不動産におけるアセットマネジメントとは? 役割や業務内容を紹介

不動産投資を行っていると、「アセットマネジメント」という言葉を聞くことがあります。直訳すると「資産管理」という意味になりますが、不動産においてはどのようなことを指すのでしょうか。今回は、不動産におけるアセットマネジメントについて、概要や業務内容などを解説します。

不動産におけるアセットマネジメントとは、投資用不動産の買い付けや、ファンドの開発・証券化、不動産の運用・管理を代行して、利益を最大化する業務のことを指します。また、アセットマネジメントを行う人のことを、アセットマネージャーと呼びます。

類似する業務として、アセットマネージャーが手掛けた不動産を、現場で実際に運用・管理するプロパティマネジメントがあります。このプロパティマネジメントを行う人のことを、プロパティマネージャーと呼びます。このプロパティマネージャーへの指示を出すことも、アセットマネージャーの業務のひとつです。

アセットマネジメントが求められる背景

では、なぜアセットマネジメントという業務が求められるようになったのでしょうか。

不動産の収益には、もともと「不動産デベロッパーが土地を購入し、建物を建築して販売する」もしくは「企業や個人が不動産を他人に貸し出してその賃料を得る」という二つのパターンがありました。

しかし不動産を一棟(一戸)ごとに運用すると、収益が安定しなかったり、売買する際の手続きの煩雑さや金額の高さのために売買しづらかったりするという問題が残ってしまいます。

このようなリスクや問題を解消するために、「不動産をもっと有効活用して投資効率を上げられないだろうか」という考えから生まれたのが、アセットマネジメントです。アセットマネジメントによって、複数の不動産を組み合わせてファンド化し、投資家が購入しやすいように証券化して販売することで、より多くの投資家から資金を集めて不動産の収益化を進められるようになったのです。

日本政府も、90年代のバブル崩壊後、不動産の証券化を推進するために、以下のような法律の制定や改正を行いました。

  • 1994年「不動産特定共同事業法」を制定

個人投資家が共同で不動産投資が行えるようなりました。

  • 1998年「資産の流動化に関する法律」を制定

資金調達や投資家への利益の配分を目的としたSPC(特別目的会社)が、不動産などの資産を保有・運用して、その収益に基づいた証券などを発行できるようになりました。

  • 2000年「投資信託及び投資法人に関する法律」を改正

主に有価証券に限定されていた投資信託の運用対象が、不動産などにも拡大されました。

  • 2001年「資産の流動化に関する法律」を改正

1998年の法律ではSPCが保有・運用できる資産は限られていましたが、改正によりすべての財産権を対象とした流動化が可能になりました。

そして2001年には、不動産投資信託(REIT)が登場しました。日本のREIT(J-REIT)は、証券取引所に上場されているため、証券会社を通じて売買することができます。

アセットマネジメントの業務内容

では、実際にアセットマネジメントでどのようなことが行われるのか見てみましょう。

アセットマネジメントの七つのステップ

アセットマネジメントにおける主な業務内容は、以下の通りです。

1. 投資家ニーズの把握

まず、不動産を所有している、または今後所有を検討している投資家にヒアリングをし、投資家のニーズを把握します。ニーズや投資できるタイミングは投資家によって異なるため、最適なタイミングでファンドを開発できるよう投資家と密にコミュニケーションを取っていきます。

2. ファンド(商品)の企画・開発

投資家のニーズを把握したところで、そのニーズや投資条件を満たすことができるファンドを企画・開発します。基本的には複数の不動産を組み合わせて開発していくので、目標とする運用収益を満たす不動産の条件や運用スキームを特定し、開発に必要な関係企業にアプローチしていきます。

3. 投資用不動産の買い付け

ファンドに組み入れる不動産を実際に買い付けします。この買い付けのことを「アクイジション」といいます。膨大な不動産の売買情報から、より収益を上げられるような不動産を吟味し特定するために、一定の時間を費やして購入物件を決定します。

4. 組成して販売

購入した不動産を組み合わせてファンド化します。これを「組成」と呼びます。組成するためには、「SPCの立ち上げ」「借り入れを行うレンダー(金融機関)との交渉」「契約書類の作成」など、さまざまな工程を踏みます。すべての準備が整ったら、ファンドを実際に投資家へ販売します。

5. 取得した不動産の運用管理(プロパティマネージャーへの指示出し)

取得した不動産の運用管理はプロパティマネージャーが行いますので、アセットマネージャーは具体的な業務の指示を出します。プロパティマネージャーは指示に沿って物件を運用管理し、収益を最大化できるよう努めます。

6. 運用レポートの発行

ファンドの運用状況を定期的に報告するため、証券化レポートを作成します。このレポートは、ファンドが終了するまで継続して発行されます。

7. 不動産の売却

ファンドの運用は、基本的に期限を設定して行われます。その運用期限が近づいてくると、今度は不動産の売却手続きを進めていくのです。売却先を選定して価格を交渉したり、必要なレポートや契約書類の準備をしたりしたら、実際に売却に移ります。そして最終的な売却益を投資家に還元し、ファンドは終了します。これを「クロージング」といいます。

アセットマネージャーに求められること

このように、アセットマネジメントの業務は非常に幅広く複雑なものです。そのため、投資家に対応する営業担当や、不動産の買い付けをするアクイジションメンバー、組成やレポート作成を担当するアナリストなど、それぞれの分野のスペシャリストが集結して、アセットマネジメントが行われているのです。

アセットマネージャーは、このようなプロフェッショナルを束ね、不動産相場などの成り行きを予測したうえで、不動産の収益を増やしていくという責任があります。

不動産を所有している場合、「不動産の価値を高めたい」「不動産を効率的に管理したい」と考える人もいるでしょう。そのような場合は、アセットマネジメントを行うことも選択肢のひとつです。実績と経験のあるアセットマネージャーへ委託して、不動産の収益の最大化を目指してみてはいかがでしょうか。

関連記事