「2018年ブロックチェーン業界総括レポート」発表

ブロックチェーンを活用したアプリケーションに関するコラムやニュースの配信、トレンドや実態調査を含むマーケットリサーチを行う、DApps総研が、「2018年ブロックチェーン業界総括レポート」を発表しました。

 

1)2018年、世界に衝撃を与えた仮想通貨事件

2018年1月26日、日本のみなし登録業者の一つ、コインチェック社が顧客から預かった460億円相当の暗号資産をクラッカーにより盗まれるという事件が発生しました。しかし後日、コインチェック社はそれまでに蓄積した資産により全額を補償。このことが、仮想通貨取引所の資金基盤の盤石さと、この業界における‘勝ち組’が取引所であることをより一層、印象付けました。

 

もう一つ忘れられないのが、Zaifの不正アクセス事件です。大阪に本拠地を置くテックビューロ社が運営する「Zaif」がハッキング被害を受け、BTCなどの暗号資産を流出させてしまう事件が9月20日に起こりました。流出額はコインチェックに及ばないもの、67億円相当とみられました。これら2つの仮想通貨取引所における事件は、日本国内のみならず、世界中の仮想通貨利用者やプロジェクトメンバーに衝撃を与えました。

 

2)ブロックチェーン技術導入は積極化

一方で、こうした事件の報道の背後では、確実にブロックチェーン技術の既存のビジネススキームやサプライチェーンへの適用が進んでいました。外資系銀行のUBSは、国境を超えた法人間の国際取引にブロックチェーン技術を試験的に採用して実証事件を実施。こうした動きに追いつくかのように、日本国内の9銀行が富士通からの技術提供を受けてブロックチェーン技術を活用した決済に関する実証実験を行ったのも2018年です。

 

さらに、大手IT企業であるIBM社は、運輸業と飲食業のためのブロックチェーンソリューションを開発、技術特許を取得し世界中の大手企業とともにサプライチェーンの効率化を本格的に進め始めました。

 

このように、2018年は大きな事件もありつつ、それと並行して仮想通貨そのものよりも、むしろその基盤技術であるブロックチェーン技術を応用する動きが目立った一年だったと振り返ることができます。

 

3)これを踏まえた日本の規制当局の動き

金融庁は2018年の4月より、仮想通貨業界の専門家やアンチマネーロンダリングなどの金融犯罪に詳しい専門家などを呼び、一般に公開する形での勉強会を合計11回実施。コインチェック事件後から10月に入るまでの金融庁の動きは、「強い規制をかけていく」という論調だったものの、規制にも時間的・人的・金銭的コストとその見返りとして得られるものをどう天秤にかけるか、そもそも仮想通貨に資金を投入する人物は、生活に余裕のある人物であると想定され、保護する必要性はそこまでないのではないか等の議論が持ち上がり、変化してきました。

 

2018年当初は「規制」に舵を切っていた金融庁にも、一考の価値があるとの空気が流れてきたことは注目に値します。実際の法整備、および施行にはさらに議論を重ねる必要があると考えられるため、少なくとも2019年6月、遅ければ2019年末までは明確な規制の枠組みが示されない可能性もあります。

 

今回DApps総研が発表した「2018年ブロックチェーン業界総括レポート」を振り返ると、新たなテクノロジーに対して法整備などが追い付けていない印象を受けます。日本ではビットコインをはじめとする仮想通貨の根幹技術として知られるブロックチェーン技術ですが、海外ではマイクロペイメントなどにも活用されています。日本でも安全性が確保され、金融業界をはじめ、一般にも普及するようなインフラ作りに期待したいところです。

出典元:PRTIMES

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