ETFの選び方は、各自の投資方針によって違ってきます。アジア、アフリカのような「地域」に投資するのか、特定の国に投資するのか、先進国なのか途上国なのか、特定の市場に投資するのか、特定の業種なのか、といったさまざまな視点から、自分の見立てに合った銘柄を選ぶことができます。

多くのETFはそれぞれなんらかの株価指数(インデックス)に連動していますが、株価指数の数倍の値動きをするように設計されたETFや、配当性向の高い株式に注目したETFなど、ユニークなものもあります。

米国の個別株は世界的な有名企業が目白押し

技術的イノベーションの最前線であり、世界経済を牽引する米国の市場には、日本でもよく知られている成長企業が数多く上場しています。アマゾン、Google、マイクロソフトはもちろん、電気自動車のテスラや人工肉のビヨンド・ミートのような今後の成長が楽しみな会社もたくさん見つかります。こうした先進的な企業に投資できるのも外国株の大きな魅力でしょう。

近年、「AIも自動運転もアメリカの企業に握られてしまった」と嘆く声を聞くこともありますが、われわれは、そういう未来ある企業のオーナー(=株主)になることもできるのです。

ただし、経済メディアなどに華々しく取り上げられた革新的なベンチャー企業の株価が必ずしも将来にわたって持続的に上昇するとは限りません。成長が止まったり、中には市場を去ったりする企業もあるでしょう。また、その分野自体は成長しても、そこでの勝者が別の企業になることもあります。 

為替リスク

外国株式や海外ETFなど海外に投資する金融商品は、通常その投資先の通貨で投資を行います。つまり投資する際には利用している証券会社で日本円を外国の通貨に交換する(為替取引をする)必要があります。逆に外国の金融商品を売却して得た外国の通貨を日本円で引き出すためには、日本円に交換することが必要です。

これらの為替取引は為替市場の影響を受けることになるため、投資したときより円高のタイミングで売却・換金した場合、仮に株価は上昇していたとしても、為替差損が大きければ損失が発生する可能性があります。一方、投資したときより円安のタイミングで売却・換金した場合には株価による損益に加えて、為替差益が発生します。

また、為替取引には手数料がかかります。手数料率は証券会社や通貨によって違いますが、例えば日本円から米ドルに替えるときには1ドルあたり0.25円余計にかかり、米ドルから日本円にするときは1ドルあたり0.25円少なくなるといった形で手数料が取られます。この値幅のことを為替スプレッドと呼びます。 

このように、投資の成果を判断するには、常に日本円に換算した金額でトータルに判断することがおすすめです。なお、外国株式などの売却で得た外国通貨を日本円に交換するタイミングは自分で決められるので、投資時より円高の場合はしばらく様子を見て、有利なタイミングで日本円に交換することも可能です。 

外国株や海外ETFの取引をすると、その銘柄が上場している国の政治や経済、社会の情勢、為替のトレンドなど、さまざまな事柄に目を向けることになります。投資前・投資後では、世界経済のニュースに触れたときに感じるリアリティもほんの少し変わるような気がします。そんな「世界とつながる感覚」を体験してみてはいかがでしょうか。

ただし、外国株への投資は、途上国などは特に地政学的リスクがあり、経済情勢がすぐに正確に伝わってこない可能性があります。為替のリスクもあります。

こうしたリスクを分散する意味で、投資額は余裕資金の範囲に抑え、複数の投資先に複数回に分けて投資し、その後は定期的に株価の状況を確認することをおすすめします。

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