サラリーマンでもできる、節税のポイント

あなたは節税に取り組んでいますか? 最近は老後の年金問題が話題になることも多く、老後などの資産形成の1つとして節税対策を本気で考え出したという人も多いのではないでしょうか。今回は、個人事業主などに比べ節税の効果を得にくいイメージのあるサラリーマンに向けた節税のポイントを3つ紹介していきます。

インターネットで「サラリーマン 節税」のようなキーワードを検索するとその結果の多くは、「節税には〇〇がおすすめ」「〇〇を利用して節税をしよう」といった具体的な節税方法の紹介がほとんどです。この記事でも具体的な節税方法を紹介していきますが、まずは節税対策の3原則を確認しておきましょう。これらの原則をしっかり押さえておくことが自身に適した節税を行う上では欠かせません。

キーワードは、「知る」、「動く」、「探る」です。

節税とは

節税の原則1 節税とは何かを「知る」

1つ目のポイントは節税とは何かをしっかり理解することです。この点をしっかり把握していないと、「節税のためと思って始めたことが結果的に支出を増やすだけになってしまった」という状況に陥りかねません。 

節税とは文字通り(支払う)税金を節約すること。つまり、「税金として支払う額をなるべく減らすことで手元に残るお金を増やすこと」を目的とする行動です。 

しかし、あくまでも目的は手元のお金を増やすことであって、支払う税額を減らすことはその目的達成のための手段にすぎません。節税の目的と手段をしっかり区別して考え、投資や控除枠の利用などの節税手段を幅広く調べることで、節税について「知る」ことが節税の原則1です。

節税の原則2 「動かなければ始まらない」

節税は自ら動き出さなければ何も始まりません。国や地方自治体といった徴税者が親切に、「〇〇を利用すれば節税ができますよ」とは決して教えてくれないのです。 日本は税の徴収に関して申告納税制度を採用しています。これは納税者が自ら所得などの申告を行い、それを基に税額を確定するという制度です。 

税を徴収する側が私たちの行動を逐一把握して所得等金額を確定させることは非効率かつ非現実的なため、いわば性善説に立って「あなたの申告した所得から税額を確定させます」としているのです。 

しかし、この制度は見方を変えると、「申告されたこと以外は特に関与しません」という姿勢とも取れます。つまり納税者自身が節税に役立つ控除の制度などを「知らなかった」または「忘れていた」がために多めに払ってしまった税金に関しては、基本的に役所から救いの手が差し伸べられることはないのです。 

修正申告や更正の請求といった挽回策はありますが、これについても納税者自らが動かなければ何も起こりません。節税について理解を深めることと同程度かそれ以上に、実際に「動くこと」が大切な節税の原則です。

節税の原則3 最適な方法を常に「探る」

節税行動に充てることのできる金額や時間、家族構成など、一口に節税と言ってもその中身は人それぞれ異なるため、うまくパーソナライズ(最適化)することが大切です。また、いくら将来設計をしても長い人生何が起こるかわかりません。 転職したり、家族構成が変化したり、急な支出が発生したり、臨時収入が転がり込んできたりと、ライフイベントの全てを予測することは不可能です。

定期的に自身の懐具合や将来ビジョンの見直しをして、節税方法についても「探り」を入れていくことも、最適化された節税対策の原則といえます。

方法を探る

節税の実践に当たっては節税行動全体の方向付けをすることがとても大切です。これは節税の2つの型を正しく理解し、自分に適した節税を行うということを意味します。

ここではその2つの型を「アクティブ型節税」と「パッシブ型節税」とし、各節税手法を2つに分類していきます。

① 投資メインで大きな成果を目指す「アクティブ型節税」

「アクティブ型節税」は文字通り積極的に節税効果の実現を図ります。株や不動産への「投資」、もしくは「副業」といった手元資金の増加を試みつつ節税を行う方法や、ふるさと納税に代表される「寄附」などの行動もアクティブ型節税に含まれます。収入が増えれば支払い税額が増えることが一般的ですが、アクティブ型節税では収入増と節税の両方を追求することを目指します。 

アクティブ型節税とは、本来、何も行動を起こさなければ「眠っていた」お金に、節税のために積極的に「働いてもらう」方法です。

メリット 大きな節税効果を生む可能性が高い

アクティブ型節税では、株式投資なら「iDeCo(イデコ)」や「NISA(ニーサ)」、副業であれば「青色申告」、寄附なら「ふるさと納税」などを利用することで、非課税の利益を得ることができたり、これらに対して支出した金額の全部または一部を所得額から控除したりすることなどが可能です。 

つまり、支出を増やして節税の効果を享受しつつ、投資によるリターンも受けることができるため、「節税+投資リターン」の相乗効果が期待できます。

デメリット リターンを得られる保証はない

アクティブ型節税のデメリットは、その効果が保証されていないということです。投資の世界では100%の利益保証はありえません。得をすることもあれば損をすることもあります。副業を始める場合も、その事業が成功する保証はありません。 

ふるさと納税などの寄附行為に関しては「損をする」ということは考えにくいですが、たとえばふるさと納税であれば、当初期待していた「返礼品から得られる満足感」が100%得られないということは起こり得ます。

②  支出をムダにしない「パッシブ型節税」

アクティブ型節税が積極的に新たな支出の増加を伴いながら節税効果を図るのに対し、「パッシブ型節税」は既に支出したお金を節税に生かしていく方法です。「医療費控除」や「生命保険料控除」、「住宅ローン控除」などの「控除制度」がこの型に含まれます。 

医療費や生命保険料などは日常生活を送る中で出ていってしまうため、ある程度、必要になる支出とも考えられます。パッシブ型節税では、確定申告やその他必要な手続きを行うことによって所得控除や税額控除を受けることのできる支出を逃さず利用し、限りなくムダを省くことがカギになります。

メリット 追加出費を要しない

パッシブ型節税は、節税のために新たに支出を増やすわけではなく、既に手元から離れていったお金を最大限有効活用するという趣旨です。もし節税行動をしなかったとしてもそれはそれで完結しており、追加の支出は発生しません。そのため「損」も発生しません。 

たとえば医療費控除の場合、申告をすることで節税対策としてプラスの効果が生まれます。しかし、申告をしなかった場合でも「医療のために支出したお金」となるだけで、追加で支出が増えるわけではありません。

デメリット 節税効果が小さい

パッシブ型節税のデメリットは、アクティブ型節税に比べて節税効果が小さい場合が多いことです。また、その効果を得るにも確定申告などの作業が必要であるという点が挙げられます。控除を受けるために領収書等の添付書類を収集する作業や、確定申告等に費やす時間と手間を「負担」として捉えたとき、節税で得られるメリットに比べてデメリットの方が大きいという状況が起こり得ます。 

アクティブ型節税でも申告等の作業は発生しますが、節税効果や投資などによるリターンが大きく得られる場合があるため、時間と手間をかける価値があると思えるかもしれません。

おすすめの節税方法

パッシブ型節税から始めてアクティブ型節税を組み入れる方法がおすすめ

節税の進め方についてその王道はあるのでしょうか。無難な選択として、ここでは、「パッシブ型節税から始めて、余裕資金をアクティブ型節税に回す」という方法をおすすめします。 

この方法によると、まずはパッシブ型節税に力を入れて現状で余計に支払っている税金を減らし、さらに投資やその他のアクティブ型節税に回せる資金が残っていれば、積極的な節税行動を行うことができます。

最後に、アクティブ型節税とパッシブ型節税それぞれの代表格をいくつかのカテゴリーに分けて紹介していきます。
自身に適した節税対策を行うために、さまざまな方法を比較検討してみてください。

「投資」「副業」「寄附」で構成されるアクティブ型節税

アクティブ型節税は投資、副業、寄附の3つに分類することができます。順を追ってそれぞれの主な方法を確認していきましょう。

節税と投資を同時に進めたい人におすすめの方法

節税と投資を同時に進めたい場合、例えば株式投資であれば年間の利益と損失を合算する損益通算を通じ最大で3年間、損失額を繰り越すことで節税効果を生み出すことができますが、その他にもある節税効果の高い方法を以下にご紹介します。

iDeCo(個人型確定拠出年金)

将来のために自身で運用商品を選ぶことができる個人型確定拠出年金、通称「iDeCo(イデコ)」のメリットは、何といってもその節税効果の大きさです。月々の掛け金は全額所得控除の対象となり、運用中の利息や運用益も非課税です。さらに受取時にも退職所得控除や公的年金等控除を利用することで節税することができます。「年金」という名称にも表れているように、60歳になるまでお金を下ろせないというデメリットはありますが、長期的な節税や資産形成にはもってこいの方法です。

NISA(少額投資非課税制度)、つみたてNISA

「NISA(ニーサ)」は年間120万円を上限として投資運用益が最大5年間非課税となる制度です。通常、投資による利益には約20%の税金がかかるところ、NISAを利用すればその税率の分だけ節税できるのでメリットは大きいです。「つみたてNISA」はNISAの長期投資版で、年間40万円を上限として最大20年間非課税の恩恵を受けられます。両方同時に利用することはできませんので節税目的などを考慮して自身に適した制度を選択しましょう。

不動産投資

不動産投資も節税対策として効果的です。不動産投資による損益は給与所得と合算することで給与所得から不動産投資の赤字分を差し引くことが可能であり、損失の繰り越しも可能です。諸条件はありますが別荘所有も節税対策として人気のある方法の一つとして知られています。 

副業をしている人が活用できる節税方法

副業をしている人であれば「青色申告」をすることでさまざまな税優遇を受けることができます。青色申告には複式簿記など専門的な知識も必要になってきますが、月々1,000円前後で利用できる会計ソフトなどを利用すればその手間を軽減することが可能です。 

Win-Win(ウィン・ウィン)が実現できる寄附行動

どうせお金を使うなら誰かのために使いたいという気持ちが強い人には「寄附」による節税も魅力的です。

ふるさと納税

「ふるさと納税」では、実質的な自己負担額を2,000円に抑えて自分で選んだ自治体に寄附ができます。返礼品によってその寄附先を決める人も多いでしょう。寄附をして自治体の財政に貢献し、かつ自身も返礼品が届いて満足感を得ることができます。寄附先自治体が5つ以内であれば「ワンストップ特例制度」を使って節税ができるのもメリットです。

その他の寄附先

控除対象団体である日本赤十字社などに対して行った寄附も節税に利用できます。また、認定NPO法人や公益社団法人などへの寄附で「寄附金特別控除」を使える場合もあります。どの団体に寄附すればより多くの節税効果が得られるかという点は、寄附先団体の活動内容とともに確認しておきましょう。

自分に合った節税を

日常からムダを見つけるパッシブ型節税

パッシブ型節税の具体例は控除の性質別に紹介します。

日常生活の必要支出にかかる控除

医療費や生命保険、仕事に関連した支出など、日常生活において必要度合いの高い支出にかかる控除には以下のようなものがあります。

医療費控除、セルフメディケーション税制

「医療費控除」では、診察代や入院費など医療行為を受けるためにかかった費用が年間10万円を超えた部分を所得から控除できます。家族の分を通算して算出できますが、それでも年間10万円の医療費が発生しない、という人には「セルフメディケーション税制」という制度もあります。

これは要指導医薬品及び一般用医薬品のうち、医療用から転用された医薬品である、「スイッチOTC医薬品」の購入額が1万2,000円を超えた場合に上限8万8,000円まで控除できるものです。 対象の医薬品かどうかは領収書等で確認できます。日頃、薬を購入することが多い人は利用できる可能性があります。

生命保険料控除、地震保険料控除

生命保険や地震保険などにかかる支出は、年間支払い額の一定額が所得から控除される可能性があります。契約締結の時期や保険商品の種類により適用の有無等が異なりますので、まずはご自身の生命保険・地震保険が控除対象か、もしそうであればどれぐらい控除できるのかを確認してみましょう。

特定支出控除

「特定支出控除」は、通勤費や研修費、衣服費などで会社からの証明書がもらえるものの総額が給与所得控除額の2分の1を超えた場合に適用できます。実際に適用対象となる人は多くありませんが、単身赴任中で「帰宅旅費」が発生している人などは適用できる可能性があります。

住宅関連の控除制度

住宅に関する控除制度には以下に挙げるような制度があります。

住宅ローン控除

マイホームを購入した人におすすめなのが、年末のローン残高の1%を税額控除(最大40万円)できる「住宅ローン控除(減税)」。 

10年間の利用で最大400万円の税金が節約できるとなれば、利用しない手はないでしょう。申告に関しても、自身での確定申告が必要になるのは初年度のみなので、手間の面においてもそれほどデメリットは感じないはずです。

災害減免法、雑損控除

自然災害による家屋の損壊などに対しても節税できる制度が用意されています。「災害減免法」と「雑損控除」です。一般的に雑損控除を利用する場面の方が多いようですが、災害で受けた損害額が「時価の2分の1以上」などの条件を満たしている場合、災害減免法による節税効果は非常に大きくなります。 

また雑損控除は計算方法が少々複雑なため、どちらを適用すべきか判断する際には税理士などの専門家に相談することも検討しましょう。

今回は「サラリーマンでもできる、節税のポイント」と題して、サラリーマンが節税対策を行うに当たってのポイントを3つ紹介しました。まずは「知る」、「動く」、「探る」という節税の3原則を押さえること。節税は継続的に取り組めばメリットを享受できる機会が増えますが、途中、節税の目的や方向性が曖昧になってきたときには、この3原則に立ち返るようにしてみてください。 

2つ目のポイントは「アクティブ型」と「パッシブ型」という節税の2つの「型」を理解することでした。まず大枠から把握して、次に細分化されたそれぞれの節税法を選んでいくという方法は、意図しない結果を招くことを防ぐ効果も期待できるでしょう。 

最後に、節税方法の「パーソナライズ」により自身に適した節税方法の見直しを継続的に実践していくことも大切なポイントです。サラリーマンであれば、ビジネスにおいて業務を継続的に改善するための方法としてPlan→ Do→ Check→ Actの 4段階を繰り返すPDCAサイクルを求められる場面を経験している人も多いのではないでしょうか。節税対策のパーソナライズについても同様にPDCAサイクルを回すことが求められます。

つまり、節税の計画を立て(Plan)、それを実行に移し(Do)、定期的に成果をチェックする機会をもち(Check)、より自分に適した方向へ修正していく(Action)というサイクルを回すことが節税行動においても重要となるのです。 

今回紹介した3つのポイントを押さえながら、資産形成の1つとして節税対策を実行していきましょう。

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