老後破産を回避せよ! 現役の今こそ知っておきたい定年後の働き方

定年後に生活費などを借金し返済ができなくなってしまう「老後破産」という言葉を聞くことがあります。定年後の働き方や備え方を知れば、将来安定した生活ができる可能性は高まるでしょう。今回は、老後破産を回避するため、定年後にできる働き方の種類と、現役の間に始めたい備えについて解説します。

定年後にできる働き方の種類

総務省発表の「家計調査報告(家計収支編)―平成29年(2017年)平均速報結果の概要―」によると、高齢夫婦無職世帯では年金などの収入が約21万円であるのに対して、平均支出は約26万円です。つまり、毎月5万円ものマイナス分を、貯蓄の切り崩しなどで補っているということになります。さらに、内閣府による日本の人口予測によると、2015年には現役世代2.3人で1人を支えている状態であったのに対し、2065年には1.3人で1人を支える状態になると予測しています。

このような状況下で、年金のシステム自体が破綻することはないとしても、今後年金だけで生活のすべてを補うのは、ますます困難になるのではないでしょうか。老後破産を避けるためには、現役のころから定年後の働き方を考えていく必要があります。

定年後の働き方としては、以下のようなものがあります。

継続雇用制度(再雇用)

「高年齢者雇用安定法」第8条の規定により、従業員の定年を定める場合には、60歳以上とする必要があります。また「高年齢者雇用確保措置」により65歳未満に定年が定められている場合には、「65歳までの定年の引上げ」「65歳までの継続雇用制度の導入」「定年の廃止」のいずれかを実施しなければなりません。

継続雇用制度には「勤務延長」と「再雇用」がありますが、それぞれの特徴は以下のとおりです。

Ø  勤務延長…定年を迎えた従業員が引き続き雇用される制度

Ø  再雇用…定年を迎えた従業員がいったん退職し、勤めていた企業に再度雇用される制度

転職・再就職

高年齢者雇用安定法第15条では、45歳以上65歳未満の従業員を解雇する場合、事業主は再就職援助に努めることが定められています。再雇用や雇用継続が難しい場合で、従業員が希望するときには、事業主が積極的に次の職場探しに協力しなければなりません。

定年後に仕事を探す方法としては、上記以外に「知人からの紹介」や「人材紹介会社」、「シルバー人材センター」、「シニア向け求人情報サイト」の活用など様々な手法が挙げられます。また、再就職に向けて新たなスキルを身につけるため、求職者支援訓練などの公的な支援制度を活用するケースもあるでしょう。

雇用形態については、平成28年版「厚生労働白書」によると65歳以上で働く人の74.2%は非正規となっており、アルバイトや契約社員、嘱託社員、派遣社員といった働き方をしている人が多いことがわかります。定年後に正社員として働きたいという場合でも、正社員として雇用されるのはハードルが高いといえます。

独立・起業 (自営業)

人生の長い時間を被雇用者(サラリーマン)として過ごしてきた人のなかには、定年後は好きなことを職業として生きていきたいと考える方もいるでしょう。中小企業庁の2017年版「中小企業白書」によると、起業家全体のうち60歳以上で起業した人の割合は、1979年に男性8.4%、女性4.6%だったのに対し、2012年では男性35.0%、女性も20.3%と増加傾向です。

起業する場合は、事業プランや実行計画、資金計画を明確に作成することが重要です。定年後の独立や起業を考えるのであれば、若いうちに少しずつ情報を集め、起業の準備をしておくことよいでしょう。

過去の経験やスキルを活用して起業する場合も、人脈作りをしたり採算性についての知識を得たりするなど、起業までにやっておくことはたくさんあります。十分に準備を整え、慎重すぎるほどの姿勢で独立を目指す心構えが必要です。

定年後に働いた場合、年金は減額される?

定年後に働いた場合、年金の受給額はどのような影響を受けるのか見てみましょう。

「在職老齢年金」は、厚生年金を受給できる年齢に達している人が働いて給与を受け取っている場合、給与額により年金を減額支給する制度です。対象となるのは厚生年金部分で、基礎年金(国民年金)はこれにあたりません。年金の基本月額と総報酬月額(毎月の給料+1年間の賞与を12で割った額)の合計額が、一定の基準を超える場合に減額支給の対象となります。

この制度では、以下のように減額基準が異なります。

Ø  60歳以上65歳未満

・基本月額と総報酬月額相当額の合計額が28万円以下の場合…全額支給(支給停止額は0円)

・基本月額が28万円以下で、総報酬月額相当額が46万円以下の場合…支給停止額は(総報酬月額相当額+基本月額-28万円)×1/2×12

・基本月額が28万円以下で、総報酬月額相当額が46万円を超える場合…支給停止額は{(46万円+基本月額-28万円)×1/2+(総報酬月額相当額-46万円)}×12

・基本月額が28万円を超え、総報酬月額相当額が46万円以下の場合…支給停止額は総報酬月額相当額×1/2×12

・基本月額が28万円を超え、総報酬月額相当額が46万円を超える場合…支給停止額は{46万円×1/2+(総報酬月額相当額-46万円)}×12

Ø  65歳以上

・基本月額と総報酬月額相当額の合計額が46万円以下の場合…全額支給(支給停止額は0円)

・基本月額と総報酬月額相当額の合計額が46万円を超える場合…支給停止額は(総報酬月額相当額+基本月額-46万円)×1/2×12

定年後も働き続ける場合は、上記のように毎月の収入額によって年金が減額される場合があるため、働き方に注意する必要があります。継続雇用されたり、転職・再就職を行ったりする際は、働き方や報酬について勤務先と事前に相談することをおすすめします。

定年後に働けなくなった場合は?

ここからは、定年後に働くことができなくなった場合の備えとして、資産形成を行う方法をいくつか紹介します。

財形貯蓄

財形貯蓄は、あらかじめ指定した金額が給料やボーナスから自動的に天引きされる仕組みなので、毎月意識することなく貯蓄できることがメリットです。勤労者が無理なく資産を形成するために、「勤労者財産形成促進法」に基づいて運営されています。

財形貯蓄には一般財形貯蓄・財形住宅貯蓄・財形年金貯蓄の3種類がありますが、このうち、財形住宅貯蓄と財形年金貯蓄は契約時満55歳未満という年齢制限があります。一般財形貯蓄ならば、年齢制限がなく何歳からでも始めることができます。また、財形住宅貯蓄と財形年金貯蓄は、双方合計で最高550万円までの元本から生じる利子が非課税となります(毎月の積立額と積立額から生じる利子の合計額が550万円までに限り、利子が非課税となります)。一般財形貯蓄は税制の優遇措置がありませんが、原則年20.315%の分離課税(特定の種類の所得を他の所得と分けて課税する制度)が適用されます。

貯蓄性が高く、節税面でのメリットもある財形貯蓄ですが、基本的には退職時に解約する必要があります。ただし、退職した日から2年以内に再就職した場合で、雇用された会社にも財形制度があるときには、前の会社から財形貯蓄の残高を引き継ぎ、継続することが可能です。

積立定期預金

毎月預金の積み立てを行い、計画的に預金をする方法です。普通預金から定期預金に自動的に振り替えられるのが特徴です。長く低金利の時代が続いてきた日本では、いまだに定期預金の金利が低い水準にあります。現状の金利で老後資金を蓄えようとすると、かなり早い時期から積み立てを開始する必要があるでしょう。

メガバンクといわれる大手都市銀の定期預金の金利は0.010.02%程度(201810月現在)です。有利に貯めようと思うなら、ネット銀行の短期定期など比較的金利の高い商品を探してみるとよいでしょう。

個人年金保険

安定して資産形成ができる方法として人気があるのが、個人年金保険です。一般の生命保険料控除とは別枠で控除が受けられ、途中で解約しない限りは引き出せないため、確実に貯められるメリットがあります。

一方で、契約している保険会社が破綻すれば、掛け金が戻らないというリスクもあります。「生命保険契約者保護機構」による利用者保護の制度もありますが、年金額のすべてを受け取れるわけではないため、注意しましょう。

また、個人年金保険には受取年齢による加入年齢の制限が設けられていますので、老後の資金として検討している方は少しでも若いうちに加入するのが好ましいでしょう。

つみたてNISA

「つみたてNISA」は、少額からの長期積み立てや分散投資を支援するために設けられた非課税制度です。一般的には少額の積み立てによる投資信託で運用し、年間40万円まで20年間投資ができます。投資で出た利益が非課税になるという大きなメリットがある一方、通算で800万円までの投資しかできません。大きな金額での積み立てやリスクを抑えた投資を考えている方におすすめの方法です。

不動産投資

定年後に働けなくなった場合に備えるには、資産運用が有効です。ワンルームマンション投資であれば、ローンを利用することで、初期費用を抑えて投資を始めることができます。定期的な家賃収入が得られるという点で、老後の備えに向いているといえるでしょう。また、マンションの管理を不動産管理会社に任せれば、あまり手間がかからないというのもメリットです。

まとめ

不透明な将来を考えると不安ばかりが募りますが、現役の間にできるところから着手していけば、自分自身で生活を守ることができる可能性が高まります。まずは、現状を把握し、将来不足する金額を補う手段を考えることが重要です。定年後の働き方を考えたり、現役の間に備えをしたりしておくようにしましょう。

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