NISAとは何か? メリット・デメリットを知って上手に活用しよう

投資に興味を持つ方のなかには、「NISA」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるでしょう。NISAは2014年1月に個人投資家向けの税制優遇制度としてスタートした制度です。今回は、NISAの仕組みやメリット・デメリット、いつまで利用できるのか、リスクをより抑えたい場合はなぜ「つみたてNISA」がおすすめなのかなどについて解説します。

まずは、NISAの仕組みについて理解しておきましょう。

NISAとは

NISAはイギリスのISA(アイサ:Individual Savings Accountの略)をモデルにつくられたもので、「少額投資非課税制度」のことです。

NISAは投資商品ではなく、証券会社に通常の口座とは別の「NISA口座」をつくるところから始まります。NISA口座は1人につき、1つしか持つことができません。そのNISA口座を利用して投資すると、その投資で得た利益が非課税になるという仕組みです。すでに他の証券会社の一般口座や特定口座で運用している投資商品をNISA口座に移すことはできません。

また、NISAとは別に「つみたてNISA」という制度もあります。後程詳しく説明しますが、リスクを極力抑えた運用をしたいという人には、「つみたてNISA」のほうがおすすめです。NISAもつみたてNISAも実は期間限定の制度です。では、NISAやつみたてNISAはいつまで利用できるのでしょうか。

NISAは2023年まで、つみたてNISAは2037年までとなっています。ただし、金融庁が期間延長の要望を出しており、今後延長や恒常化される可能性もゼロではありません。

年間120万円まで非課税

前項のようにNISA口座を利用した投資で得た利益は非課税になりますが、投資枠は1年間で120万円までと決まっています。この金額は、投資商品の取得価格を指します。

例えば、NISAを通じてA社の株を120万円分取得したとします。仮に、3か月後に150万円に上昇したところで売却すれば30万円の利益です。売却したのは150万円ですが、取得時は120万円以内の非課税枠に収まっているので、利益の30万円に対する税金は非課税になります。

注意点としては、株を売却したからといって、年をまたがない限り非課税枠は復活しないという点です。例えば、1月に株を120万円で取得し2月に150万円で売却すれば120万円の枠は使い切るので、この年の12月までの取引は課税対象になります。

また、株式の場合、売却益だけでなく配当金も非課税になります。ただし、NISA口座を開設している証券会社の証券口座に配当金を入金してもらう、「株式比例配分方式」の場合に限ります。

非課税の期間は最長5年

NISAの非課税期間は最長で5年です。例えば、5年間株を保有した場合は、以下の対応が必要です。

  • 非課税期間が終了するまでに売却する
  • 翌年の非課税投資枠に移管する(ロールオーバー)
  • 課税口座に移管する

一つ目の方法は、非課税期間が終了するまでに売却することです。そうすれば、当然ながら利益が出ても非課税になります。

二つ目の方法は、翌年の非課税投資枠に移管することです。そうすれば、翌年以降に売却して利益が出ても非課税になります。

この二つの方法が実施できない場合は、三つ目の通常の課税口座に移管するということになります。

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前述のとおり、投資にかかる税金が非課税になる点が、NISAの最大のメリットです。この点を理解するために、投資における課税について説明します。

投資で得た利益に対する課税は、「分離課税」「総合課税」があります。「分離課税」は、給与所得などとは合算せず、1年間に発生した1種類の所得のみに課税する方法です。

「総合課税」は、給与所得などと合算され課税する方法です。前者は株式投資や投資信託の売却益、後者は不動産投資で得る家賃収入などが該当します。

分離課税の税率は、以下のとおりです。

  • 所得税:15%
  • 住民税:5%
  • 復興特別所得税:0.315%(所得税額の2.1%のため15%×2.1%=0.315%)

このように、分離課税では、投資で得た利益に対して、合計20.315%の税率が課されます。

モデルケースを見てみましょう。X社の株を120万円分取得して、200万円に上昇したとします。この場合、売却すると80万円の利益が出ますが、これは所得として扱われ、本来であれば「80万円×20.315%=162,520円」を税金として支払う必要があります。

つまり、せっかく80万円の利益が出ても、手元に残るのは税引き後の637,480円になるということです。一方NISAであれば、この場合、非課税枠内であるので80万円が全額手元に残ります。

このように税金の面でメリットがあるNISAですが、一方でデメリットとして以下が挙げられます。

損益通算できない

まず、NISA口座を利用すると損益通算ができません。損益通算とは、一定期間における「所得」と「損失」を相殺できる仕組みのことです。

例えば、以下のような投資を行ったとします。

  • A証券会社の口座で取引して100万円の利益を出す
  • B証券会社の口座で取引して100万円の損失を出す

通常口座であれば、証券会社が異なったとしてもこの二つの利益と損失は通算できます。つまり、100万円の利益と100万円の損失は合算され、利益ゼロとなり税金はかからないということです。しかし、仮にB証券の口座がNISAであった場合は、損益通算ができなくなります。

そのため、A証券会社で出した100万円には「100万円×20.315%=203,150円」の税金がかかり、NISA口座を利用しているB証券会社の損失は加味されないということになります。

損失繰越できない

また、NISAを利用した取引では損失繰越(損失が出た金額を翌年以降にも繰り越すこと)ができないという点もデメリットです。NISA口座以外の通常口座であれば、確定申告することでその年に出た損失を3年間繰り越すことができることになっています。

仮に2019年に株式投資で50万円の利益が出ても、2018年に80万円の損失が出ていたとしたら、通常は確定申告をすることで、その損失が相殺され非課税になります。また、残りの30万円分も2019年に繰り越されるのです。ただし、NISAを利用した取引の場合には、このような損失繰越は利用できません。

上記のように、投資に関する税制優遇措置を利用できない場合があるということが、NISAのデメリットです。

前述の通りNISAのほかに、「つみたてNISA」という制度があります。この両者の違いについて解説します。

投資可能な金額と期間

そもそも「つみたてNISA」という名前のとおり、コツコツと長期間積み立てることを前提としているので、通常のNISAとは仕組みが異なります。

通常のNISAは、上述したように毎年120万円が上限の非課税枠を、最大で5年間利用できます。一方、つみたてNISAの場合は、毎年40万円の非課税枠で20年間運用することができるのです。

つみたてNISAの注意点は、投資できる枠を与えられた最初の1年目に、金融商品を取得する必要があるということです。後の19年間は売却と運用だけが可能であり、追加の買い付けはできません。通常のNISAの場合は、期間中であれば商品取得のタイミングに制限はありません。

また、つみたてNISAの場合は年間40万円の投資枠を使い切らなかったとしても翌年度には繰り越せず、商品を売っても投資枠は復活しません。この点には注意が必要です。

投資対象の商品

つみたてNISAの投資対象商品は限定されており、長期投資に適している投資信託161本(2019年1月現在)となっています。通常NISAの場合には上場している株式や投資信託などを自由に選べますので、つみたてNISAのほうが選べる範囲は狭くなります。

これは、上述したようにつみたてNISAは長期にわたる積立型の投資を想定しているので、投資商品もその目的に沿った商品に限定しているからです。

投資信託は株式や債券などをプロが運用するため手数料がかかりますが、手数料がかかってしまうと長期投資では不利に働くため、つみたてNISAで取得できる金融商品は基本的に手数料の低い金融商品に限られています。

また、対象の金融商品は比較的変動が小さく安定している投資に限定しているのも特徴といえるでしょう。したがって、リスクを極力抑えた運用をしたいと考えている人には、NISAよりもつみたてNISAがおすすめです。

さらに、つみたてNISAもNISA口座を利用することになりますが、通常のNISAとつみたてNISAの併用はできません。口座を開設する金融機関は1年単位で変更可能なため、年単位でどちらか一方を選ぶことになります。

通常のNISAを利用するかつみたてNISAを利用するかは、その目的を考えきちんと仕組みを知ったうえで、判断しましょう。

NISAやつみたてNISAのほかにも、ジュニアNISAやiDecoなどの非課税制度があります。内容を確認していきましょう。

  • ジュニアNISA

「未成年者少額投資非課税制度」とも呼ばれるNISAのことです。制度の概要や仕組みは一般のNISAとほぼ同じですが、対象が19歳以下、非課税枠が80万円、18歳までの払い出しには制限があるなど異なる部分があります。非課税期間はNISAと同じ最長5年です。運用管理者は本人ではなく、両親や祖父母など二親等以内の親族になります。

ジュニアNISAは、子どもの教育資金作りによく利用されています。

  • iDeCo

確定拠出年金法という法律に基づき実施されている私的年金で、「個人型確定拠出年金」のことです。掛け金を積み立てていき、投資信託や定期預金などを自ら運用し、60歳以降に年金または一時金の形式で受け取ることができます。

掛け金には限度額があり、国民年金の被保険者の種別によって異なります。自営業者や学生などの第1号被保険者は月額6万8,000円まで、主婦など第3号被保険者は月額2万3,000円までなどと分けられています。

掛け金は全額が所得控除となり、運用で得た分配金や売却益などは非課税です。さらに、年金形式で受け取る場合は「公的年金等控除」を、一時金形式で受け取る場合は「退職所得控除」が受けられます。

このように、掛け金拠出時や運用時、年金受け取り時に税の優遇措置を受けることができるため、老後資金の準備には非常に有利な制度といえます。

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では、実際にNISAを始める場合の流れを見ていきましょう。

NISAを始めるための手順

ここでは、例としてネット証券やネット銀行で始める場合の手続きについて説明しますが、細かな流れは各金融機関によって異なります。

1.NISA口座を開設する

NISA口座は1人につき1つしか持つことができないため、金融機関を1つ決めてNISA口座の開設の申し込みをします。初めて投資信託などの取引をする金融機関でNISA口座を開設する場合には、証券会社なら証券総合口座を、銀行なら投資信託口座を同時に開設することになります。

金融機関のホームページにある「口座開設」のバナーなどをクリックして案内のとおりに必要事項を入力し、運転免許証などの本人確認書類とマイナンバーカードの画像をアップロードします。画像をアップロードするのではなく、メールに添付して送信する場合や写しを郵送する場合など、金融機関によって提出方法は異なります。別の金融機関のNISA口座から変更する場合は、その金融機関から受け取った勘定廃止通知書もしくは非課税口座廃止通知書が必要です。

その後、金融機関から手続き完了の連絡とログインに必要な情報が郵送などで送られてきます。

2.NISA口座に入金して取引を行う

上記1の手続きが完了したら、振り込みやATM入金など、金融機関の指定の方法で入金します。入金が済んだら、リターンとリスクを考慮し、納得のいく商品を選んで購入します。投資情報や選び方のヒントになるような情報が金融機関のホームページなどで公開されていますので、商品選びの参考にするといいでしょう。

この1、2の流れで進んだ場合、申込みから取引開始まで通常2~3週間かかります。ただし、2019年1月からは、税務署による二重口座の確認を待たずに取引を始めることができるようになりました。金融機関によっては申込み当日から取引ができるケースもあります。

NISA口座を開設する金融機関の選び方  

国内外の株式、株式投資信託、国内外のREIT(不動産投資信託)、ETF(上場投資信託)、ETN(上場投資証券)などさまざまな金融商品がNISAの対象になります。どういった商品を取り扱っているかは、金融機関によりさまざまです。銀行は投資信託のみで、証券会社のほうが多くの商品を取り扱っていますが、証券会社の中でもその種類や数に差があります。商品ラインナップを比較して、金融機関を選ぶのもいいでしょう。

また、金融商品を売買したり運用したりする際には、さまざまなコストが発生します。例えば株式の売買時にかかる取引手数料、投資信託の購入時にかかる手数料、運用時にかかる信託報酬、解約時にかかる信託財産留保額などです。信託報酬や信託財産留保額は投資信託の種類によって異なり、同じ商品ならどこの金融機関で購入しても同じです。一方、株式の取引手数料や投資信託の購入時にかかる手数料は金融機関によって異なります。

手数料はネット証券やネット銀行のほうが実店舗よりも低い傾向にあり、購入したい商品が決まっているなら、その商品を扱っている金融機関の手数料を判断材料にするのもひとつです。一方で、商品選びなどでアドバイスをもらいたい場合は、多少手数料が高くても実店舗にするといった選択肢もあります。

なお、NISA口座を持つ金融機関は、変更したい年の前年の10月1日から変更したい年の9月30日までの間に所定の手続きを行えば、年単位での変更が可能です。ただし変更したい年に1度でも変更前のNISA口座で商品を購入すると、その年の変更はできません。

変更前のNISA口座で購入した商品を変更後の口座へ移すことはできませんが、引き続き既定の期間内は税の優遇は受けられます。なお、その商品はロールオーバーはできません。それらの注意点を考慮したうえで、変更するか判断をしましょう。

資産を上手に活用して増やしていくためには、さまざまな金融商品を知ることが大事です。NISAについてもメリットだけでなく、どのようなデメリットや注意点があるのかを知っておきましょう。またNISAのほかに、税の優遇制度には、つみたてNISAやジュニアNISA、iDeCoなどもあります。それらについても基本的な内容を把握し、投資をする際に自分に合った制度を上手に利用してみてはいかがでしょうか。

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