これで万全! 投資をするなら知っておくべき税金のこと

投資には、さまざまな形で「税金」が関わってきます。本来納めるべき税金を払わないのは日本国憲法違反であり「知らなかった」では済まされません。今回の記事では、投資に関係する税金について詳しく説明します。投資のなかには損益通算という制度を利用して節税につなげられるものもあるので、正しく、賢く投資を続けるために、税金の知識をしっかり身に付けておきましょう。

まずはここから! 所得税の基礎知識

投資によって所得が発生すると、「所得税」が課せられます。投資に関わる税金のほとんどが所得税ですので、まずは所得税の基本を理解しましょう。

所得は所得税法上「利子所得」「配当所得」「不動産所得」「事業所得」「給与所得」「退職所得」「山林所得」「譲渡所得」「一時所得」「雑所得」の10種類に分類されます。

課税方法と納税方法は、これら所得の種類によって決まります。

課税方法

Ø  「総合課税」……1年間に発生した所得(「退職所得」「山林所得」の2種類や分離課税が適用される所得は除く)を足して課税する方法です。税率は545%で、所得額に応じて税率が上がる累進課税となっています。

Ø  「分離課税」……他の種類の所得を足さずに、1年間に発生した1種類の所得のみに課税する方法です。所得額にかかわらず税率は20.315%(※)です。所得を受け取るときに一定の税額が源泉徴収され全ての納税が完結する「源泉分離課税」と、確定申告により他の所得と分離して税金を計算する「申告分離課税」の2種類があります。

※東日本大震災の復興のため、201311日~2037年(2037年)1231日までの間は、復興特別所得税を含めて、「本来の所得税率×102.1%」の税率になります。したがって、201812月現在の分離課税の税率は20.315%(所得税および復興特別所得税15.315%<15%×102.1%>+住民税5%)です。

納税方法

Ø  「申告納税」……自分で所得と税額を計算して、確定申告を行い納税する方法です。

Ø  「源泉徴収」……給与や利子、配当などの支払いをする会社などが所得税分を徴収し、納税者の代わりに納税する方法です。

投資にかかる代表的な税金をチェック!

前述の10種類の所得のうち、投資に関係してくるのは主に「利子所得」「配当所得」「不動産所得」「譲渡所得」の4種類です。この4種類について、内容を確認しましょう。

投資に関係する4種類の所得

Ø  「利子所得」……公社債(資金調達をしようとする国や地方公共団体、企業などが投資家から資金を借入れる際に発行する借用書)の利息や公社債投資信託(株式を一切組み入れず公社債などで運用した商品)の分配金などです。源泉分離課税が原則で、20.315%の税率で源泉徴収されます。

Ø  「配当所得」……株式の配当金や株式投資信託(株式を一部でも組み入れた投資商品)の分配金などです。「総合課税」の「申告納税」が原則ですが、「申告不要(※特定口座・源泉徴収あり利用)」「申告分離課税(「分離課税」の「申告納税」)」の選択ができます。

※特定口座とは、申告・納税などの手続きを簡単にするための口座です。確定申告をする場合、税額計算から納税まで自分でしなければいけませんが、この口座を「源泉徴収あり」で利用した取引については、証券会社が納税を代行してくれます。

Ø  「不動産所得」……主に建物や土地などを貸して得た家賃収入や地代から、必要経費を差し引いたものです。「総合課税」の「申告納税」ですので、所得の総額によって税率が異なります。

Ø  「譲渡所得」……建物や土地、株式などの資産を売却することによって得た額から、資産の取得費用と売却費用を差し引いたものです。本来、譲渡所得は総合課税ですが、不動産や株式を売却した場合の譲渡所得は申告分離課税となります。

次に、投資の種類ごとに、課税方法や納税方法がどうなるかを見てみましょう。

代表的な課税方法・納税方法

Ø  「株式投資」……株式を売却した際に発生する譲渡所得は20.315%の申告分離課税です。「特定口座・源泉徴収あり」を利用することも可能で、その場合は確定申告不要です。また、配当金を受け取るときには、上場株式などの配当については15.315%(他に地方税5%)、上場株式以外の配当については20.42%(地方税なし)の税率で源泉徴収されます。その後は、次の3つの選択肢があります。

・総合課税:確定申告が必要で、申告の際は源泉徴収された所得税分を差し引きます。配当控除が受けられます。

・申告不要(特定口座・源泉徴収あり):確定申告が不要で、源泉徴収で納税完了です。特定口座内で後述の損益通算ができます。

・申告分離課税:確定申告が必要で、申告の際は源泉徴収された所得税分を差し引きます。後述の損益通算ができます。

Ø  「投資信託」……株式投資信託の分配金は株式投資の配当金と同じ扱いです。公社債投資信託の分配金は「利子所得」ですので、原則、源泉分離課税です。分配金を受け取るときに20.315%の税率で源泉徴収されます。

Ø  「不動産投資」……家賃収入などの不動産所得は総合課税ですので、他の所得と合算して所得の総額に応じた税率で税額を算出します。不動産投資には、「所得税」以外に不動産購入時にかかる「不動産取得税」や所有時にかかる「固定資産税」など、所得税以外の税金も関係してきます。ただし、これらの税金は所得税の税額を計算する際の「必要経費」に算入できます。また、後述する給与所得との「損益通算」ができるなど、節税につながりやすいのが特徴です。

知らなきゃ損! 節税効果の大きい「損益通算」ができる投資

損益通算とは、一定期間における「所得」と「損失」を相殺することです。所得税は所得に税率をかけて税額を算出するものなので、損益通算によって所得額が少なくなると、支払うべき税額も少なくなります。投資で損益通算ができるのは、主に次の2つのケースです。

Ø  株式や投資信託などを保有していた間に得た配当所得と、売却した際に生じた譲渡損失の間で損益通算ができます。損益通算を受けるには原則的に確定申告が必要ですが、証券会社で「特定口座・源泉徴収あり」を利用している場合は不要です。

Ø  不動産所得は、家賃収入や地代の総額から「必要経費」を引いて算出します。必要経費には、管理費や保険料、そして実際には手元からお金が出ていかない減価償却費(物件の取得費用を少しずつ経費として毎年計上できる費用)なども含まれます。万一不動産所得がマイナスになった場合は、「他の所得」との損益通算が許されています。例えばサラリーマンの場合は「給与所得」との相殺ができ、結果的にかなりの節税となるケースがあります。

どちらのケースもその年に相殺しきれず損失が残る場合は、翌年から3年間同様であれば、損益通算(繰越控除)をすることができます。

投資に関わる税金  確定申告が必要な場合、不要な場合

投資に関係する所得税については、確定申告が必要な場合と不要な場合があります。「株式投資」「投資信託」「不動産投資」を例に、確認していきましょう。

※あくまでも投資における確定申告の必要性ですので、「給与所得が2,000万円超」「年末調整をしていない」などの場合は、確定申告が必要になります。

必要な場合

Ø  証券会社の「特定口座・源泉徴収なし」あるいは「一般口座」で株式や投資信託の取引を行っていて、年間20万円超の所得が発生した場合や、損益通算を受ける場合。

Ø  不動産所得が年間20万円超発生した場合や、損益通算を受ける場合。

不要な場合

Ø  証券会社の「特定口座・源泉徴収あり」を利用して株式投資や投資信託の取引を行っている場合。証券会社が税額計算から納税までを代行してくれるので確定申告は不要です。

Ø  不動産投資において発生した所得が年間20万円以下の場合。ただし所得が20万円以下というケースは少なく、万一損失が出ている場合は、前述の「損益通算」で節税ができますので、基本的に申告をすると考えておくといいでしょう。

なお、所得が年間20万円以下の場合は所得税が非課税のため確定申告は不要ですが、住民税については確定申告が必要です。申告の方法は自治体によって異なるので、自分の住んでいる自治体に確認しましょう。

確定申告をした経験がない人には面倒なイメージがあるかもしれませんが、いろいろな方法で手続きをすることができます。インターネットで作成して郵送したり、電子申告(e-Tax)を利用したりと、税務署に足を運ぶことなく家で作業を完結することも可能です。

まとめ

投資をすると、さまざまな税金を支払う必要が出てきます。知らなかったからといって、本来納付すべき税金を払わずにいれば、脱税になってしまいます。払うべき税金を理解し、漏れのないよう納付しましょう。また、「損益通算」の仕組みを理解し、支払う税金の額を抑えることも大切です。

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