これだけ知っていれば安心! 固定資産税の概要や計算方法

土地や家屋などを所有すると「固定資産税」が課せられます。所得税や消費税に比べると日常の生活で意識することが少なく、よく知らないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は固定資産税の概要と、計算方法について説明します。

固定資産税とは、土地や家屋などの「固定資産」を所有している人に課される地方税です。

自身の居住用に所有する土地や家屋に限らず、事業や不動産投資などのために所有しているものも対象です。

土地や家屋などのほか、設備や機械など事業のために使う償却資産も課税対象になる固定資産に含まれますが、ここでは省きます。今回は、納税義務者や納付方法、実際の不動産売買に関係してくる「負担割合」に分けて確認していきましょう。

納税義務者

所有者の住所にかかわらず、固定資産税は、固定資産のある地方自治体に納税することになります。

固定資産税を納税しなければいけない「納税義務者」は、基本的に毎年1月1日時点において「土地」や「家屋」の所有者として固定資産課税台帳に登録されている人です。

例えば2月1日にAさんからBさんへマンションの売却が行われた場合、その年の固定資産税の納税義務者は、1月1日時点の所有者であるAさんです。

税額の算出方法および納付方法

固定資産税額は「課税標準額×固定資産税の税率」で算出します。納付時期は原則として年4回で、具体的な期日は各地方自治体が定めています。

最初の納付月に一括で納付することもでき、地方自治体によっては口座引き落としやクレジットカード払いもできる場合があります。

都市計画税

市街化区域内の土地や家屋については、固定資産税と一緒に「都市計画税」が課せられる場合があります。税率は地方自治体が定めますが、多くの場合0.3%に設定されています。

詳細の確認方法

納税義務者や課税標準額、税率、納期、都市計画税などの詳細は、毎年4~6月あたりに地方自治体から届く「納税通知書」や「課税明細書」、その地方自治体の役場で取得できる「固定資産税評価証明書」などで確認できます。

また、納税義務者や同居親族などに限り、固定資産課税台帳の閲覧ができます。通常閲覧には手数料が必要ですが、毎年4~5月あたりの一定期間「固定資産課税台帳の閲覧期間」があり、その間は無料です。

負担割合の計算

2月1日にAさんからBさんへマンションの売却が行われた場合、納税義務者はAさんになると述べました。

しかし、売買のあった年で見ると、1年のうち11ヵ月所有することになるBさんではなく、1ヵ月だけ所有しているAさんに税負担が生じるのには多くの人が不公平感を覚えるのではないでしょうか。そこで、実際の不動産売買においては、「売主」「買主」の負担割合を計算し、固定資産税を納付するのが慣例です。

負担割合の計算は、1月1日を起算日にする場合と4月1日を起算日にする場合があります。例えば、上記のケースで固定資産税が20万円としましょう。

1月1日を起算日にするケースでは、Aさんの負担は20万円×31日/365日≒1万6,986円、Bさんの負担は20万円×334日/365日≒18万3,014円です。

4月1日を起算日にするケースでは、前年の4月1日から売買を行った日の前日1月31日までの固定資産税をAさん、2月1日から3月31日までの固定資産税をBさんがもつことになります。

したがって、Aさんの負担は20万円×306日/365日≒16万7,671万円、Bさんの負担は20万円×59日/365日≒3万2,329円となります。

負担額に差がありますが、起算日の違いはあくまでも慣例です。1月1日を起算日にする方法は関東で多く見られ、4月1日を起算日にする方法は関西で多く見られます。

詳細は不動産売買契約書に記載されているので、実際の取引の際は必ず確認し、納得してから締結するようにしましょう。

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固定資産税の概要がわかったら、次に固定資産税の計算方法を見ていきます。固定資産税は前述のとおり、「課税標準額×固定資産税の税率」で算出します。

土地には国が公表する公示地価、都道府県が公表する基準地価、相続税を算出する際に使用する相続税評価額などさまざまな評価額がありますが、固定資産税の課税標準額は、原則的に固定資産課税台帳に登録されている「固定資産税評価額」です。

固定資産税評価額は、総務大臣が定める固定資産評価基準に基づいて地方自治体が決める評価額で、通常公示価格の70%程度です。地価の変動などに応じて適正な時価を出す必要があるため、3年に1度見直されます。

固定資産税の税率も各地方自治体が決めることができますが、多くの地方自治体で国が定める標準税率である1.4%を採用しています。

例えば、固定資産税評価額1,000万円の土地に固定資産税評価額1,000万円の家屋が立つ一戸建て住宅に対する固定資産税額は、課税評価額(土地1,000万円+家屋1,000万円)×税率1.4%=28万円です。

ここでは、全く軽減措置のないケースで計算しましたが、実際には固定資産税にもさまざまな軽減措置があります。適用されれば節税につながりますので、確認していきましょう。

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固定資産税には、主に次のような軽減措置があります。本来適用されるべき措置が適用されていないということがないように、地方自治体から送られてくる「納税通知書」や「課税明細書」などで、間違いなく処理されているか確認しましょう。

  • 住宅用地の特例…一戸建てやマンションなど人が居住するための家屋の敷地として利用される住宅用地の固定資産税の課税標準額は、家屋一戸に対して200平方メートル以下の部分は固定資産税評価額×1/6に、200平方メートル超の部分は固定資産税評価額×1/3に軽減されます。都市計画税についてもそれぞれ、×1/3、×2/3の軽減があります。
  • 新築住宅の特例…一定の条件をクリアしたマンションなどは新築後5年間、それ以外の住宅は3年間、家屋にかかる固定資産税額×1/2に減額されます。
  • 耐震、バリアフリー、省エネ改修に伴う減額…一定の条件をクリアした住宅に対し、定められた基準の耐震、バリアフリー、省エネに関する改修工事を行った場合は、一定の期間家屋にかかる固定資産税額×1/2などの減額措置があります。
  • わがまち特例…地方自治体が地域の実情に即して独自に展開し、条例で決定された特例で、内容は各地方自治体のホームページなどで確認できます。

以上の特例のうち、「住宅用地の特例」と「新築住宅の特例」が適用される区分所有マンションについて、どれくらいの節税になるか、実際に計算してみましょう。

市街化区域内にあり、都市計画税も一緒に課税されるケースを扱いますが、計算を簡略にするため、負担調整措置などは考慮していません。

マンションの土地部分(200平方メートル以下)、家屋部分(新築5年以内)の固定資産税評価額がどちらも1,000万円であるケースを考えてみます。何も軽減措置がなければ、前述した一戸建て住宅と同じで、固定資産税は(土地1,000万円+家屋1,000万円)×税率1.4%=28万円になります。

しかし、この場合は「住宅用地の特例」が適用されるため、課税標準額は以下のようになります。

  • 土地部分の課税標準額は、1,000万円×1/6≒166万6,666円(1円未満切り捨て)
  • 家屋部分の課税標準額は、1,000万円
  • 課税標準額の合計は、166万6,666円+1000万円≒1,166万6,000円(1,000円未満切り捨て)

したがって、固定資産税は1,166万6,000円×1.4%=16万3,324円となるのですが、ここでは一定の条件をクリアしたマンションとして「新築住宅の特例」の適用があるため、1,000万円×1.4%×1/2=7万円を税額から軽減できます。

つまり、固定資産税は16万3,324円−7万円≒9万3,300円(100円未満切り捨て)となり、「住宅用地の特例」と「新築住宅の特例」によって28万円−9万3,300円=18万6,700円の節税になったということです。

では、都市計画税はいくらになるでしょうか。「住宅用地の特例」が適用されるため、課税標準額は以下のようになります。

  • 土地部分の課税評価額は、1,000万円×1/6≒166万6,666円(1円未満切り捨て)
  • 家屋部分の課税標準額は、1,000万円
  • 課税標準額の合計は、166万6,666円+1,000万円≒1,166万6,000円(1,000円未満切り捨て)

都市計画税額は、1,166万6,000円×0.3%≒3万4,900円(100円未満切り捨て)となります。

上記の場合、固定資産税9万3,300円+都市計画税3万4,900円=12万8,200円を4回に分けて納付するか、一括納付する形になります。なお、固定資産税や都市計画税は、不動産投資にかかる所得税を計算する際の「必要経費」に算入できます。

不動産を購入する場合は、固定資産税を考慮して資金計画を立てる必要があります。そのためには、固定資産税の計算方法や負担割合などについて、理解を深めることが大切です。また、さまざまな軽減措置がありますので、内容を把握し、本来受けられる軽減措置はしっかり受けるようにしましょう。

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