オーバーローンとは? ローンを組んで不動産を購入するときによく聞く方法

自宅や投資用として不動産を購入する際、物件の価格を超えてローンを組むことを一般的に「オーバーローン」といいます。オーバーローンは自己資金が少ない場合に便利ですが、返済額が多くなる点や、使い方を間違えると違法性を問われる可能性があることなど、注意点も少なくありません。今回は、オーバーローンの特徴やリスク、オーバーローンと比較されやすいフルローンとの違いについて解説します。

オーバーローンとは、その和訳のとおり「貸し出し超過」を意味します。具体的には、不動産を購入する際、土地の価格や建築費(以下「物件価格」)に加えて、引っ越し代や事務手数料などの諸費用の分もローンを組んでいる状態を指すことが一般的です。例えば、土地建物の購入価格が4,000万円であるのに対し、諸費用も含めて総額4,500万円のローンを組んだ場合、オーバーローンになります。

このほか、「不動産を売却しても、住宅ローンが残ってしまう場合」や、「銀行の貸出金が預金を超過している状態」などでもオーバーローンという言葉が使われることがありますが、本記事では「物件価格+諸費用」をローンでまかなう場面に限定して、オーバーローンを解説します。 

なお、オーバーローンについて「違法」といったイメージをもつ人がいるかもしれませんが、オーバーローンそのものは違法なものではありません。違法性が問われる場面については、後ほど解説します。 

不動産ローン

オーバーローンで借りられる費用

オーバーローンを利用することで、物件価格に加えて諸費用もローンでまかなうことができると説明しましたが、まずは、不動産購入時にどのような「諸費用」が必要になるのかをみておきましょう。 

例えば、自身の居住用物件を「住宅ローン」で購入した場合、物件価格以外に必要な費用として、主に住宅ローンの保証料、保険料、印紙代や登記費用、仲介手数料、引っ越し代、修繕積立基金、水道負担金などが挙げられます。こうした諸経費の内訳は、新築住宅・中古住宅、マンション・戸建てなど、不動産の種類によって異なるものの、一般的に不動産価格の3~10%が目安とされています。

これらの諸費用は、通常は住宅ローンを組んだとしても、自ら資金を準備して支払うことになります。なぜなら、住宅ローンの借入額は「物件価格以内」という条件が定められているからです。例えば、民間金融機関と住宅金融支援機構の提携による住宅ローン「フラット35」の場合、借り入れられる限度額は「100万円以上8,000万円以下(1万円単位)で、物件価格(非住宅部分にかかるものを除く)以内」となっています。 

しかし、物件価格に加えて、一部の諸費用にも使える住宅ローンを提供している金融機関もあります。例えば、イオン銀行では、「物件の売買契約金額および工事請負金額の105%までの限度額範囲内」で、住宅ローンを利用することができますので、仲介手数料などの諸費用にも活用できます。 

このほか、引っ越し代やリフォーム費用、インテリアの購入などさまざまな用途に利用できる多目的ローンを取り扱っている金融機関を利用することで、諸費用もローンでまかなう方法があります。ローンの用途に関するルールは、金融機関ごとに異なるため、あらかじめ確認しておきましょう。

フルローン

住宅ローンに関連して、オーバーローンとよく比較されるのが「フルローン」です。フルローンも住宅ローンの組み方のひとつですが、オーバーローンとはローンを組む範囲が異なります。 

フルローンとは、物件価格を全額ローンでまかなう場合を指します。オーバーローンとの違いは、フルローンでは物件価格ギリギリまでローンを組んだとしても、諸費用は自己資金で支払う点にあります。例えば5,000万円の物件価格で、諸費用が150万円かかるとした場合、5,150万円を借りるとオーバーローン、5,000万円を借りるとフルローンになります。

ここまでに説明したオーバーローンの特徴を踏まえ、次はメリットとリスクについて考えてみましょう。 

頭金なしで不動産を手に入れられる

オーバーローンのメリットは、頭金なしで不動産を購入できる点にあります。通常、住宅ローンを組む場合、フルローンであれば諸費用を自己資金でまかなう必要があるため、頭金を準備しなくてはなりません。しかしオーバーローンで諸費用も含めて借りることができれば、頭金なしで不動産を手に入れることができます。 

ローンの審査が厳しくなる

住宅ローンを組む際、審査基準のひとつとなるのが「借入比率」(年収に占めるローン返済額の割合)です。金融機関においては、借入比率の基準をおおむね30〜35%に設定しており、これを超える場合は、借入額が減額される可能性があります。オーバーローンの場合、月々の返済額も多くなりますから、その分借入比率の条件も厳しくなります。収入によっては、借入比率の条件をクリアできずオーバーローンを利用することができません。 

注意したいのが、「不動産投資目的で住宅ローンは利用できない」という点です。なぜなら、住宅ローンは「その物件に住む」という条件で利用するものだからです。不動産投資を目的とするのであれば、住宅ローンではなく不動産投資ローンを利用して、不動産投資にかかる諸費用も含めた借り入れを申し込む必要があります。したがって、諸費用も込みで不動産を購入する場合、一般的に次のような形でオーバーローンを組むことになります。 

  1. 自己の居住目的:住宅ローン+諸費用ローン
  2. 不動産投資目的:不動産投資ローン 

不動産投資ローンの場合、その人の収入や借入比率などに加え、「物件の事業性」も重視されます。自己資金や物件の資産価値、収益力も踏まえて審査がなされるため、申請するローンの金額はより慎重に考える必要があるでしょう。

返済が滞るリスク

返済が滞るリスク

オーバーローンを利用すると、物件価格のみを対象とするローンよりも借入総額が多くなります。その分、金利の負担や月々の返済額が増えてしまいます。収入に見合わない金額を借りると返済が滞るリスクがあるため、無理のない返済額になっているかをしっかり検討することが大切です。 

不動産投資でオーバーローンを利用する場合は、返済金額に見合う収益をあげられる物件であるか、見極めるようにしましょう。たとえ毎月の賃料収入でローンを返済できると考えていたとしても、空室が出たり、予期せぬメンテナンス費用がかかったりすれば、収支が赤字になってしまう可能性があります。

不正が発覚するリスク

ローンは、金融機関ごとに定めている条件に沿って利用するものです。前述のとおり、住宅ローンは「その物件に住む」ことが条件となっているため、不動産投資目的であるにもかかわらず、居住用と偽って住宅ローンを組むと契約違反となります。 

このほか、物件価格のみに利用できるローンを諸費用に使うこともできません。もしも住宅の購入費として3,000万円を借りたにもかかわらず、そのうち300万円を車の購入に充てたような場合、金融機関からローンの一括返済を求められる可能性もあります。 

なかには、悪質な不動産業者などが、あえて実際の物件価格以上の契約書や請求書を出してオーバーローンを利用させるといった事件も起きています。住宅ローンや不動産投資目的のローンは、ほかのローンに比べて利率が低いため、より多くの金額を借りられればお得に思われるかもしれませんが、後から詐欺罪などの刑事責任を問われる可能性もあります。必ず各金融機関が設けているローンの条件を順守しましょう。

不動産ローンのまとめ

「不動産を購入したいけれど、頭金がない……」といったときにオーバーローンは便利です。物件価格だけでなく諸費用もローンでまかなうことができれば、すぐに不動産を手に入れることができます。できるだけ早く転居したいとき、あるいは不動産投資を速やかに始めたいけれど、自己資金が十分でないようなときにもオーバーローンが活用できるかもしれません。しかし、月々のローン返済額が増え、審査が厳しくなるなどの注意点もあります。ローンを組む場合は、その不動産を手にした後のことも考えることも大切です。正しい知識を身に着け、無理なく返済を続けられるようにローンを組むようにしましょう。

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