青色申告とは? 得られるメリットや手順について解説

確定申告は大きく分けて「青色申告」と「白色申告」があります。今回は「青色申告」の概要やメリット・デメリット、申告手順などを解説します。

青色申告とは?

「青色申告」とは、帳簿の記録に基づいて正確に所得金額や税額を計算し、確定申告を行う制度です。手続きが簡素な確定申告の制度である「白色申告」に比べ、さまざまな特典を利用することができます。

青色申告の対象者や必要な手続きなどは、以下の通りです。

※法人にも同様に青色申告制度がありますが、ここでは個人の所得税に絞って説明します。

対象者

所得税法上、所得は「給与所得」や「利子所得」「雑所得」ほか、10種類に分けられますが、青色申告ができる人は、そのなかの「事業所得」「不動産所得」「山林所得」のある人に限られています。

事業所得とは各種事業によって得た所得(不動産所得と山林所得を除く)、不動産所得とは土地や建物、船舶や航空機を貸し付けて得た所得、山林所得とは山林を伐採して譲渡したり、立木のままで譲渡したりすることによって生じた所得を指します。

サラリーマンがネットショップなどの副業によって得た所得も、事業所得と認められれば青色申告の対象になり得ますが、雑所得とされるケースもありますので、所轄の税務署に確認するのが確実です。

同じ副業でも、マンションの家賃収入などは明確に「不動産所得」となり、スムーズに青色申告制度を活用することができます。

必要な手続き

青色申告を希望する場合は、新規開業から2ヶ月以内か、青色申告しようとする年の3月15日までに所轄の税務署に、「青色申告承認申請書」を提出しなければなりません。

申請書には、名前や住所欄のほかに、簿記方式(複式簿記・簡易簿記・その他)、備付帳簿名(現金出納帳・総勘定元帳・仕訳帳など)を選択する欄などがあります。

必要な書類

青色申告では、「青色申告決算書」を提出することで、10万円または65万円 の所得控除を受けることができます。以下のように、帳簿の管理方法により、控除される金額や作成する書類が変わります。

(1)複式簿記の場合

複式簿記とは、取引の二面性をとらえて、借方に「普通預金:○○円」、貸方に「売上:○○円」などと記帳する方法で、お金の増減だけでなくその発生の仕方なども把握できるのが特徴です。

決算書は「一般用」(損益計算書および貸借対照表)を使用し、損益計算書と貸借対照表どちらも作成する必要があります。この場合は、所得控除額は65万円になります。

(2)簡易簿記の場合

簡易簿記とは、お金の増減だけに着目して「売上:○○円」などと簡易に記帳する方法で、家計簿などでも利用されます。「一般用」の決算書(損益計算書および貸借対照表)を使用しますが、損益計算書のみ作成が必要です。この場合は、所得控除額は10万円になります。

(3)現金式簡易簿記の場合

所得控除額は10万円になります。「現金主義用」の決算書(損益計算書のみ)を使用しますが、あらかじめ「現金主義の所得計算による旨の届出書」を提出する必要があります。

なお、確定申告時に帳簿を提出する必要はありませんが、5年もしくは7年の保管義務があり、税務署から求められた際は提示しなければなりません。

期限

青色申告を行うには、「必要な書類」に基づいて作成した青色申告決算書を確定申告書に添えて、確定申告の期間内に確定申告をしなければなりません。

確定申告期間は、基本的に2月16日~3月15日ですが、2月16日あるいは3月15日が土曜日か日曜日の場合は、その次の月曜日が期日となります。

特典

青色申告の代表的な特典は「青色申告特別控除」ですが、ほかにもさまざまな特典があります。特典の詳細は次の項目、「青色申告のメリット」で説明します。

青色申告のメリット・デメリット

青色申告の概要について分かったところで、青色申告のメリットとデメリットについて解説します。

青色申告のメリット

青色申告をすることの最大のメリットは、所得税を節税できることです。

所得税額は「所得(収入-必要経費-所得控除)×税率」で算出するため、所得が低ければ低いほど税額は安くなります。収入が同じならば「必要経費」と「所得控除」が大きくなるほど所得は低くなりますが、青色申告の「所得税の特典」は、この「必要経費」「所得控除」を大きくできることです。それぞれのメリットを見ていきましょう。

「青色申告特別控除が受けられる」

前述のように複式簿記で帳簿を付け、損益計算書および貸借対照表を正しく作成し、申告期限内に申告した場合は65万円の控除が、そうでない場合は10万円の控除が受けられます。

不動産所得の場合は、65万円控除の条件をクリアしていても、「事業規模(戸建てなら5棟以上、集合住宅なら10室以上が目安)」と認められないケースでは、控除額は10万円になります。

「家族への給与を必要経費に算入できる」

「青色事業専従者」と認められた家族や親族への給与を全額必要経費に算入できます。青色事業専従者とは、「青色申告者と生計を一にする」「その年の12月31日現在で年齢が15歳以上である」「その年を通じて6月を超える期間、その青色申告者の営む事業に専ら従事している」家族や親族のことです。

ただし、この特典が適用される確定申告をしようとする年の3月15日までに「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出する必要があります。

「赤字分を最長3年間繰り越せる」

ある年に、損益通算や雑損控除を行ってもなお控除しきれない赤字が出た場合、翌年以降3年間、各年の所得から赤字分の額を控除できます。この3年間は課税対象になる所得が減るため、節税になります。

「少額減価償却資産の特例が受けられる」

事業をするためには、さまざまな備品(償却資産)が必要です。10万円未満の備品は少額減価償却資産といい、購入額を必要経費として一括算入できます。10万円以上の備品は、法で定められた年数で割った額を「減価償却費」として計上していくことになります。

少額減価償却資産の特例とは、基準となる「10万円」が「30万円」まで引き上げられるというものです。つまり、30万円未満の備品であれば、全額その年の必要経費に算入できるという特例です。2020年3月末までの期間限定ですが、延長の可能性もあります。

青色申告のデメリット

青色申告のデメリットは、従来の白色申告と比べて「作業が増える」点でしょう。前もって青色申告承認申請書を提出する必要があったり、帳簿作成に手間がかかったりします。

しかし、通常の白色申告でも帳簿の作成と保存は義務付けられており、その手間は、10万円控除の場合とあまり変わりません。65万円控除を受ける場合の複式簿記になると確かに大変ですが、最近では専用のソフトなども出ており、上手に使えばかなり手間を減らすことができるでしょう。

青色申告の手順

最後に、青色申告を行う手順をご紹介します。

1. 青色申告承認申請書を提出する

定められた期日までに青色申告承認申請書を提出します。まだ「開業届」を出していない場合は、同時に提出するよう求められますので、税務署の指示に従いましょう。

また、該当する人は、「現金主義の所得計算による旨の届出書」「青色事業専従者給与に関する届出書」も一緒に提出する必要があります。各届出書は最寄りの税務署でもらえますし、国税庁のWEBサイトでダウンロードもできます。

2. 帳簿を作成する

それぞれ定められた帳簿を作成していきます。65万円の控除を受けるための帳簿作成はある程度知識が必要ですので、税務署主催の無料相談会や各地にある青色申告会、会計ソフトなどを利用するとよいでしょう。

3. 上記2の帳簿を元に青色申告決算書を作成する

一般用の決算書は、1ページ目が損益計算書、2ページ目・3ページ目は損益計算書を作成するために必要な明細書になっています。帳簿をもとに明細を埋め、それらの結果を損益計算書に転記します。4ページ目は貸借対照表で、10万円控除の場合は記載の必要がありません。

会計ソフトで帳簿を作成する場合は、これらの作業もソフトが行ってくれます。

4. 確定申告をする

確定申告書Bを記入し、上記3の青色申告決算書、その他の控除の適用を受ける場合はそれに必要な書類を添えて申告期限内に提出します。なお、確定申告書Aは給与所得や一時所得だけの人が使うものですので、青色申告をする場合は使用しません。

まとめ

青色申告は、さまざまなメリットがある制度です。青色申告をすることができるか確認し、可能な場合には前向きに検討してみてはいかがでしょうか。

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