財形貯蓄とは? 意外と知らない制度の概要やメリット・デメリット

貯蓄を増やす方法のひとつに、財形貯蓄があります。みなさんの会社にも、財形貯蓄制度があるという人もいるでしょう。今回は、財形貯蓄の基礎知識やメリット・デメリットなどについて解説します。

財形貯蓄とは

財形貯蓄は、「勤労者の計画的な財産形成を促進することにより、勤労者の生活の安定を図り、国民経済の健全な発展に寄与すること」を目的として制定された「勤労者財産形成促進法」に基づいて、1972年にスタートした制度です。

勤務先企業が給与から天引きしたお金を金融機関に送る積立型の貯蓄制度であるため、勤務先企業がこの制度を導入していなければ、従業員は利用できません。

財形貯蓄には、「一般財形貯蓄」「財形住宅貯蓄」「財形年金貯蓄」の3種類がありますが、それぞれ次のような特徴があります。

一般財形貯蓄

貯蓄の目的や契約数に制限がなく、貯蓄を始めてから1年経過すれば自由に引き出しができる、最も自由度の高い財形貯蓄です。加入時の年齢制限もありません。ただし、原則3年以上の継続が必要です。また、他の財形貯蓄と異なり税制上の優遇はなく、利子から一律20%(所得税15%+地方税5%)が源泉徴収されます。

なお、2037年までは復興特別所得税0.315%が上乗せされますので、源泉徴収される際の税率は、所得税15%+復興特別所得税0.315%+地方税5%=20.315%です。

財形住宅貯蓄・財形年金貯蓄

財形住宅貯蓄はマイホーム購入時の頭金やリフォームする際の費用など、住宅に関連する資金づくりを目的にしており、財形年金貯蓄は60歳以降に年金として受け取る、老後資金づくりを目的にしています。

一般財形貯蓄と異なり、どちらも加入時の年齢は55歳未満、契約は1人につき1契約のみ、5年以上の継続が必要などさまざまな制限があります。

財形住宅貯蓄と財形年金貯蓄を合わせて550万円(財形年金貯蓄において保険で運用している場合は385万円)の元本にかかる部分までは、利子から源泉徴収される税金が非課税になります。ただし、目的外で引き出した場合は5年間さかのぼって課税されるので注意が必要です。

財形貯蓄のメリット・デメリット

財形貯蓄の概要が分かったところで、次にメリットとデメリットを見ていきましょう。

メリット

財形貯蓄のメリットは、以下のとおりです。

着実に貯蓄ができる

お金を手元においているとどうしても使ってしまうという人がいるでしょう。財形貯蓄の最大のメリットは、給与から天引きされるため、自動的にお金が貯まっていくということです。

また、積立期間が定められているうえ、目的外の引き出しをする場合はペナルティーが課されたり、手続きが面倒だったりと、引き出しにくいため、「貯蓄を取り崩すことなく継続させやすい」というメリットもあります。

税の優遇措置がある

財形住宅貯蓄と財形年金貯蓄を合わせて550万円(財形年金貯蓄で、保険タイプの場合は払込額385万円)まで非課税になります。

条件の良い住宅ローンを利用できる

財形貯蓄を行っている場合、住宅資金の優遇がある財形持家融資制度を利用することができます。ただし、三つの財形貯蓄のうち、いずれかを1年以上継続していて、ローンの申し込み日に残高が50万円以上あり、申し込み日の前2年以内に1度は財形貯蓄の預け入れを行っている場合に限ります。そのほかも返済がすべて完了するまで融資の対象となった住宅に住み続けること、勤務先が5年以上住宅手当を支給するといった「負担軽減措置」を講じることなど、さまざまな条件があります。

条件がある代わりに、融資事務手数料や保証料が不要になったり、18歳以下の子どもがいる場合や中小企業に勤めている場合などはより低い金利で借りられたりといった優遇が受けられます。

勤務先からお金を支給してもらえる場合がある

勤務先が財形給付金制度や財形基金制度を利用している場合は、勤務先企業からお金が支給されます。

財形給付金制度も財形基金制度も、勤務先の企業が財形貯蓄を行っている社員1人あたりに対して10万円以内のお金を拠出し、7年ごとにその拠出金と利子が支給される制度です。合計額は一時所得とされ、50万円まで非課税となります。

なお、財形給付金制度は企業が金融機関と「勤労者財産形成給付金契約」を結びますが、財形基金制度は厚生労働省の認可を受けた財形基金が金融機関と「勤労者財産形成基金契約」を結ぶといった違いがあります。このように二つの制度には違いがあるものの、従業員側にとっては、支給される金額や方法などは変わりありません。

デメリット

一方、財形貯蓄には以下のようなデメリットがあります。

税の優遇措置が受けられない場合がある

財形住宅貯蓄や財形年金貯蓄と異なり、一般財形貯蓄では非課税となりません。また、財形住宅貯蓄や財形年金貯蓄の場合も本来の目的以外で引き出したり解約したりすると、5年間さかのぼって課税されます。なお、財形住宅貯蓄は、住宅に関連する資金づくりを目的としたものですが、土地購入のために引き出す場合は、それが住宅用の土地であっても目的外となるので、注意しましょう。

ただし、貯蓄をしている本人や一定の条件に当てはまる親族が所有する住宅が災害などの被害にあった場合や、医療費の年間総額が200万円を超えた場合、本人が所得税法に定められる寡婦(夫)や特別障害者になった場合、自己都合以外で失業した場合には、目的外の引き出しをしても非課税の優遇措置がそのまま受けられます。

金融機関や運用商品の選択権がなく、一般的に低金利である

財形貯蓄の運用を委託する金融機関は、勤務先企業が決めます。また、運用する商品はその金融機関が決めるため、財形貯蓄をする本人には金融機関や運用商品の選択権がありません。

財形貯蓄で運用対象となる商品は預貯金、投資信託、生命保険などいろいろありますが、一般的に預貯金で運用されています。低金利時代の今、預貯金で運用する財形貯蓄だけで資産を増やすのは、難しいのが現状です。

財形貯蓄の注意点と活用方法

財形貯蓄のメリット・デメリットを把握できたら、次に財形貯蓄をする際の注意点と活用方法を確認しておきましょう。

財形貯蓄は勤務先企業を通して行う貯蓄ですので、積立期間中に退職する場合は貯蓄を継続することができないので、解約しなければいけません。したがって、財形住宅貯蓄や財形年金貯蓄の場合は目的外の引き出しとなり、課税対象になります。ただし、退職後に財形貯蓄制度を導入している企業に転職して、2年以内に諸手続きを取れば、現在の財形貯蓄をそのまま継続することができます。この場合の手続きは、転職先の企業を通して行うことになります。

なお、財政貯蓄制度が誕生した時代と異なり、現在はつみたてNISAやiDeCoといった税金の優遇を受けられるさまざまな積立制度があります。財形貯蓄だけでは非課税枠が限られ、また大きな利息が見込めない今の時代は、着実に貯蓄ができる財形貯蓄の最大のメリットを生かしつつ、他の金融商品との併用で資産を増やしていくといった活用も考えるといいでしょう。

まとめ

財形貯蓄は、給与から天引きされるため着実に貯められる、非課税措置がある、有利な住宅ローンが利用できるなどのさまざまなメリットがあります。一方で、非課税措置が受けられない場合があったり、金融機関や商品を選べなかったりするといったデメリットもいくつかあります。必要に応じて、つみたてNISA やiDeCoなどを併用し、上手に貯蓄を行っていきましょう。

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