不動産を売却した際にどんな税金がかかる? 利用可能な控除や特例を交えて解説

自宅の住み替えや相続不動産の譲渡など、不動産の売却を行う際にどれくらい税金がかかるか気になる人もいるでしょう。不動産を売却するとき、実際にどのような税金がかかるのでしょうか。今回は、不動産売却にかかる税金の種類や控除、特例について解説します。

不動産を売却する際にかかる税金の種類

不動産売却にかかる税金にはさまざまなものがあります。各税金の概要について見てみましょう。

所得税

所得税は個人の所得に対してかかる税金です。1月1日から12月31日までの1年間のすべての所得から所得控除を差し引き、残りの課税所得に税率を適用して税額を計算します。所得は10種類に分類され、不動産売却における所得はその中の「譲渡所得」にあたります。

譲渡所得の金額は、「収入金額(売却価格)」から「取得費」と「譲渡費用」を差し引いて算出します。それぞれの金額の詳細については、下記のとおりです。

  • 収入金額:不動産の売却価格を指します。売買契約書に金額の記載があります。
  • 取得費:売却した不動産を取得するときに要した費用のことです。取得費には、売った土地の購入代金、建物の建築代金、購入手数料のほか、設備費や改良費なども含まれます。不動産取得時の契約書がある場合には、その内容を確認できます。しかし先祖代々引き継いでいる不動産など、取得時期が古すぎて、取得費が分からないケースもあるでしょう。その際には、「売った金額の5%相当額」を取得費の額とすることもできます。
  • 譲渡費用:譲渡、つまり不動産売却の際に必要となった費用のことです。仲介手数料や印紙税、土地を売る際に建物を取り壊したときの取り壊し費用、取り壊した建物の損失額などがあります。修繕費や固定資産税など、その資産の維持・管理にかかった費用、また代金の取り立てのための費用などは譲渡費用に入りません。

10種類ある所得のうち、土地や建物の譲渡による所得は、他の所得と合計せず分離して課税する分離課税制度が採用されています。所得税額は譲渡所得に税率をかけて算出しますが、この税率は以下のとおりです。

  • 長期譲渡所得(譲渡した年の1月1日現在で所有期間が5年を超える土地建物の譲渡所得):15%
  • 短期譲渡所得(譲渡した年の1月1日現在で所有期間が5年以下の土地建物の譲渡所得):30%

住民税

住民税は、自分が住んでいる都道府県、市区町村に納める税金です。所得税算出の際にも用いた譲渡所得に、以下の住民税の税率をかけて税額を算出します。

  • 長期譲渡所得(譲渡した年の1月1日現在で所有期間が5年を超える土地建物の譲渡所得):5%
  • 短期譲渡所得(譲渡した年の1月1日現在で所有期間が5年以下の土地建物の譲渡所得):9%

印紙税

印紙税とは、日常の経済取引に伴って作成する契約書などに課税される税金のことです。不動産売却の売買契約書も印紙税の対象となります。納付は、売買契約書に印紙を貼付することで行います。なお、納税額は売買契約書に記載されている契約金額によって異なるので確認しておきましょう。

不動産の譲渡に関する契約書のうち、記載金額が10万円を超えるもので、2014年4月1日から2020年3月31日までの間に作成されるものについては、不動産売買契約書の印紙税の軽減措置により印紙税は以下のとおりとなっています。

  • 契約金額が10万円を超え50万円以下のもの:本則税率は400円、軽減税率は200円
  • 契約金額が50万円を超え100万円以下のもの:本則税率は1,000円、軽減税率は500円
  • 契約金額が100万円を超え500万円以下のもの:本則税率は2,000円、軽減税率は1,000円
  • 契約金額が500万円を超え1,000万円以下のもの:本則税率は1万円、軽減税率は5,000円
  • 契約金額が1,000万円を超え5,000万円以下のもの:本則税率は2万円、軽減税率は1万円
  • 契約金額が5,000万円を超え1億円以下のもの:本則税率は6万円、軽減税率は3万円
  • 契約金額が1億円を超え5億円以下のもの:本則税率は10万円、軽減税率は6万円
  • 契約金額が5億円を超え10億円以下のもの:本則税率は20万円、軽減税率は16万円
  • 契約金額が10億円を超え50億円以下のもの:本則税率は40万円、軽減税率は32万円
  • 契約金額が50億円を超えるもの:本則税率は60万円、軽減税率は48万円

消費税

そのほか、不動産売却を行った場合、消費税の課税対象者(納税者)となる場合があります。つまり消費税を上乗せして不動産を売却し、預かった消費税を納税する必要があるということです。

ただし、消費税の課税対象者となる国内取引の納税義務者は、個人事業者と法人です。また国内において事業者が対価を得て行う資産の譲渡を行った取引が課税の対象となります。不動産の場合は建物のみが対象となり、土地や借地権の譲渡は含まれません。

具体例を見てみましょう。

  • 個人が自宅不動産を売却した場合…課税対象者とならない
  • 個人が賃貸経営を行っていたアパートを売却した場合…事業として対価を得て行う資産の売却であるため課税対象者となる

以上のように、不動産売却の際にはさまざまな税金がかかります。なお所得税については、一定の要件を満たした場合に優遇を受けられる場合があります。代表的な優遇制度としてマイホームに関する2つの特例を紹介します。

マイホームを売ったときの特例

前述のとおり、不動産を売却したときの所得税を計算する際に用いる譲渡所得の金額は、収入金額(売却価格)から取得費と譲渡費用を差し引いて算出します。さらに売却不動産が居住用財産、つまりマイホームであった場合、さらにそこから3,000万円の特別控除を差し引くことができる特例があります。

この特別控除を利用するためには、以下のような一定の条件を満たす必要があります。

  • 居住用不動産の売却であること。なお、以前に住んでいた家屋や敷地などの場合、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。
  • 不動産を売却した年の前年および前々年に、この特例の適用を受けていないこと。
  • 売主と買主が親子や夫婦など生計を一にする親族などでないこと。
  • 所定の税制優遇制度を併用していないこと。  など

条件の詳細については、国税庁のホームページで確認できます。

マイホームを売ったときの軽減税率の特例

長期間所有しているマイホームを売却する場合、一定の要件を満たせば、長期譲渡所得金額にかかる税率が以下のように軽減されます。

  • 長期譲渡所得金額が6,000万円以下の場合:長期譲渡所得金額×10%
  • 長期譲渡所得金額が6,000万円を超える場合:(長期譲渡所得金額-6,000万円)×15%+600万円

例えば、長期譲渡所得の金額が6,500万円であった場合、以下のように300万円の税額が軽減されることになります。

  • 本則の場合の税額: 6,500万円×15%=975万円
  • 特例の場合の税額:(6,500万円-6,000万円)×15%+600万円=675万円

この特例の適用を受けるためには、以下のような一定の条件を満たす必要があります。

  • 日本国内にある居住用不動産の売却であること。なお、以前に住んでいた家屋や敷地の場合には、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。
  • 売った年の1月1日において売った家屋や敷地の所有期間がともに10年を超えていること。
  • 売った年の前年および前々年にこの特例を受けていないこと。
  • 売った家屋や敷地についてマイホームの買換えや交換の特例など他の特例を受けていないこと。 

※マイホームを売ったときの3,000万円の特別控除の特例と軽減税率の特例は、重ねて受けることができます。

  • 親子や夫婦など特別の関係がある人に対して売ったものでないこと。

さらに詳しい条件については国税庁のホームページにて確認できます。

まとめ

不動産を売却したときにかかる税金にはさまざまなものがありますが、印紙税における不動産売買契約書の軽減措置や、譲渡所得における特別控除の特例・軽減税率の特例など、納税額を減額できる措置もあります。少しでも納税額を抑えるために、不動産を売却する際には、税理士や税務署などに相談してみてはいかがでしょうか。

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