「貯蓄から投資へ」シフトする前に、知っておくべきポイント

「貯蓄から投資へ」という言葉を耳にすることがあります。一定額の株式・投資信託などの配当・譲渡益などの税金が優遇される「NISA」の誕生は、政府が貯蓄から投資へと促している良い例でしょう。ただ、いざ投資を始めるとなると、「どのくらいの資金を投資に回すべきか」「どのように投資すべきか」迷う方もいるのではないでしょうか。

なぜ今投資が促されているのかという社会的背景や、貯蓄と投資の割合の決め方、初心者におすすめの長期投資について、詳しく解説していきます。

まずは、貯蓄だけでなく投資が必要とされている背景について解説します。

日銀がインフレ誘導している

インフレとは、お金の価値が下がり物価が上がる現象です。お金の価値が下がる状態とは、世の中にお金が多く出回っている状態のことを指します。日銀は2%の物価上昇を目指しており、マイナス金利政策などを導入して世の中にお金を回す政策を実行しています。

低金利で貯蓄では資産は増えない

現在は稀にみる低金利で、貯蓄だけではお金を増やすことは難しいといえるでしょう。日本銀行の「金融経済統計月報」によると、銀行の定期預金新規受入平均金利は0.16%です(20188月時点)。例えば、1,000万円預けても、年間わずか16,000円しか利息が付かないというわけです。

このように、貯蓄だけでは資産はなかなか増えていきません。会社の給与以外で資産を増やすためには、貯蓄をするだけでは難しく、投資をしないと資産が増えづらい状況です。

少子高齢化により年金の先行きが不透明

「少子高齢化」が問題視されていますが、総務省の「平成30年版 情報通信白書」によると、生産年齢人口(1564歳)と高齢化率(65歳以上の総人口に占める割合)の割合は以下のとおりです。

Ø  2015年:生産年齢人口60.8%、高齢化率26.6

Ø  2025年:生産年齢人口58.5%、高齢化率30.0

Ø  2035年:生産年齢人口56.4%、高齢化率32.8

Ø  2045年:生産年齢人口52.5%、高齢化率36.8

Ø  2055年:生産年齢人口51.6%、高齢化率38.0

10年後・20年後に年金がどのくらい受給できるかはわかりません。年金を運用しているGPIFGovernment Pension Investment Fund:年金積立金を管理・運用している機関)の運用状況によっても変わる可能性があります。さらに、年金は生産年齢人口が65歳以上の人口を支えるという仕組みなので、上記のように高齢化が進む将来において、年金制度の先行きは不透明であるといえます。

このような先行き不透明な将来に備えるための方法のひとつとして、投資に注目される方もいらっしゃるでしょう。

貯蓄と投資のベストな割合を決める方法

貯蓄だけでなく投資が必要とされる背景について見てきましたが、限られた資産を貯蓄と投資にどれくらいの割合で配分すればよいのでしょうか。ベストな割合を決めるために、以下の流れで考えてみましょう。

お金を貯める目的を設定する

まずはお金を貯める目的を設定しましょう。例えば、「老後の年金代わりにする」「子どもの教育資金にする」「10年後マイホームを購入するときの頭金にする」などが目的となります。目的をどこに設定するかによって、投資で貯めなければいけない金額や期間も変わります。

現状を把握していくら貯蓄と投資に回せるのかを知る

目的を設定したら、次は現状把握のフェーズに移ります。現状把握とは、自分の収入と支出をもとに、手元にいくら残るかを計算するということです。例えば、月額手取り収入が40万円であっても、支出額によって手元に残るお金は違います。支出が30万円であれば10万円が、35万円であれば5万円が手元に残ります。その収支計算をきちんとして、そもそも投資にいくら回せるのか、貯蓄するとしたら必要なときまでにいくら貯まるかをシミュレーションしましょう。

投資によって積み立てるのか、貯蓄を利用するのかを検討

シミュレーションまで終わったら、目的を達成するために、投資でお金を積み立てるのか、貯蓄をするのかを決めます。例えば、「1年後にマイカーを買う」という短期で達成したい目的の場合は、投資で積み立てる時間がないため、支出を抑え貯蓄額を増やす方が手早いでしょう。

反対に「老後のための資金を貯める」という長期で達成したい目的の場合は、貯蓄だけで目標金額を貯めることは難しいでしょう。このような場合は、投資をうまく活用して積み立てることが効率的です。

貯蓄と投資の割合が決まったら、投資する商品を選びましょう。投資のなかでも、長期投資は初心者におすすめです。ここでは、長期投資のメリットについて解説します。

比較的ローリスクで安定した収益を期待できる

短期投資の代表格は、短期間で株を売買する株式取引です。この場合、株式の売買差益(キャピタルゲイン)が利益になりますが、株価が下がると損失につながります。一方で、長期投資の代表格である不動産投資は、定期的な家賃収入(インカムゲイン)を得ることを目的としています。入居者を継続的に集めることができれば、家賃による収入が大幅に減少するリスクを抑えることができるでしょう。

リスクを抑えて定期的に家賃収入を得られるという点で、不動産投資は初心者に向いています。

複利の力を発揮できる金融商品が多い

長期投資は、複利の力を利用できるという点でメリットがあります。複利とは、元本だけでなく利息部分にも毎年利息が付与されるという仕組みです。400万円から投資を始めたとすると、利回り5%の場合は1年後に20万円(400万円×5%)の利益が得られます。利益で得られた20万円も合わせた420万円を投資すると、さらに1年後には利回り5%で21万円(420万円×5%)の利益が得られるのです。

このように複利の力を利用すれば、効率的に収益を増やせます。

手間があまりかからない

長期投資の場合、代表格の不動産投資の場合は、「賃借人と契約を結ぶかどうかを判断すること」や「物件の補修にどれだけお金をかけるかを判断すること」は必要ですが、管理会社に委託すれば大した手間はかかりません。本業が忙しい会社員の場合、この「手間がかからない」という点も、投資商品を選ぶうえでの重要なポイントといえるでしょう。

これからは、貯蓄だけでなく投資も必要な時代です。まずはお金を貯める目的を設定し、貯蓄と投資のベストな割合を決めましょう。自分の目的に合った投資商品を選んで、投資を始めることが大切です。

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