ギグワーカーとは 日本でも急増する注目の働き方

厚生労働省が進める「働き方改革実行計画」に関連して、新しい働き方や副業が注目される中、日本でもギグワーカーと呼ばれる働き方を選ぶ人が増えてきました。

アルバイトやフリーランスと同じく非正規雇用に含まれるギグワーカーですが、アルバイトやフリーランス(個人事業主)とは似ているようで異なった特徴を持っています。 

昨今メディアで取り上げられるなど注目度が高く、今後も増加が予想されるギグワーカーについて解説していきます。

新しい働き方

ギグワーカー(Gig Worker)とは、主に仲介事業者がインターネット上で募集している単発の仕事をこなして収入を得る人のことを意味します。 

ギグワーカーの語源を遡ると、ギグワーカーのギグとは、音楽業界用語が元になっているとされています。アメリカでは昔、ジャズミュージシャンが単発で行うライブハウスでの演奏を「Gig(ギグ)」と呼んでいたそうです。

このアメリカの音楽業界で使用されていたスラング(俗語)が由来となり、単発での仕事を得る人をギグワーカーと呼び、また、その単発の仕事をこなす働き方のことを「ギグエコノミー」と呼ぶようになりました。 

ジャズが発祥

日本におけるギグワーカーの状況として、日本経済新聞(2020/6/23電子版)に「日本のギグワーカー100万人増 20年上半期」とする記事が掲載されました。 

日経新聞にあるように、新型コロナウイルスの感染問題もギグワーカーが増加を後押しする一因となっているようです。

自由に働く

料理宅配サービスであるUber Eats(ウーバーイーツ)の配達員は代表的なギグワーカーに該当しますが、近ごろ街中で大きなバッグを持った配達員を見かけたり、注文する側として接したりしたことがある人も多いのではないでしょうか。

新型コロナウイルスの影響で世界の生活様式が一変する中、医療従事者などに代表される暮らしを支える労働者は、「エッセンシャルワーカー」と呼ばれますが、外出自粛が要請される中で料理の配達をするウーバーイーツの配達員は、ギグワーカーでありながら、エッセンシャルワーカーとも呼べる存在とも言えそうです。

人のために働く

ギグワーカーは、単発の仕事をこなすため、空き時間を利用して自由に働くことができます。そのため、会社などに拘束されない自由な働き方が可能です。 

ギグワーカーとアルバイトやフリーランスとの違い

ギグワーカーは以前からあったアルバイトやフリーランスと混同されがちですが、決してこれらに新しい呼び名をつけただけという性質のものではありません。 

正社員として会社にしばられる生き方を選ばないという意味では、労働に対するスタンスは近しいものがありますが、それぞれ契約形態が異なります。 

まず、アルバイトは企業と雇用契約を締結します。一般的に高いスキルを求められることがない業務がメインとなるため、時給や日給として報酬が支払われることが多く、いわば「時間」を提供して「給与」という報酬を得ることになります。

フリーランス

次に、フリーランスは「単発の仕事」という点ではギグワーカーと同じですが、個人で仕事を請け負い、依頼者に専門技術やスキルを提供する働き方です。企業との雇用契約は存在しませんが、案件によって、1日で終わるものもあれば、プロジェクトとして長期に時間的拘束がかかることもありえます。報酬は、案件ごとでの契約によって決まるのが一般的です。 

フリーランスを本業として行う場合、信頼を損なう仕事をしてしまうと次の案件を請け負うことは難しくなってしまいます。そのため、よりプロフェッショナルな姿勢と結果が求められると言えるでしょう。いわば成果報酬型として信頼を積み重ねていく必要があります。 

そして、ギグワーカーは主にインターネット上で「単発の仕事」をうける働き方です。マッチングサイトと呼ばれる人手を求める企業などの依頼者側と、スキマ時間で働きたい人をつなぐサービスを利用して行うのが一般的です。 

マッチングサイトに登録することで、自分の空いている時間に仕事を入れることができ、好きな時間に好きなだけ仕事をする働き方です。契約形態は雇用契約と業務委託契約のどちらもありえます。 

フリーランスでも単発の仕事を行うことがありますが、先述したようにフリーランスの場合は、プロジェクトを完遂させるために長期に時間的拘束がかかるものもあります。アルバイトやフリーランスより、より柔軟性の高い働き方がギグワーカーと言えるでしょう。

仕事を選ぶ

ギグワーカーとして働くには、ギグワークを扱う求人サイトに登録して行うのが一般的です。
以下のサイトを紹介いたします。 

  • Uber Eats(ウーバーイーツ)
    https://www.ubereats.com/jp
  • Crowd Works(クラウドワークス)
    https://crowdworks.jp/
  • Timee(タイミー)
    https://timee.co.jp/ 

Uber Eats(ウーバーイーツ)

先にも紹介したウーバーイーツは、料理の宅配に特化したギグワークを行うことが可能です。 

これまでの飲食店が配達や出前を導入する場合、独自で用意したスタッフや交通手段によって行われてきましたが、そのような用意がない飲食店がウーバーイーツと契約することで、ウーバーイーツに登録したギグワーカーが配達員となって注文者へ飲食店の料理を届ける仕組みです。 

ウーバーイーツに登録したギグワーカーは、シフトもなく、スキマ時間で業務を行うことができるので、ウーバーイーツは正にギグワーカーが行う代表的な仕事のひとつと言えるでしょう。 

Crowd Works(クラウドワークス)

クラウドワークスは、日本の大手クラウドソーシングサイトです。案件も豊富で、業務内容も多岐にわたります。 

中には、スキルを要する案件や、6~9か月の長期でひとつの仕事をする場合もあるので、フリーランスが活用するサイトでもあります。 

自分にあった案件をうけることができれば、オンライン上で報酬の支払いまでを一括で行われるサービスがある上、大手ならではの安心感があるでしょう。 

Timee(タイミー)

『タイミーは空いた時間に働きたい人とすぐに人手が欲しい店舗・企業をつなぐスキマバイトアプリです。』と自ら謳っている通り、飲食店やオフィスワーク、軽作業などの業務を4~6時間程度、面接・履歴書なしで行えるサイトです。 

クラウドワークスの方が案件は豊富ですが、よりギグワーカーとしてスポット的に働くイメージに近いのは、タイミーだと言えるでしょう。 

このタイミーを運営する小川嶺(おがわ りょう)社長は2019年当時、弱冠22歳で投資家らから合計23億円もの資金調達に成功したということでも話題となりました。

働き方も色々

ギグワーカーの仕組みは、ギグワークを行う働き手側とギグワーカーに仕事を発注する企業などの依頼者側、それぞれにメリットとデメリットがあります。 

働き手側のメリットとデメリット

働き手側のメリットとしてはなんと言っても時間の自由度が高い点です。気軽に自分の裁量でスケジュールを組めるため、たとえば育児や介護などの問題を抱える場合にも取り入れやすい働き方と言えるでしょう。 

また、本業を持つ人が副業としてギグワーカーを行うのも有効です。本業以外の収入を得られるとともに、いつもとは違う仕事を行うことで気分転換にもなるかもしれません。 

一方でデメリットとしては、収入が安定しないということです。ギグワークは単発の仕事であるため、必ずしも自分の思い通りの内容とタイミングで仕事の獲得ができるわけではありません。自分に都合のよい仕事を獲得できなければ、当然収入も得られないのです。 

また、特に注意しなければならないのが、ギグワークの中には独自の補償制度を備えている場合はあるものの、ギグワーカーは基本的に雇用保険などの社会保障制度からは適用外となっている点です。 

万が一、事故やトラブルに巻き込まれた際には、個人で責任の負担を強いられる可能性も少なくないという点を意識しておく必要があります。

ギグワーカーも色々

依頼者側のメリットとデメリット

ギグワーカーに仕事を発注する依頼者側のメリットとしては、正規での雇用を必要としないため福利厚生費などを含めた人件費の経費削減につながるという点です。 

たとえば、アルバイトを雇う場合、業務の発生しない空き時間でも時給という人件費が発生してしまいますが、ギグワーカーを利用する場合、それが発生しないことになります。 

また、採用にかける費用と、それにともなう時間的コストも削減できることになります。必要なときだけ必要な分を発注できるというのは、依頼者側にとって大きなメリットとなるでしょう。 

デメリットとしては、ギグワーカーにも当然、個人の能力差があります。面接などを経ない形で業務を依頼する形となるため、能力を判断する機会はほかの雇用形態と比べて少ないと言えるでしょう。 

そして、期待する能力のギグワーカーが、期待するタイミングで確保できない場合も想定しておく必要があります。 

政府による働き改革の推進や、将来の経済的リスク回避のために副業を求める人が増えています。副業のハードルが低くなっている今、ギグワーカーとして働くことを選択する人も増加することが予想されます。 

また、副業を持つ理由も収入を目的とするもののみならず、ますます気軽なものとなり、気分転換や、ウーバーイーツのような配達員であれば体力づくりやダイエットのためとする人も増えるかもしれません。コロナ禍においては、フェンシング オリンピック銀メダリストの三宅諒選手がウーバーイーツの配達員として体力維持をはかったというニュースもありました。 

終身雇用制度は、すでに日本でも終わりを迎えたと言っても過言ではない状況ですが、1つの企業との雇用関係のみを収入源とするスタイルもこれからは過去のものとなり、複数の収入源を持つことが当たり前になっていくのではないでしょうか。将来のあなたにもその選択肢のひとつとして、ギグワーカーがあるのかもしれません。

これからのギグワーカー

ギグワーカーは、思うように収入が得られず貧困の側面として語られたり、現状では雇用保険などの点で法整備が追いついていない部分があったりするなど問題もあります。 

また、所得より自由時間を優先したい若い世代がギグワーカーとして働き、年齢を重ねた先になにが待ち受けるのかは、まだ未知数です。 

しかし、短時間で柔軟に働けるギグワークはやはり魅力的です。副業としても行え、隙間の時間でスキルを磨いたり新しい仕事にチャレンジしたりするなど、将来的にフリーランスを目指す人にもきっかけとして有効に活用できるでしょう。 

あなたもギグワーカーとして、新しい一歩を踏み出し、チャンスを掴んでみてはいかがでしょうか。

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