太陽光発電に投資するメリット・デメリットとは?

戸建てやマンションにソーラーパネルを設置し、太陽光で発電するシステムを利用している住宅があります。太陽光発電では電力が安くなるといったイメージがありますが、ほかにどんなメリットやデメリットがあるのでしょうか。今回は、太陽光発電の概要や、太陽光発電に投資した場合のメリット・デメリットについて解説します。

まずは、太陽光発電の概要について説明します。

太陽光発電の種類

太陽光発電とは、太陽の光エネルギーで発電することであり、一般的に以下の2種類があります。

  • 住宅用の太陽光発電
  • 産業用の太陽光発電

住宅用の太陽光発電とは、家庭で利用できる10kW未満の発電容量で発電した電気のことです。詳しくは後述しますが、家庭内で消費しきれなかった電力を売る「余剰売電」も可能です。

一方、10kW以上の発電容量の場合には産業用の太陽光発電になります。発電した電気をすべて売る「全量売電」と、住宅用の太陽光発電と同じく余った電力を売る「余剰売電」の2種類があります。住宅内の発電であっても、発電容量によっては「産業用の太陽光発電」になります。どちらの種類になるかで買取金額などが異なってくるので、気を付けましょう。

住宅用太陽光発電の仕組み

一般的に採用されている住宅用太陽光発電の仕組みは以下のとおりです。

  1. ソーラーパネルで発電
  2. パワー・コンディショナーで電力を変換
  3. 屋内用の分電盤で電力を受け取る
  4. 電力メーターで電力を計測

まずは、屋根に取り付けたソーラーパネルで太陽光を電気エネルギーにします。その後、パワー・コンディショナーで直流電流から交流電流に変換し、専用の分電盤で電力を受け取り家庭に供給します。次に、電力会社に売った分と電力会社から買う分を電力メーターで計測し、電気代を算出するという仕組みです。

太陽光発電は長期利用することが前提

太陽光発電は長期利用するものであり、短期スパンで投資するものではありません。そもそも電気エネルギーは家庭生活に必須のエネルギーですので不要になることはありません。つまり、生活で使うエネルギーを自分で賄い、そのシステムを長期利用することを前提にしたうえで、一部を投資に利用できる点も、太陽光発電の特徴といえるでしょう。

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次に、太陽光発電に投資するメリットについて解説します。

光熱費を削減できる

太陽光で発電した電力は家庭内で利用できるので、すべてを太陽光発電で賄えれば電気代は0円になります。また、太陽光発電の電気プランには、昼間は電気代が高くなり、夜は電気代が安くなるというプランがあります。

このようなプランであれば、電気代が高い昼間は太陽光によって発電して、太陽光発電ができない夜は電気代が安くなるので、必然的に光熱費が節約できます。特に、蓄電池やエコキュート(大気熱を利用した給湯機)などの設備をあわせて利用することで、節約効果は高くなります。

売電制度(FIT)を利用できる

太陽光発電で作った電力は、国が定めた売電制度(FIT)に従って売ることができます。この制度は「固定価格買取制度」とも呼ばれ、電力会社は以下のように国が定めた買取価格で買い取ることが義務付けられています。

  • 出力が10kW未満(住宅用太陽光発電)は買取期間が10年間
  • 買取価格は太陽光発電の容量と条件によって異なる

現在は、電力の需要と供給のバランスを保つため、太陽光発電を行う場合は遠隔操作によって電力の出力を制御する「出力制御対応機器」の設置が義務付けられています。

北海道電力、東北電力、北陸電力、中国電力、四国電力、九州電力、沖縄電力の供給区域において、出力制御対応機器の設置が義務付けられており、これらの電力会社の管轄エリアにおいては、10kW未満の発電の買取価格は、2018年は1kWhあたり28円(税込み)で、2019年は1kWhあたり26円(税込み)です。

停電時に利用できる

仮に、自然災害などの影響で停電が起こったとしても、太陽光発電であれば「自立運転モード」を利用することで自家発電することが可能です。例えば、停電したときでもスマートフォンを充電することで、災害情報を得ることができるでしょう。万が一のときにも、ある程度の電力を確保できる点も、太陽光発電の大きなメリットといえます。

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一方で、太陽光発電の投資には以下のようなデメリットがあります。

発電量が不安定

太陽光発電は、当然ながら太陽の光で発電するため、日没後は発電することはできません。また、雨や曇りといった「天気」によって発電量が左右される点はデメリットと言えます。そのため、太陽光発電を行う前に販売店でシミュレーションしてもらい、年間を通じてどのくらいの発電が可能かを確認しておくとよいでしょう。

初期費用とメンテナンス費用がかかる

太陽光発電には、初期費用とランニングコストとして以下の金額がかかります。

  • 初期費用:約35万円/kW
  • ランニングコスト:約2万円(3~4年ごとに1回程度)

初期費用とは、太陽光パネルの設置費用などです。前述した「出力制御対応機器」の設置がある場合は、上記にプラスして年間1万円程度の追加費用がかかります。

これらの費用は、金融機関でローンを組んで設置できる場合もあります。また、ランニングコストとは、定期点検費用や設備交換費用などが該当します。

このように初期費用・ランニングコスト・買取金額を加味したうえで、収益性が高いどうかを判断してから投資するかを決めましょう。

災害による破損リスクがある

例えば、台風による飛来物などによるソーラーパネルの破損や、地震による設備の破損などで設備機器が壊れることがあります。その補修費用は別途発生するので、このような予期せぬ出費がある点も考慮しておく必要があります。

このような事態に備え、自然災害による被害が補償される「火災保険」や、災害により売電できなかった場合の収入が補償される「休業補償保険」などの保険に加入すると安心でしょう。

買取価格が変動する

買取金額は年々減額されており、今後も変更になる可能性がある点に注意が必要です。2009年からスタートした住宅用太陽光発電の余剰売電が義務期間の10年目を迎える2019年以降は、売電契約が切れる家庭が出てくることになります。売電契約が切れる家庭では、「自家消費」か「相対・自由契約(登録小売電気事業者などと相対・自由契約をして売電をする)」かのいずれかを選択することになります。

今後の買取価格がどうなるかは分かりませんが、最大限リスクヘッジして収支計画を組まなくてはいけません。例えば、「買取価格がさらに減額となっても黒字になるか」「ランニングコストが相場以上かかっても黒字になるか」といった視点が重要です。

太陽光発電に投資するかどうかは、その利回りを見て決めましょう。

利回りには、表面利回りと実質利回りの2種類がありますので、単に利回りといったときにはどちらを指しているか確認することが大切です。

【表面利回り】

表面利回りとは、投資額に対してどのくらいの利益が出ているかを表すもので、以下の計算式で求められます。

 

表面利回り(%)=1年間の利益÷総投資額×100

例えば、1,000万円投資して、年間で100万円の利益が見込めるのであれば表面利回りは10%となります。

太陽光発電の表面利回りは、概ね10%程度が相場となっています。

【実質利回り】

一方、太陽光発電投資には、メンテンナンス費用や保険費用、固定資産税などさまざまな費用がかかります。

実質利回りは、表面利回りに経費もプラスして考慮した利回りのことで、以下のように計算します。

実質利回り(%)= (1年間の利益-1年間の経費)÷総投資額×100

例えば、1,000万円投資して、年間で100万円の利益と20万円の経費が想定されるのであれば、 (100万円-20万円) ÷1,000万円×100=8(%)となります。

実質利回りの場合、太陽光発電の設備によって経費が大きく変わるため、一概には言えませんが、概ね6~8%程度と考えておくとよいでしょう。

太陽光発電を始めると、所得税(住民税)と固定資産税がかかることに注意が必要です。

所得税・住民税

太陽光発電から得られた利益は、雑所得として計算し、確定申告して所得税と住民税を納める必要があります。

太陽光発電の利益は所得として計上する必要があるため、太陽光発電の収入から経費を差し引いた金額を所得として計上します。

ただし、サラリーマンで給与所得のある方は、売電収入による年間の合計所得が20万円以下の場合、確定申告しなくてもよいという制度があります。

太陽光発電の経費には、設備を取得した費用を耐用年数で割って毎年費用計上する「減価償却費」も含まれるため、太陽光発電の収入があったとしても、計算してみたら所得が20万円を下回るということもありえます。

このため、サラリーマンの方は「所得を計算したら太陽光発電による雑所得を確定申告する必要がなかった」ということも少なくありません。

固定資産税

太陽光発電は、産業用か非産業用かという用途により、固定資産税が課税されるかどうかが決まります。

太陽光発電の容量が10kW以上の場合は産業用とみなされ課税されます。

一方、10kW未満の場合は日産業用のため原則として非課税です。ただし、住宅兼店舗としている建物や、賃貸に出している建物の屋根に太陽光発電を設定していた場合、10kW未満でも産業用とみなされることがあります。

また、10kW未満の場合、設置の仕方によっても固定資産税の課税が課税されるかどうかが分かれます。

具体的には、住宅の屋根と太陽光発電が一体化しているものでは固定資産税が課されますが、一般的な屋根の上に太陽光発電を後付けしたようなケースでは非課税となることが多くなっています。

最後に、太陽光発電投資が失敗しないように、事前に以下のことに取り組んでおくとよいでしょう。

自分の土地について確認する

太陽光発電は、さまざまな土地で始めることができます。ただし、日当たりが悪い土地では収益が大きく落ち込んでしまいます。

できるだけ南向きに近い方角に向けられるかどうかを自分で確認したり、将来にわたって南向きに大きな建物が建つ心配はないかといったことを周辺の人や太陽光発電業者、不動産会社の人に確認したりするようにしましょう。

また、北向きの場合、発電効率が落ちるだけでなく、周辺に反射して迷惑をかけることがあるため、メーカーによっては設置を禁止しているケースもあります。

施工・販売業者をチェックする

太陽光発電の施工や販売をしている業者は、実績のある業者かどうか確認しましょう。

取扱いメーカー数の多い業者であれば、数ある業者のなかから自分にマッチしたメーカーを提案してくれる可能性があります。

また、施工実績があまりない業者の場合、設置時に屋根が欠損して雨漏りにつながってしまうといったリスクがあります。

売電価格をチェックする

売電価格は年度ごとに異なります。

例えば、10kW未満(出力制御対応機器設置義務なし)の場合、2018年26円、2019年24円といったように、基本的には年数が経つごとに売電価格は安くなっていくため、これから太陽光発電を始める場合はいくらの売電価格になるかチェックしたうえでシミュレーションを進めていく必要があります。

なお、採用される年度は契約時ではなく、発電開始時であるため、年度をまたいだ場合などには想定より売電価格が安くなってしまうこともあります。

設置から発電開始までは業者や電力会社の都合により時間がかかってしまうことがあるため、年度をまたいでしまった場合のパターンについてもあらかじめ想定しておくとよいでしょう。

住宅用の太陽光発電には、さまざまなメリットやデメリットがあります。また、太陽光発電は長期にわたる投資になるということも認識することが重要です。いろいろなシミュレーションをしたうえで、太陽光発電への投資を検討してみてはいかがでしょうか。

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