ニューノーマルは、保険も不動産もオンラインで購入する。資産運用の新たな形

ニューノーマルは、保険も不動産もオンラインで購入する。資産運用の新たな形

「いままでの常識が大きく変わる」といった場面で活用されるケースが増えてきている「ニューノーマル」という言葉。
新型コロナウイルス禍の現在、目にする機会が増えたという印象を持っている人も多いでしょう。「ニューノーマル時代」という使われ方がされるように、まさに時代の変革期にある現在を象徴するキーワードとなっています。

はじめに、ニューノーマルについて説明します。

新しい「正常」「常態」――ニューノーマル

ニューノーマル(New Normal)は、日本語に直訳すると新しい(New)正常(Normal)となり、「新しい正常」や「新常態」などと表記されます。

この「ニューノーマル」という言葉は元々、ビジネスや経済学の分野における大きな景気後退後の金融上の状態を意味する用語として生まれたとされています。2014年には、中国の習近平国家主席が「中国経済は『新常態』の段階に入った」と述べ、これがニューノーマルと訳されるなど、以前より「ニューノーマル」という言葉は使用されていました。

そして、2020年。新型コロナウイルスが世界中で蔓延し、マスクの着用やソーシャルディスタンスの確保など生活様式にまで及ぶニューノーマルが誕生したと言えるでしょう。新型コロナウイルスをきっかけとして、このニューノーマルという言葉が改めて注目を集めています。

新型コロナウイルス蔓延で余儀なくされた変化

真夏にマスクを着用する人が街にあふれるなど、かつては見られなかった異常とも言える事態が、すでにありふれた光景となっています。

新型コロナウイルスに関しては、現時点(2020年8月)で未知数なことが多く、今後も色々な場面でニューノーマルが生まれることが予想されます。そして、人類史にも残るであろうこのコロナ禍は、生命を脅かすのと同時に世界的な経済不安を招いています。

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広がる経済不安と「ウィズコロナ」

2020年5月7日付の日本経済新聞には『JR各社、GWの輸送人員は95%減』との記事がありました。移動制限による利用の落ち込みで、需要が前年比わずか5%となっています。

移動制限による関連事業の経済的ダメージは計り知れず、回復の見通しも立っていないのが実情です。政府による『GoToトラベル』政策も新型コロナウイルスの感染拡大が収まらない時点では時期尚早だったとの声が強く、東京都在住者と東京都を目的・発着する旅行は対象外とされるなど対応も空回りし、期待ほどの効果は得られていない印象です。

ニューノーマルとともに、一時「アフターコロナ」や「ポストコロナ」という言葉も目にしましたが、実情に沿うのは「ウィズコロナ」でしょう。現実的に経済活動をこのまま停滞させた状態をいつまでも継続するというのは考えにくいため、コロナとの共生を命題に、これからのニューノーマルを形成していく必要がありそうです。

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ニューノーマルな働き方

移動制限はもとより外出自粛までもが求められる中、目立って増加した消費スタイルがあります。飲食店のデリバリーサービスです。

飲食店によるデリバリーサービスは古くからあるスタイルですが、ウーバーイーツなどの普及により、これまで自らが宅配手段を持たず、デリバリーに対応していなかった飲食店でも、デリバリーサービスの提供が可能となりました。コロナ禍においては、接触の可能性がある外出を避ける目的でデリバリーサービスを利用する消費者が増加しているのでしょう。

この需要増加にともない、ウーバーイーツなどで配達を行う「ギグワーカー」と呼ばれる働き方を選ぶ人が日本でも増加傾向にあります。新型コロナウイルスの影響は、さまざまな形で各所に及んでいるようです。

緊急事態宣言の発令後、多くの企業でテレワークの導入が進むなど働き方は大きく変わりました。コロナ禍以前から厚生労働省は「働き方改革」と銘打って、個人を尊重した働き方の選択肢を増やす社会的取り組みを実施してきましたが、そのひとつとしてあったテレワークの導入が半ば強制的とも言える形で現実のものとなりました。場合によっては数十年かかっていたであろう変化が、この数か月という短期間で訪れたのです。

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ニューノーマルなライフスタイル

テレワークの導入が進めば、必然的に出勤の機会が減少します。そうなると居住地について通勤の利便性を優先する度合いが低くなる可能性があります。都会の企業に勤めながら自然豊かな土地で暮らすというライフスタイルも珍しくなくなるかもしれません。

一方、企業側もオフィスの規模やロケーションなどについて見直しをはじめても不思議ではありません。また、雇用についても居住地にかかわらず遠隔地からでも優秀な人材を募ることができるという利点が生まれるでしょう。

働き手にとってはテレワークという新たな労働力の提供方法の選択肢が得られた一方、過当競争に参入せざるを得ない状況に陥るかもしれません。この状態は、雇用の不安定さと所得格差の拡大を生む可能性があるでしょう。

将来の経済的不安を見越し一日も早い資産形成をスタートすることは、ニューノーマルのひとつとして定着するかもしれません。

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ニューノーマルにおいては働き方の変化を一例として、取り巻く環境があっという間に一変する事態に備えておく必要があるでしょう。

昨今の老後2,000万円問題に加え、この度の新型コロナウイルスの蔓延で経済不安がさらに拡大しました。将来を見据えた資産運用を考える人も増えているのではないでしょうか。

資産運用を提案する側でも新型コロナウイルス禍を経験し、ニューノーマルを見越した新たな形がスタンダードとなりつつあるようです。ここではふたつの例を紹介します。

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保険契約のオンライン活用

ひとつ目は保険です。

2020年6月29日付 日本経済新聞 電子版に『第一生命、オンラインで保険販売へ大手生保で初』との記事が掲載されました。

保険契約となると、これまでは営業職員による対面での販売が一般的でした。しかし、この新しい仕組みを利用すると保険加入を求める顧客は営業職員と実際には一度も会わずに、オンライン上で保険の提案や説明など必要な説明を受け、加入までの契約に関わる一連の流れをすべて完結できるとのことです。非対面型での販売ニーズは販売者側・顧客側、どちらからもあるでしょう。

物理的距離からの解放は、顧客対象の拡大という側面でも寄与するのではないでしょうか。

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海外不動産購入のオンライン活用

ふたつ目は海外不動産投資です。

不動産投資は、資産運用としてはすでに目新しいものではないでしょう。しかし、海外不動産となるとまだハードルが高いと感じる人が少なくないかもしれません。

投資としての不動産購入を検討する場合、日本のような経済が安定した先進国ではリスクの少ない不動産が購入できるという利点がある一方、キャピタルゲイン(売買差益)のような大きな利益は生みにくいという側面があります。

その点、新興国と呼ばれる国で不動産を購入した場合、経済成長による国民所得や物価の上昇に伴う不動産価格の上昇で、キャピタルゲインが期待できます。反面、もちろんリスクもあります。新興国ならではのカントリーリスクや、日本とは違って資金を集めてから建築を行うプレビルドの仕組みを取り入れている部分がそれに当たります。

海外不動産を購入するにあたっては情報収集の難しさがありますので、信頼できる仲介業者を利用することなどが必要になってくるでしょう。

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そして、この新型コロナウイルス禍を経て、海外不動産購入にもひとつの新しい潮流が加わりつつあります。オンラインツールの積極的活用です。これまでは海外不動産と言っても一度は現地に足を運んでから購入するという投資家が多数派でした。しかし、新型コロナウイルスの影響によって渡航制限がかかり現地視察が困難な現状を踏まえ、現地へ行かずとも購入を進める人が少なくないようです。

その背景には、仲介業者とのオンライン上での十分な面談が可能になった点などがあります。今後は現地視察の代わりとなるVRやARの導入もさらに進むことが予想されます。通常のインターネットショッピングと同じように、世界中の不動産を現地に行かずとも購入できる時代がすでに到来しています。

変化に取り残されないための資産運用

ウィズコロナのニューノーマル時代には、資産運用についても新しいスタイルが生まれてきそうです。販売者側は商品やサービスの魅力を映像などでうまく伝える工夫と信頼の積み重ねが求められます。顧客側は慎重に販売者の見極めが求められるでしょう。

これからの資産運用は、これまで以上に積極的な情報収集を行うことが鍵となりそうです。日々、リテラシーの向上に努めることで変化への対応と、前例にとらわれず好機を逃さない迅速な意思決定を可能にしましょう。

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ニューノーマルでは、生活様式や働き方などさまざまな場面で変化が訪れることが予想されますが、どのように変わっていくのかは、まだ誰にも分かりません。これからの時代に求められるのは、どのように変わっていくかの答えを導き出すことではなく、いち早く変化に順応できる姿勢ではないでしょうか。

「これまでの常識が非常識となり、非常識が常識となる」という言葉が決して大袈裟ではないことは、すでに誰もが身をもって実感していることでしょう。

働き方ひとつにしても働きぶりが見えにくいテレワークでは、成果主義による評価が主流になるのではないでしょうか。世渡り上手という生き方は淘汰されるかもしれません。組織に属しながらもその意識から脱却し、各々が個人事業主的なマインドを持つことが必要です。

そして、あらゆる事態に備えるための資産運用は、今後も必須となってくるでしょう。お金に対する情報格差がそのまま収入格差となり、その格差はますます広がるのではないでしょうか。

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