経費にできるものがある確定申告における「租税公課」

租税公課(そぜいこうか)とは、簿記の勘定科目のひとつで、確定申告を行う際に目にしたことがあるという人もいるのではないでしょうか。今回は、租税公課が具体的にどのようなものなのかを解説します。

「租税」や「公課」とはどのような意味なのでしょうか。
「租税」とは国税と地方税のことを指し、「公課」とは国や地方自治体その他の公共団体が、個人や法人に負担させる社会保険料や組合費などを指します。つまり、本来の「租税公課」の意味は、「国や公共団体から課される公的な負担金」の総称です。

この租税公課という用語は、簿記の勘定科目のひとつとして使用されています。経理の仕事をしている人は別として、一般的に個人がこの「租税公課」という用語を目にするのは、所得税の確定申告をする際に提出する「収支内訳書」や「青色申告決算書」の経費の欄です。

この欄には、経費にできる租税公課が記載されています。経費にできない租税公課の金額をここに記載してしまうと、修正を求められたり、場合によっては追徴課税が課せられたりすることがあります。

では、経費にできる租税公課はどのようなもので、できないのはどのようなものがあるのでしょうか。

経費にできる租税公課

所得税法上の経費(確定申告上の経費)とは、「収入を得るために直接必要だった費用(必要経費)」のことを指します。以下のような租税公課については、経費にすることができます。

自動車税

自動車を所有している人に、通常自動車検査証に記載されている住所のある都道府県が課す地方税です。自動車の用途(営業用・自家用)や排気量によって税額が異なります。営業用とは、運送業者のトラックやタクシー会社のタクシーなど緑色のナンバープレートを付けている車で、それ以外は、仕事で使用するものでも「自家用」となります。

登録免許税

「登録」「登記」などに対して課される国税です。あまりなじみのない税金ですが、建物を新築した場合に行う「所有権保存登記」、住宅を購入した場合などに所有者権を売主から買主に移転する「所有権の移転登記」などがあります。納税義務者は「登録」「登記」された人ですので、新旧所有者が登記される「所有権移転登記」の場合、納税義務者は両者です。

印紙税

国が定める課税対象の文書(契約書・請負書・領収書など)の作成に対して、作成した人に課される国税で、文書の種類や記載されている金額などで税額が異なります。通常そのように対象の文書に収入印紙を貼る形で納税します。契約書を2部作成した場合は、両者が負担する、1部の場合は折半したりどちらか一方が負担したりするなどさまざまなケースがあります。

事業税

事業に対して、その事業を行う場所がある都道府県が事業を行う個人に課す地方税です。法人に課される法人事業税もありますが、ここでは個人事業税に絞って説明します。事業税が課される業種は法で定められており、現在多くの業種が対象になっています。ただし、サラリーマンが副業にしていることもあるライティングやアフィリエイト、プログラミングなどは対象外です。また、事業に対して発生する税金ですので、対象となる所得は、「事業所得」「不動産所得」「雑所得」になります。

固定資産税

土地や建物などの不動産を所有している人に、不動産の所在する市町村(東京23区の場合は東京都)が課す地方税です。地域によっては固定資産税と一緒に都市計画税も課されます。

不動産取得税

土地や建物などの不動産を取得した場合に、取得した人に対してその不動産の所在する都道府県が課す地方税です。登記の有無にかかわらず課税されます。固定資産税も同様ですが、事業所として取得した土地や建物のほか、不動産投資で賃貸収入を得るために取得したマンションなどの不動産取得税も当然経費にできます。

商工会議所や同業者組合、商店会などの会費や組合費など
通常強制ではありませんが、地域社会に溶け込み、事業を長く続けて安定した収益を得るためにも、商工会議所や同業者組合などに加入することは重要な場合があります。したがって、その会費や組合費も経費にすることが可能です。

「収入を得るために必要性があった費用」に該当しない租税公課は、経費にすることはできません。具体的には以下のようなものになります。

所得税・住民税

所得税は、所得に対して課される国税です。住民税は所得に対して課される、道府県税(東京都は都民税)と市町村税(東京都特別区は特別区民税)を合わせた地方税です。

相続税

亡くなった人の財産を相続した場合に、相続した人に課される国税です。遺言によって相続人以外の人に財産を無償でゆずる「遺贈」についても、相続税は発生します。

国税の延滞税・加算税および地方税の延滞金・加算金
納税が遅れたり、正しい申告が行われず本来支払うべき税額より少ない税額しか納めていなかったりした場合に課されるペナルティーの意味合いを持つ税金です。

罰金、科料、過料など

何らかのルールを破った場合に、強制的にお金を徴収する制裁です。罰金は原則として1万円以上という決まりのある刑事罰(犯罪を行った者に対して科す制裁)、科料(かりょう)は1,000円以上1万円未満の刑事罰、過料(かりょう)は刑事罰ではなく、行政上行うべき届け出(出生届や転出届など)をしなかった場合などに受ける軽い行政処分です。

租税公課の注意点

経費にできる租税公課については、以下の点に注意しましょう。

事業以外にも関連する租税公課の扱い方

個人の場合、自宅を事業所として利用している、家の自動車を事業にも使っているなど、公私で併用することも少なくないでしょう。そういった場合は、事業に使用した部分の割合を出し、関連する租税公課のうちその割合分だけを経費にすることができます。これを家事按分(かじあんぶん)といいます。

例えば、80平方メートルのマンション1室を購入し、そのうち20平方メートルを事業用に使用することを決めており、実際そのとおりに使用したとします。このマンションにかかる不動産取得税、登録免許税、印紙、所有している間支払う固定資産税については、それぞれ4分の1の金額を経費とすることができます。

家事按分の割合は納税者自身で決めますが、だれが聞いても納得する合理的な方法で決める必要があります。

固定資産税など分納する租税公課の経費算入時期
通常、租税公課は税金を納めた日が属する年の経費として算入します。ただし固定資産税のように4月、7月、12月、翌2月など分納する税金においては、例えば翌2月分を実際翌年2月に支払った場合、納めた前の年の経費にすることも、実際に納めた翌年の経費にすることもできます。

租税公課には確定申告の際、経費に入れられるもの入れられないものがあります。節税につなげるためにも、租税公課についてしっかり確認してはいかがでしょうか。

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