不動産投資における修繕積立金とは? 概要と注意点を理解しよう

区分マンションや一棟マンションなどの不動産投資をしている場合、修繕積立金や管理費といった費用が発生します。このような費用の詳細について、知らない人もいるのではないでしょうか。今回は、修繕積立金の概要や経費にできる条件などについて解説します。

修繕積立金とは

まずは、「そもそも修繕積立金とは何か」という点について解説します。不動産投資をしていると、「管理費」や「補修費」といった言葉を耳にしますが、その二つの費用との違いも合わせて確認しておきましょう。

 

修繕積立金とは何か

修繕積立金は、マンションを長期間維持するために行う定期的な修繕工事に充てられる費用です。具体的には、以下のようなものを修繕する際に利用されます。

  • マンションの外観部分
  • 外部廊下やエントランス
  • エレベーター
  • 機械式駐車場
  • 屋上の防水
  • 配管関係

不動産投資をしているマンションが一棟所有であっても、区分所有であっても、修繕積立金はオーナーが用意しておかなければなりません。修繕積立金として、家賃の一部を積み立てておく方法が一般的です。

以下のような条件で実際にどのくらい修繕積立金が必要になるか、算出してみましょう。

  • 投資しているマンションの修繕が20年後には必要になる
  • 大がかりな修繕をするために必要な見積金額は2,000万円
  • マンションの戸数は20戸であり、どの部屋も同じ大きさで20平方メートル

修繕に必要な2,000万円を月あたりの金額に換算します。

2,000万円÷240ヶ月(20年×12ヶ月)=約83,000円

総戸数20戸(同じ大きさ)で毎月約83,000円が必要となり、1戸あたりは毎月約4,150円が必要となります。

管理費との違い

マンションを所有していると、修繕積立金のほかに管理費も必要です。管理費はマンションを管理していくための費用であり、多くの場合はオーナーが管理会社に支払うことになります。管理会社は以下のような業務を行い、マンション全体を管理しています。

 

  • 管理人の派遣
  • マンション内(共用部)の点検作業
  • 住民からの質問への回答
  • 共用部の清掃
  • 大規模修繕計画の主導
  • 管理組合の総会の指揮

 

修繕積立金はマンションの耐久性を維持するために大がかりな修繕に備える費用であるのに対し、管理費はマンション管理に関するあらゆる業務に対する費用です。

 

補修費(退去費用)との違い

また、不動産投資においては「補修費」という言葉も出てきます。この費用は賃借人(居住者)が使用している専有部の補修に充てる費用、つまり、賃借人が退去した際の原状回復費用といえます。この費用は、家賃とは別に敷金などの項目で賃貸契約時に賃借人に請求するケースが一般的です。

 

修繕積立金に関して知っておくべきこと

修繕積立金は、一棟投資の場合にはすべて自分の管理において準備しておくものですが、区分投資の場合はそのマンションの管理者(管理組合)から修繕積立金が徴収されることになります。その際に知っておくべきことがいくつかあります。

 

3種類の納付方法がある

修繕積立金の納付方法には、以下の三つがあります。

  • 均等積立方式
  • 段階増額積立方式
  • 一時金徴収方式

それぞれについて内容を確認しておきましょう。

均等積立方式

将来にわたって定額を徴収し、積み立てていく方式です。将来の修繕計画に見直しが生じた場合は、増額が必要になる可能性もありますが、比較的安定した徴収方法で、目標の資金を積み立てることができます。

そもそも修繕積立金は、「将来的にどのように修繕していくか」という、管理会社が策定する「長期修繕計画」に基づいて金額が決まっています。その計画のうえで、いつ、いくらの修繕積立金が必要になるかを計算し、それぞれの方法で修繕積立金を積み立てていくことになります。

2011年に国土交通省が出した「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」によると、長期修繕計画をもって、修繕積立金を準備することが大切であり、オーナーの負担にならない範囲で算定しなければならないことなどを含め方向性を示しているとともに、修繕費の積立に関しては、安定的な資金を積み立て確保するためには均等積立方式が望ましいとしています。

段階増額積立方式

将来にわたって段階的に修繕積立金の金額が上がっていく方式です。基本的には「5年ごとに30%アップ」のようにルールを決め、取り決めたとおりに修繕積立金が上昇していきます。

注意すべきは、オーナー間で合意ができず増額できない状態が続けば、修繕が必要になった時点で修繕積立金が不足するケースが出てくる、ということです。

一時金徴収方式

一時金徴収方式とは、大規模修繕が実施される予定である10~12年などの節目に、一括で修繕積立金を徴収する方式です。例えば「10年後に30万円を一時金で支払ってもらう」という取り決めがある場合、その徴収した資金で大規模修繕を実施する予定ということになります。

ただ、この方式では、オーナーが一度に大きな資金を用意しなくてはならないため、対応できないという場合もあります。

物価上昇時などには、修繕積立金が不足する可能性がある

どの方式が採用されていたとしても、物価上昇(インフレ)によって修繕積立金が上昇する可能性はあります。なぜなら、物価上昇(インフレ)になると、ものの価格やサービスの価格が上昇し、貨幣価値が下がるため、例えば500万円で修繕可能できたものが、500万円以上かけないと修繕できなくなってしまいます。

つまり、当初の修繕計画で計算していた「修繕積立金」では、修繕できない可能性が出てくるのです。そうなれば修繕積立金の増額が検討されることにもなります。ただし、このような場合もオーナー間で合意が必要になります。

修繕積立金は経費にできる

賃貸に供するために、マンションの一室を購入してオーナーになっても、一棟のマンションを購入しても、修繕積立金は、基本的にオーナーが負担する必要があります。その費用は「経費」にできますが、以下の2点を理解しておきましょう。

国税庁の見解

基本的に、不動産投資における「経費」は、不動産運営に関して支払われたお金が対象です。しかし、修繕積立金はあくまで「積立金」であり、そのお金を支払ったときに使うものではありません。そのため、本来であれば経費計上できないお金であり、そのお金が使われたときに経費計上するのが妥当です。

とはいえ、最近のマンションでは修繕積立金は義務的に支出しなければならないお金であり、そのお金はマンションを売却したときには戻ってきません。そのため、国税庁ではマンションの修繕積立金の経費算入を認めています。

マンションの管理規約上の条件

一般的にマンションの管理規約には、以下のような条文があります。

  • 区分マンションの所有者は管理組合に対して修繕積立金の支払い義務を負う
  • 管理組合はマンションの所有者から受け取った修繕積立金を返還しない
  • 修繕積立金は将来の修繕目的にのみ使用される

このように、基本的には前項の「国税庁の見解」に該当するような条件が記載されていますので、修繕積立金が経費として参入できるようになります。ただし、築年数が経過しているマンションであればこのような条件がないこともありますので、念のため管理規約の修繕積立金の欄をチェックしておきましょう。

まとめ

修繕積立金は、区分マンションや一棟マンションといった不動産投資において、必ず発生する費用です。まずは管理費や補修費との違いを含め、どのような費用なのかを理解しておきましょう。そのうえで、将来の修繕に備えておく方法を考慮して、不動産投資を始めることが大切です。

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