投資をするなら知っておきたい「含み益」とは?

株式などの投資をしている人のなかには、「含み益」や「含み損」という言葉を聞いたことがある人もいるでしょう。含み益や含み損は、どのようなことを指すのでしょうか。今回は、含み益の概要や、含み益と混同されることがある「実現益」、含み益や実現益にかかる税金について解説します。

例えば株式の場合、購入した株式会社の経営状況により、購入時の価格(簿価)と現在の価格(時価)が異なる場合があります。

含み益とは、保有している資産において、時価が簿価を上回っている状態のことです。反対に、時価が簿価を下回っている場合は、含み損と呼ばれます。

含み益の具体例

実際に含み益が出た場合の具体例について見てみましょう。

A銘柄を2019年1月に株価1,000円で100株購入し、2019年3月に株価1,100円になっていたとします。この場合、(1,100円-1,000円)×100株=1万円の含み益が発生していることになります。

また、もし逆に2019年3月に株価が900円に下がった場合、(900円-1,000円)×100株=-1万円となるので、1万円の含み損が発生することになります。

実現益とは

次に含み益と混同されやすい実現益について見ていきましょう。

実現益とは、株式などの資産を売却した際に得られる利益のことを指します。つまり、いくら含み益が出ている状態であろうとも、保有し続けている限りは実現益は発生しないということです。

実現益の具体例

実際に実現益が出た場合の具体例について見てみましょう。

B銘柄を2019年3月に株価1,000円で100株購入し、2019年5月に株価1,200円で売却したとします。この場合、(1,200円-1,000円)×100株=2万円の実現益が発生することになります。

含み益と実現益の違い

含み益と実現益は同じ「益」という言葉がつくので混同されがちです。この二つの明確な違いは、利益が確定しているかどうかです。含み益は資産の時価が変動することで金額が変わりますが、実現益は資産を売却して得られた利益ですので、金額が変わることはありません。

含み益は「現金化するまでの確定していない利益」であり、実現益は「現金化した後の確定した利益」であるということを覚えておきましょう。

投資によって利益が出た場合は、確定申告が必要なこともあります。例えば、証券会社の「特定口座・源泉徴収なし」あるいは「一般口座」で株式の取引を行って、年間20万円超の所得が発生した場合が該当します。この場合、申告期限ぎりぎりになって慌てないように準備しておく方がよいでしょう。確定申告の申告期間は基本的に毎年2月16日~3月15日です。この時期は税務署も混雑しますから、不明なことがある場合は、余裕を持って相談に行きましょう。

含み益と実現益の課税および確定申告については、以下の点に注意しましょう。

基本的に含み益には課税されない

含み益は確定していない利益であるため、税金はかかりません。反対に含み損も確定していない損失であるため、含み損が出ても税金の還付を受けたり、利益と損失を相殺する「損益通算」をしたりすることはできません。

仮想通貨の含み益に関しては、個人の場合は課税されません。しかし法人の仮想通貨における含み益については、注意が必要です。法人において、売買目的の有価証券などは、時価で評価され、含み益、含み損は課税対象となっています。2019年の税制改正以降は、それまで明文化されていなかった仮想通貨による含み益、含み損に対しても、時価評価での課税がなされるようになりますので、もし法人において節税対策のために仮想通貨を保有している場合は、申告の際に気を付けましょう。

実現益には課税される

個人の場合には、基本的に含み益がどれだけ出ても課税されませんが、売却し実現益が発生すれば課税されます。株式を例に挙げれば、株式を購入しただけでは税金が発生せず、売却するまでの株価の変動で含み益が出ても課税されませんが、売却した際の利益には課税されることになります。保有する株式の売却をする場合には、差し引かれる税金のことも考えるようにしましょう。

源泉徴収ありの特定口座にしていれば確定申告は不要

株式を運用する場合、「源泉徴収あり」の特定口座を利用すれば、確定申告をする必要はありません。特定口座とは、個人投資家が証券会社に持つ口座の一種です。本来は株式売買で利益が出た場合、確定申告しなければなりませんが、「源泉徴収あり」の特定口座では、証券会社が株式売買で得た利益から、その利益にかかる税金を差し引き、投資家に代わって税務署に納めてくれるため、その必要がありません。

株式の売却によって生じた利益(実現益)に対しては、20.315%(所得税15.315%、住民税5%)が課税されます。

「B銘柄を2019年3月に株価1,000円の時点で100株購入し、2019年5月に株価1,100円で売却した場合」は、(1,100円-1,000円)×100株×20.315%=2,031円(1円未満切り捨て)の税金がかかります。

そのため、B銘柄を売却した際の手取り金額は、(100円×100株)-2,031円=7,969円となります。

源泉徴収なしの特定口座は確定申告が必要

源泉徴収なしの特定口座は確定申告が必要

「源泉徴収なし」の特定口座では、株式を売却し、利益が出れば確定申告が必要です。「特定口座にしていれば、どんな場合も確定申告が不要である」と勘違いしないようにしましょう。源泉徴収なしの特定口座では、「特定口座年間取引報告書」が証券会社より送られてきます。利益が出た場合は、この報告書を基に確定申告する必要があります。また、源泉徴収なしの特定口座でも株式の配当金については源泉徴収されます。

一般口座の場合も確定申告が必要

一般口座で取引をした場合も、利益が出れば当然確定申告が必要です。一般口座の場合は、年間の取引報告書も自分で作る必要があります。手間も時間もかかりますから、株式の売買をするのであれば、特定口座を作った方がよいでしょう。

売却して損失が出れば、確定申告をすることで税金が還付される

株式や投資信託を売却して利益が出た場合は納税の義務が発生しますが、損失が出た場合、特定口座を使用していれば、確定申告をすることで税金が還付されます。

売却して発生した損失と利益を3年間相殺することができる「損失の繰越控除」をすれば、源泉徴収で引かれ過ぎた税金が戻ってきます。

株式投資によって含み益が出ても、株式を売却し利益を確定させなければ、基本的には課税されません。投資をしている人は、含み益と実現益の違いをしっかりと把握したうえで、堅実に利益を出していくことを心がけていきましょう。

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