不動産の利回りを徹底解説! 知識とリスク管理について学んでおこう

不動産への投資を考える場合、「利回り」は重要な判断材料のひとつです。ただし、利回りが高ければ高いほど良いと、単純にはいえません。不動産の場合、高利回りの裏には「リスク」が存在している可能性が高いからです。不動産投資における利回りについての基礎知識とリスク管理について解説します。

利回りとは

利回りとは、一定期間に投資した元本に対してどれだけの収益を得たかという割合を指します。通常は年換算で算出するため、「1年あたりの収益÷投資した元本」という計算式で利回りを求めることができます。例えば100万円をなんらかの商品に投資して、3年後に103万円を受け取った場合を考えてみましょう。

・1年あたりの収益… 3万円(103万円-100万円)÷3年=1万円

・利回り… 1万円÷100万円=0.01(1%)

このケースは、利回り1%となります。

不動産投資の利回り

不動産投資の利回りも計算式は同じで、「年間家賃収入(1年あたりの収益)÷物件価格(投資した元本)」で算出します。

例えば2,500万円でマンションを買って、月9.5万円の家賃収入があるとします。

・年間家賃収入…9.5万円×12カ月=114万円

・利回り…年間家賃収入114万円÷物件価格2,500万円 =0.045

このケースでは、利回り4.5%ということがわかります。

同じ金額を投資する場合、利回りが高ければ高いほど、収益が高いことになります。投資はお金を増やすのが目的なので、物件を選ぶ際に利回りを重視する人が多いのですが、利回りの高さだけで決めるのは危険です。

利回りと空室リスクの関係とは?

その理由は大きく2点あります。1点目は、物件紹介サイトなどに書かれている利回りは、「経費や税金などを考慮しない」「常に満室となることを前提とする」など、さまざまな条件を満たすことが前提の数値になっている場合があること。2点目は、高利回りであればあるほど、なんらかのリスクがある可能性も高まると考えられることです。

不動産の売却価格は、不動産会社が出した査定価格を参考に、最終的には売り主が決めます。もっとも、あまりに高い価格をつけると売れないおそれがあるため、査定価格に近い金額に落ち着くケースが多いようです。

では、不動産会社は収益物件の査定価格をどのように算出しているのでしょうか? 一般的に使用されているのは「収益還元法」という方法です。将来見込める「収益」に対しての妥当な投資額(物件価格)を出す方法で、「年間家賃収入÷還元利回り」の計算式で算出します。還元利回りとは、この物件は「かなり条件がいいので利回りが良くなくても売れる」「駅から徒歩20分も離れているので利回りを良くしないと売れない」など、その物件の空室リスクまでをも考慮して設定するものです。

つまり、「駅から遠い」「狭い」「古い」など、空室につながりそうな要素のある、リスクの高い物件ほど利回りが低いと売れない恐れがあるため、基本的に高く設定されているということです。首都圏の物件よりも地方の物件の利回りが高い場合があるのも、同じ理由からです。

不動産投資の利回りは2種類

さきほど、「物件紹介サイトなどに書かれている利回りは、経費や税金などを考慮していない場合がある」と紹介しました。これを「表面利回り」といい、経費や税金を考慮した利回りを「実質利回り」といいます。不動産の利回りは、大きく分けてこの2種類です。それぞれの特徴と使われ方を見ていきましょう。

表面利回り(グロス利回り)

表面利回りは、年間の家賃収入を単純に物件価格で割って算出します。さきほど例に挙げた5,000万円のマンションの利回りは、この表面利回りです。英語では、「大まかな」という意味のgrossという単語を使うため、グロス利回りとも呼ばれます。

計算式は前述の通り「年間家賃収入(1年あたりの収益)÷物件価格(投資した元本)」で、物件の管理にかかる費用や税金などの出ていくお金がまったく加味されていません。したがって、実情を正確に表す利回りではないことを知っておく必要があります。

実質利回り(ネット利回り)

表面利回りに、管理にかかる費用や税金などの出ていくお金を考慮して出す利回りが、実質利回りです。英語では「正味の」といった意味の単語netを使うため、ネット利回りと呼ばれることもあります。

{年間家賃収入―年間必要経費(管理費、住宅ローン返済額、固定資産税など)}÷{物件価格+物件取得時にかかった費用(仲介手数料、火災保険料、不動産取得税など)}という計算式で算出します。

年間必要経費や物件取得時にかかった費用は、不動産会社に確認するなどして実際の数値がわかればそれを当てはめるのが正確ですが、必要経費は家賃収入の20~30%、物件取得時にかかった費用は物件価格の5~10%など大まかな数値を入れて計算することもできます。

なお、年間必要経費には、その周辺の空室率から予想される空室損失分まで入れておくと、リスク管理になります。

利回りと関係のあるリスクを管理

以上が「表面利回り」と「実質利回り」の説明ですが、必要経費を考慮した実質利回りのほうが、実情に即した利回りといえます。それにもかかわらず、広告で表面利回りを使うのは、利回りの高さを演出できるというだけでなく、経費は年々変わるため実質利回りは現実問題として使いにくい指標であるといった理由からでもあります。そのため、投資物件を購入する際は自身で実質利回りを算出し、その数値で検討することをおすすめします。

なお、利回りが高い物件ほど空室リスクが高いと説明しましたが、それでも利回りが高いことは、投資商品として魅力があることには違いありません。うまくリスク管理をしていくことができれば、やはり「お買い得」といえます。

駅からは少し遠いけれど、近くに大学があって学生に魅力をアピールできれば入室が増えそう、内装をおしゃれにすれば女性に喜ばれそうなど、工夫次第でリスク低減は可能です。また、仲介する不動産会社との調整が必要な場合もありますが、敷金や礼金、更新料、フリーレント期間(1カ月や2カ月など家賃無料サービスの期間)を設けるなど、柔軟に対応することも時には有効です。

利回りの高さを過信するのは危険ですが、軽視しすぎると今度はせっかくの良い物件をみすみす見逃すことにもつながりかねません。不動産の利回りの性質をしっかり把握し、できればお買い得で、安定した収益を得られる物件の取得を目指したいものです。

モデルケースで比較! 2種の利回りの違い

表面利回りと実質利回りについて、簡単なモデルケースで計算して、違いを見てみましょう。

モデルケース1 (都心で築浅の物件を購入した場合)

物件価格 3,000万円

物件取得時の費用 300万円

年間家賃収入200万円 経費30万円

・表面利回り 200万円÷3,000万円≒0.067 → 6.7%

・実質利回り (200万円―30万円)÷(3,000万円+300万円)≒0.051 → 5.1%

モデルケース2(地方にある年数の経った物件を購入した場合)

物件価格 1,500万円

物件取得時の費用 200万円

年間家賃収入 200万円 経費 120万円

・表面利回り 200万円÷1,500万円≒0.13 → 13%

・実質利回り (200万円―120万円)÷(1,500万円+200万円)≒0.047 → 4.7%

モデルケース1は、都心で築浅物件のため、管理費を抑えることができて空室損もほとんど考慮する必要がなく、経費が少なくすみました。一方モデルケース2は、地方にある年数の経った物件で、管理費や空室損がかさみ、経費がふくらんでしまいました。

そのため、2のほうが表面利回りでは倍も高かったのですが、実質利回りでは1のほうが高い結果になりました。かなり極端な例ですが、表面利回りだけで判断するのは危険なことが伝わったでしょうか。

このように、表面利回りだけで決めずに、実質利回りも計算して物件を検討することをおすすめします。

まとめ

不動産投資を考える際に知っておきたい2種類の利回り「表面利回り」「実質利回り」。その基本知識と、高利回りの裏にあるリスクおよび管理の方法をしっかり理解しておき、良い物件を見極める力をつけましょう。利回りをしっかり計算し、計画的に不動産投資を行うことが重要です。

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