自分の年ならいくらあればよい? 知っておきたい年代別貯蓄の目安

「日本人ほど貯蓄の好きな民族はいない」という話を耳にしたことがあるという方もいらっしゃるかもしれません。貯蓄は将来への不安や支出に対する備えです。生涯にわたり安定した生活をしたい場合、いったいどれくらいの貯蓄があればよいのでしょうか。年代別の貯蓄に関する調査結果とともに解説します。

自分なりに貯めているつもりでも、同世代の人がどれくらい貯めているのか、貯蓄額の目安を知っておくことは大切です。また、ライフイベントに備えるための貯蓄額の目安を調べるときは平均値を利用しがちですが、平均値は高額に貯蓄をしている人が数値を引き上げていると考えられます。そのため、中央値(データを順に並べたときに中央に位置する値)も同時に参照すると、より現実的な金額を確認できます。

それでは、金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](平成29年)」のデータを基に、年代別の貯蓄額の平均値と中央値を見てみましょう。

Ø  20歳代:平均値321万円、中央値77万円

Ø  30歳代:平均値470万円、中央値200万円

Ø  40歳代:平均値643万円、中央値220万円

Ø  50歳代:平均値1,113万円、中央値400万円

Ø  60歳代:平均値1,411万円、中央値601万円

Ø  70歳以上:平均値1,768万円、中央値600万円

全世代の貯蓄額の平均値は1,151万円、中央値は380万円という結果となっています。平均値は総額から割り出されるため、高額の貯蓄をもつ人がいれば、たとえ少数であっても平均値が上がります。

中央値は最も層の厚い部分ですが、平均値を下回る世帯数が多いことがわかります。さらにこのデータでは、貯金がまったくないという世帯が全体の約3割見られました。

各年代の貯蓄額はつかめたでしょうか。貯蓄を増やすには、何よりも貯蓄をしようという意思が必要です。使った残りを貯蓄するという漫然とした姿勢では、貯蓄を増やすのはなかなか難しいでしょう。収入のうちどのくらいを貯蓄に回すのか、いつまでにいくら貯めるのかという具体的な数字を考えることが重要となります。まずは年代別の中央値を目標にして貯蓄し、さらに平均額を上回ることを目指して地道に貯蓄をしていきましょう。

年代別の貯蓄割合

貯蓄額の中央値以外にも、以下のようなデータを利用して、貯蓄額の目安を決めることができます。

年代別の貯蓄割合

前述の通り、「収入のうちどのくらいを貯蓄に回すのか」という観点で貯蓄額の目安を決めることは有効です。先ほどの金融広報中央委員会の調査によると、年間手取り収入(臨時収入を含む)に対する各年代の貯蓄割合は以下のとおりです。

Ø  20歳代:平均16

Ø  30歳代:平均12

Ø  40歳代:平均10

Ø  50歳代:平均10

Ø  60歳代:平均8%

Ø  70歳以上:平均6%

上記の平均に強くこだわる必要はありません。「実家で暮らしているので手取り収入の30%の貯蓄を目指す」「共働きなので手取り収入の20%の貯蓄を目指す」「住宅を購入したので手取り収入の8%の貯蓄を目指す」というように、ライフスタイルに合わせて柔軟に目安を設定するとよいでしょう。

ライフイベントにかかる金額

貯蓄割合のほかにも、「自動車の購入」「結婚式」「子どもの進学」などのライフイベントに合わせて貯蓄の目安を決めるという方法もあります。代表的なライフイベントにかかる金額は、以下のとおりです。

Ø  マイカー購入:軽自動車は約140万円、普通車は約300万円(総務省が平成292月に実施した小売物価統計調査<動向編>参照)

Ø  結婚:約283万円(経済産業省が実施した特定サービス産業動態統計調査の結婚式場業<企業調査>参照)

Ø  出産:約50万円(公益社団法人国民健康保険中央会 正常分娩の平均的な出産費用<平成28年度>参照)

Ø  住宅購入の頭金準備:約697万円(一般社団法人全国銀行協会 平成27年度フラット35利用における自己資金の平均額を参照)

Ø  学費:幼稚園は公立で年間約23万円、私立では年間約48万円。小学校は公立で年間約32万円、私立では年間約153万円。中学校は公立で年間約48万円、私立では年間約133万円。高校は公立で年間約45万円、私立では年間約104万円。大学入学費は国公立で約69万円、私立文系では約93万円、私立理系では約87万円、短大では約54万円。大学在学費は国公立で年間約108万円、私立文系では年間約161万円、私立理系では年間約180万円、短大では年間約140万円。(文部科学省 報道発表 「平成28年度子供の学習費調査の結果について」参照)

家計と貯蓄の関係はそれぞれの家庭の家族構成や収入によって異なりますが、教育資金や家の購入など多額の出費を柱に据えて、各年代に必要となる金額を割り出し、貯蓄額の目標を立てなければなりません。将来、子どもが大学に通うことになれば、一人当たりの総額は以下のように国公立の場合でも1,000万円以上はかかります。

(幼稚園<公立>約23万円×3年<3年保育の場合>)+(小学校<公立>約32万円×6年)+(中学校<公立>約48万円×3年)+(高校<公立>約45万円×3年)+大学入学費(国公立)約69万円+(大学在学費<国公立>約108万円×4年)=約1,041万円

このように、子どもが大きくなるにつれ教育資金がかかり、お金は貯まりづらくなります。教育費負担がまだそれほどない子どもが小さなうちに、積極的に貯蓄に取り組んでいくことが大切です。

そして子育てが終わった後は、いよいよ自分たちの老後に備えなければなりません。次は仕事を退職した後の老後資金の準備について見ていきましょう。

老後に必要となる貯金の目安

厚生労働省の発表によると、日本人の平均寿命は女性が87.26歳、男性が81.09歳です。65歳で定年を迎えたとしても、その後20年ほどは人生が続くと考えてよいでしょう。

総務省統計局が発表した2017年の家計調査報告(家計収支編)によると、二人以上の世帯のうち、高齢者で無職の世帯を見ると、1か月の平均的な消費支出は6569歳で約265,000円、7074歳で約243,000円、75歳以上で約215,000円でした。

65歳で定年を迎え、その後は100歳まで生きると仮定すると、以下のように約9,800万円が必要になります。

265,000円×12か月×5年<65~69歳>)+(243,000円×12か月×5年<70~74歳>)+(215,000×12か月×26年<75歳〜100歳>)=9,756万円

老後どのくらいの貯蓄が必要となるかは、各家庭の状況によって異なりますが、目安として平均余命より長い期間、通常の生活を送ることになると考え、余裕を持った計画を立てておきましょう。

貯蓄のみに頼らず、資産形成の手段を分散することもひとつの方法です。銀行の預金金利が低い現代では、資産を増やす手立てを少しでも工夫する必要があります。

老後資金として貯められる金額には限りがありますが、自分の生活に見合った試算を行い、働いている間から計画的に貯蓄をするよう努めていくことが大切です。

人生においては、必ずまとまった資金が必要になる時期があります。いざ資金が必要となったときに大金を用意するのは容易ではありません。普段から無理をしない範囲で貯蓄を続けて、「貯め癖」をつけていくことが大切です。自身の生涯設計を考慮して、ライフイベントごとに必要となる金額を計算し、自分なりの貯蓄目安を決めましょう。

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