短期プライムレートが不動産投資に与える影響と将来予測

「短期プライムレート」や「長期プライムレート」という言葉を耳にすることがあります。これらは、金融機関からお金を借りるときの借入金利に関係するものです。不動産投資においては、ローンを利用する際に注目しておきたい数値です。今回は、短期プライムレートの特徴や長期プライムレートとの違い、不動産投資に与える影響などについて解説します。

短期プライムレートとは

プライムレートというのは、金融機関が企業に貸し出しをする際に最も優遇された貸出金利のことです。そして、プライムレートを適用されるには、それだけの条件を認められた借り主(優良企業)であることが前提になっています。プライムレートには短期プライムレートと長期プライムレートがありますが、短期プライムレートとはどのようなものなのでしょうか?

ここでは、短期プライムレートを理解するために、長期プライムレートと比較しながら解説していきます。

長期プライムレートについて

長期プライムレートとは、金融機関が優良企業向けに1年以上の長期で貸し出すときに適用する最優遇適用金利(プライムレート)です。東証一部上場企業など、信用力のある企業は、金融機関から長期プライムレートでお金を借りることができます。

一方、中小企業など上場企業と比べて信用度が低いと判断されることの多い企業は、金融機関からそれぞれの企業リスクを評価されたうえで、長期プライムレートを軸として、リスクに応じた一定の利率を上乗せした金利で、お金を借りることになります。

長期プライムレートは、金融機関の5年物普通社債(企業が資金調達のために発行する債券)の発行利率に基づいて決定されます。日本において債券市場は日々変動するため、長期プライムレートも金利変動が起こりやすいです。

短期プライムレートについて

短期プライムレートとは、金融機関が優良企業向けに1年以内の短期で貸し出すときに適用する最優遇貸出金利(プライムレート)のことを指します。

長期プライムレートと同様に、貸出先の信用度によって貸出金利は変動します。

長期プライムレートは5年物の普通社債の発行利率を元に特定の金融機関によって決められますが、短期プライムレートは短期金融市場の取引状況を反映したうえで、各金融機関が独自に設定します。このため、短期プライムレートは金融機関によって異なります。

短期プライムレートと長期プライムレートの推移

短期プライムレートと長期プライムレートの違いを確認したうえで、具体的にそれぞれの数値がどのように変化しているのかを見てみましょう。日本銀行のホームページで短期プライムレートと長期プライムレートの推移を確認することができます。

データを見ると、2001年2月9日の段階で短期プライムレートの最頻値が1.500%であるのに対して、長期プライムレートは2.05%です。その1ヵ月後に長期プライムレートが1.9%へと下がり、その後は緩やかに増減を繰り返しています。

それに比べ短期プライムレートの最頻値は3月28日には1.375%と数値が変更されますが、2006年8月21日までは数値の変動はありません。

短期プライムレートは5年ほど動きがないのに対し、長期プライムレートにおいては頻繁に金利変動が見られます。長期プライムレートは債券の利率を参考に変動するため、経済の動きに敏感に反応していることがわかります。

なお、一般的に長期プライムレートは短期プライムレートに先行して動きます。長期プライムレートが激しく変わるなかで、下がる傾向にあるときは、その後、短期プライムレートも下がるという動きが見られます。

短期プライムレートが不動産投資に与える影響

 短期プライムレートは、企業の借り入れだけでなく、不動産投資にも影響を及ぼします。まずは、不動産投資のローンで利用される変動金利と固定金利の違いからご説明していきます。

 

変動金利と固定金利

ローンの金利には変動金利と固定金利があります。

変動金利はローンの返済途中で定期的に金利の見直しがされるタイプで、固定金利はローン借入時にあらかじめ設定された金利で固定されるタイプです。

変動金利か、固定金利かを選択する場合には、短期・長期のプライムレートと金利の関係を知っておいた方がよいでしょう。

 

変動金利と短期プライムレート

変動金利には、短期プライムレート連動型と長期プライムレート連動型の2種類があります。短期プライムレートに連動している変動金利は、日本銀行が決定する政策金利に影響を受けています。長期プライムレートに連動している変動金利は、国債の利回りなどを考慮し市場の影響を受けた値になっています。

不動産投資については、ローンを組む際に、変動金利・固定金利のいずれかを利用することになります。短期プライムレート連動型の変動金利のローンを利用する場合は注意が必要です。短期プライムレートの変動により変動金利が上がると、毎月の返済額が上がり、不動産投資のキャッシュフローが悪くなってしまうからです。

また、前述の通り短期プライムレートは長期プライムレートに遅行して動くという傾向があります。長期プライムレートの動きもあわせてチェックしておくことで、短期プライムレートの変動を予測して金利の上昇に備えられる場合もあるでしょう。

短期プライムレートの今後

ここまで短期プライムレートについて解説してきましたが、今後短期プライムレートはどのように推移していくことが予想されるのでしょうか。

 

マイナス金利の影響

日本銀行の金融緩和政策により年々史上最低金利を更新し続けている状態でしたが、2016年1月に実施されたマイナス金利導入により、これまで以上に長期プライムレートは下がり、長期プライムレート連動型のローンの金利も下がることになりました。

一方で、マイナス金利導入後、短期プライムレートはほとんど下がっていません。これは、長期プライムレートは5年物の普通社債の発行利率に連動しており、それに対し短期プライムレートは各金融機関が独自に定めるものであるということが理由のひとつとして考えられます。短期プライムレートを下げると、銀行の貸し出し金利が下がってしまい、銀行が受け取る利益が小さくなるためです。

しかし、ローンを借りる企業側としては、できるだけ低い金利で貸し出してくれる金融機関を求めるため、どこかの金融機関が短期プライムレートを下げれば、ほかの金融機関も追随して下げ始めるということも考えられます。

また、長期プライムレートが短期プライムレートに先行して動くことを考えると、まだ短期プライムレートにマイナス金利導入の影響が及んでいないだけという可能性もあります。

東京オリンピックの影響

短期プライムレートは、金融機関が個人や企業にお金を貸し出す際の金利のひとつの指標となるものです。経済の原則からすると、景気が良くなると金利は上がり、逆に景気が悪くなると金利は下がります。

景気が良いと企業の動きが活発になって、融資を受けて新しく設備投資や新規事業を行うことを考えるため、高い金利でも融資を受けたいという企業が多くなるのに対し、景気が悪いと設備投資や新規事業に消極的になり、低い金利にしないと企業が融資を受けてくれないためです。

日本では2020年に東京オリンピックが開催されることもあり、都心を中心に不動産バブルともいわれる状況となっています。国土交通省の2018年9月の都道府県地価調査によると、地価が27年ぶりに下落から上昇に転じました。2018年現在、金利は低いままですが、今後東京オリンピックが近づくにつれて、金利が少しずつ上がっていくことも考えられます。

一方で、東京オリンピック後の2020年以降は、オリンピック会場周辺の建築ラッシュやそれに付随する企業活動などが落ち着くため、オリンピック景気の反動を受けて景気が落ち込むことが懸念されています。経済の原則からすると、景気が悪くなると金利は下がるため、少なくともオリンピックが終わってからの数年間は金利が大きく上昇する可能性は低いでしょう。

一方で、2025年には大阪万博、2027年にはリニア新幹線の開通など、注目すべき動きもあるため、長期プライムレートや短期プライムレートの動きを注視しておくことが大切です。

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