NISAとは何か? メリット・デメリットを知って上手に活用しよう

投資に興味を持つ方のなかには、「NISA」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるでしょう。NISAは2014年1月に個人投資家向けの税制優遇制度としてスタートした制度です。今回は、NISAの仕組みやメリット・デメリットなどについて解説します。

NISAの仕組み

まずは、NISAの仕組みについて理解しておきましょう。

NISAとは

NISAはイギリスのISA(アイサ:Individual Savings Accountの略)をモデルにつくられたもので、「少額投資非課税制度」のことです。

NISAは投資商品ではなく、証券会社に通常の口座とは別の「NISA口座」をつくるところから始まります。そして、そのNISA口座を利用して投資すると、その投資で得た利益が非課税になるという仕組みです。

年間120万円まで非課税

前項のようにNISA口座を利用した投資で得た利益は非課税になりますが、投資枠は1年間で120万円までと決まっています。この金額は、投資商品の取得価格を指します。

例えば、NISAを通じてA社の株を120万円分取得したとします。仮に、3か月後に150万円に上昇したところで売却すれば30万円の利益です。売却したのは150万円ですが、取得時は120万円以内の非課税枠に収まっているので、利益の30万円に対する税金は非課税になります。

注意点としては、株を売却したからといって、年をまたがない限り非課税枠は復活しないという点です。例えば、1月に株を120万円で取得し2月に150万円で売却すれば120万円の枠は使い切るので、この年の12月までの取引は課税対象になります。

非課税の期間は最長5年

NISAの非課税期間は最長で5年です。例えば、5年間株を保有した場合は、以下の対応が必要です。

  • 非課税期間が終了するまでに売却する
  • 翌年の非課税投資枠に移管する(ロールオーバー)
  • 課税口座に移管する

一つ目の方法は、非課税期間が終了するまでに売却することです。そうすれば、当然ながら利益が出ても非課税になります。

二つ目の方法は、翌年の非課税投資枠に移管することです。そうすれば、翌年以降に売却して利益が出ても非課税になります。

この二つの方法が実施できない場合は、三つ目の通常の課税口座に移管するということになります。

NISAのメリット

前述のとおり、投資にかかる税金が非課税になる点が、NISAの最大のメリットです。この点を理解するために、投資における課税について説明します。

投資で得た利益に対する課税は、「分離課税」「総合課税」があります。「分離課税」は、給与所得などとは合算せず、1年間に発生した1種類の所得のみに課税する方法です。

「総合課税」は、給与所得などと合算され課税する方法です。前者は株式投資や投資信託の売却益、後者は不動産投資で得る家賃収入などが該当します。

分離課税の税率は、以下の通りです。

  • 所得税:15%
  • 住民税:5%
  • 復興特別所得税:0.315%(所得税額の2.1%のため15%×2.1%=0.315%)

このように、分離課税では、投資で得た利益に対して、合計20.315%の税率が課されます。

モデルケースを見てみましょう。X社の株を120万円分取得して、200万円に上昇したとします。この場合、売却すると80万円の利益が出ますが、これは所得として扱われ、本来であれば「80万円×20.315%=162,520円」を税金として支払う必要があります。

つまり、せっかく80万円の利益が出ても、手元に残るのは税引き後の637,480円になるということです。一方NISAであれば、この場合、非課税枠内であるので80万円が全額手元に残ります。

NISAのデメリット

このように税金の面でメリットがあるNISAですが、一方でデメリットとして以下が挙げられます。

損益通算できない

まず、NISA口座を利用すると損益通算ができません。損益通算とは、一定期間における「所得」と「損失」を相殺できる仕組みのことです。

例えば、以下のような投資を行ったとします。

  • A証券会社の口座で取引して100万円の利益を出す
  • B証券会社の口座で取引して100万円の損失を出す

通常口座であれば、証券会社が異なったとしてもこの二つの利益と損失は通算できます。つまり、100万円の利益と100万円の損失は合算され、利益ゼロとなり税金はかからないということです。しかし、仮にB証券の口座がNISAであった場合は、損益通算ができなくなります。

そのため、A証券会社で出した100万円には「100万円×20.315%=203,150円」の税金がかかり、NISA口座を利用しているB証券会社の損失は加味されないということになります。

損失繰越できない

また、NISAを利用した取引では損失繰越(損失が出た金額を翌年以降にも繰り越すこと)ができないという点もデメリットです。NISA口座以外の通常口座であれば、確定申告することでその年に出た損失を3年間繰り越すことができることになっています。

仮に2019年に株式投資で50万円の利益が出ても、2018年に80万円の損失が出ていたとしたら、通常は確定申告をすることで、その損失が相殺され非課税になります。また、残りの30万円分も2019年に繰り越されるのです。ただし、NISAを利用した取引の場合には、このような損失繰越は利用できません。

上記のように、投資に関する税制優遇措置を利用できない場合があるということが、NISAのデメリットです。

NISAとつみたてNISAの違い

NISAのほかに、「つみたてNISA」という言葉を聞くこともあります。この両者の違いについて解説します。

投資可能な金額と期間

そもそも「つみたてNISA」という名前のとおり、コツコツと長期間積み立てることを前提としているので、通常のNISAとは仕組みが異なります。

通常のNISAは、上述したように毎年120万円が上限の非課税枠を、最大で5年間利用できます。一方、つみたてNISAの場合は、毎年40万円の非課税枠で20年間運用することができるのです。

つみたてNISAの注意点は、投資できる枠を与えられた最初の1年目に、金融商品を取得する必要があるということです。後の19年間は売却と運用だけが可能であり、追加の買い付けはできません。通常のNISAの場合は、期間中であれば商品取得のタイミングに制限はありません。

また、つみたてNISAの場合は年間40万円の投資枠を使い切らなかったとしても翌年度には繰り越せず、商品を売っても投資枠は復活しません。この点には注意が必要です。

投資対象の商品

つみたてNISAの投資対象商品は限定されており、長期投資に適している投資信託161本(2019年1月現在)となっています。通常NISAの場合には上場している株式や投資信託などを自由に選べますので、つみたてNISAのほうが選べる範囲は狭くなります。

これは、上述したように積み立てNISAは長期投資を想定しているので、投資商品もその目的に沿った商品に限定しているからです。

投資信託は株式や債券などをプロが運用するため手数料がかかりますが、手数料がかかってしまうと長期投資では不利に働くため、つみたてNISAで取得できる金融商品は基本的に手数料の低い金融商品に限られています。

また、対象の金融商品は比較的変動が小さく安定している投資に限定しているのも特徴といえるでしょう。通常のNISAを利用するかつみたてNISAを利用するかは、その目的を考えきちんと仕組みを知ったうえで、判断しましょう。

まとめ

資産を上手に活用して増やしていくためには、さまざまな金融商品を知ることが大事です。NISAについてもメリットだけでなく、どのようなデメリットや注意点があるのかを知っておきましょう。そのうえで、投資をする際にNISAを検討してみてはいかがでしょうか。

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