収入が増えても貯蓄は伸びない!? 共働き世帯の家計管理を考えよう

平成9年に共働き世帯が専業主婦世帯の数を超えてから、年々その差は広がっています。片働きから共働きへ移行すると世帯収入が増える場合が多いため、当然貯蓄も増えるように思われますが、実際にはそうならない場合もあります。今回は、共働き世帯の世帯数や金融商品保有額、よく見られる家計管理の失敗パターン、上手な家計管理の方法について紹介します。

共働き世帯の世帯数・金融商品保有額

内閣府男女共同参画局の平成29年度版「男女共同参画白書」によると、共働き世帯の数は平成9年に専業主婦世帯の数を上回り、平成30年には専業主婦世帯の2倍以上にもなっています。「働き方改革」や「女性活躍推進法」など国の後押しもあることから、今後ますます増えていくことでしょう。

もともと片働きだった世帯が共働きに移行した場合、特別な理由がない限り世帯収入は増え、貯蓄額も増加すると考えられます。

ところが、金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 平成30年調査結果」によると、例えば500万円から750万円未満の世帯年収で比較した場合、世帯主のみが働いている片働き世帯の金融商品保有額の中央値が1,000 万円であるのに対し、共働き世帯の中央値は650万円です。 

手元に現金で保管しているというケースもあるかもしれませんが、同程度の収入にもかかわらず金融商品保有額が少ないということは、共働き世帯のほうが片働き世帯よりも支出が多いと考えられます。

もちろん、支出が多いことが必ずしも悪いわけではありません。「健康を考えて自然食に変えた」「子どもを留学させた」など、意味のある支出もあります。また、共働きのため、交際費や服飾費などが増えることもあるでしょう。どのような理由であれ、支出の理由がはっきりしており、それについて本人や家族が納得していることが大切です。

問題なのは、何に使ったかよく分からないのに支出が増えている場合です。意識せずに支出が増えている状態というのは、言い換えると家計管理の失敗です。

共働き世帯の家計管理の失敗例

では、共働き世帯において、どのような家計管理の失敗例があるか見てみましょう。

  • お互いの収入や貯蓄にノータッチで、生活費以外はそれぞれが給与を自由に使って残りを貯蓄といったかたちにしている場合に、結局何にお金を使ったかよく分からないが、お互いあまり貯蓄ができていないといったケースです。無意識にしろ、意識的にしろ、相手が貯めているだろうと考えて勝手に安心してしまい、何となく貯蓄ができていないのです。
  • 世帯収入に余裕ができたことで気が大きくなり、特に理由もなく高級食材を購入したり、子どもが望んだわけでもないのに習い事を増やしたりするなど、無計画な支出が増えてしまうケースです。目的がはっきりしている支出の増加とは事情が異なります。
  • 共働きなのに、一方に家事や育児の負担が偏り、その負担軽減やストレス解消のために、外食を繰り返したり、衝動買いをしたりするなどで出費がかさんでしまうケースです。こちらも「いつ」「どのくらい」出費がかかるのか不明瞭なため、家計に影響を及ぼします。

以上はあくまでも例であって、ほかにもさまざまなケースがあるでしょう。ただ、「お互いに相手の収入や貯蓄額を把握していない」「計画性がない」「コミュニケーションが不足している」といったことが、失敗の要因と言えそうです。

共働き世帯の家計管理を成功に導く方法

家計を上手に管理するには、さきほど紹介した3つの要因を解決する必要があります。これらを踏まえ、共働き世帯の家計管理を成功に導く5つのステップを紹介します。

ステップ1 :お互いの収入を確認

まずはお互いの年収と給与の手取り額を確認しましょう。できれば、源泉徴収票や給与明細などを見せ合うと、正確な収入を把握できます。このステップで世帯年収がいくらなのか、月給やボーナスの手取りがいくらなのかを把握します。

ステップ2 :固定費・変動費を確認

月々の固定費と変動費を確認しましょう。固定費とは住宅費や学校の授業料など毎月金額が決まっている費用のことです。変動費とは食費や水道光熱費など月によって金額の異なる費用です。

ほかに自動車税や固定資産税、年払い保険料など年に数回だけ発生する支出もあり、これらも予算に組み込まなければいけません。この支出分の総額を12で割って月々の予算に組み込んでいくのか、ボーナスから支払うのかなどもはっきりさせておきましょう。

なお、お小遣いは一般的に月々の固定費と考えることが多いようです。お互いのお小遣い額を決めるのもこのステップの重要な作業です。携帯代や昼食代などはお小遣いから出すのか、ボーナス時のお小遣いはどうするのかなども忘れず決めておきましょう。

このステップで、月々必要な生活費と年単位で発生する支出について把握し、予算立てをします。

ステップ3 :ライフプランを確認

大きな資金が必要になる今後のライフプランを確認しましょう。マイホームの頭金や子どもの進学費用、老後資金など、必要なものを洗い出します。その資金が必要なのは何年後かを明らかにし、そのためには1年でいくら貯蓄するべきかを把握します。

日々の仕事と家事で手いっぱいになり、とても将来のことまで考えられないといった場合は、とりあえずこのステップは省いてもよいでしょう。

ステップ4 :貯蓄目標を設定

ステップ1で確認した収入からステップ2で確認した予算を引いた額が貯蓄に回せる金額です。これをステップ3で出したライフプランに則し、「進学費用」「老後資金用」、あるいは「その他」などと口座を分けて貯めていくと、むやみに引き出してしまうといったことを避けられます。

貯蓄に回せる金額がステップ3の金額に満たない場合も、できれば直近で必要になる資金、例えば「進学費用」ならそれだけでも口座を分けて貯蓄しておきましょう。

ステップ3を行っていない場合は、ステップ1からステップ2を引いた全額を貯蓄していきます。具体的な目標のない貯蓄は、簡単に使ってしまいがちです。簡単に使えないように、引き出しにくい定期預金を利用するといった工夫をするとよいでしょう。

ステップ5 :家計管理のルールを決定

「いったん給与を全額共通口座に集めて、どちらか一方が管理をする」「それぞれが負担する生活費を引き落とし口座に入れて、ステップ4で決めた貯蓄額のうち自分がすべき貯蓄をする」など、世帯に合ったルールを決めます。いずれの方法でも、貯蓄が当初の目標どおりできているか、お互いいつでも目で確認できる状態にしておくことが大切です。

ルールを決める際の注意点

ステップ1から5まで、ルールを決める際に重要なのは、きちんと話し合ったうえで両者が納得するということです。例えば、「お小遣いを手取りの〇割にする」とルールを決め、そのルールに則って夫が5万円、妻が2万円のお小遣いになったとしましょう。手取り収入だけに着目すると妥当な決め方に思えますが、妻だけが仕事が終わるとあわてて買い物をして疲れた体で洗濯物を取り入れたり夕飯の用意をしたりするといった毎日を送っていれば、不公平感を持つかもしれません。

逆に手取りに関係なく定額でお小遣いを固定してしまったがために、努力して営業成績を上げて手に入れた臨時手当も自由に使えないとなれば、不満に感じることもあり得ます。

お互いしっかりとコミュニケーションを取って納得のいくルールを決めていくことが、家計管理を成功に導くためには不可欠です。

年収や家庭の状況は変化するものです。毎年1度はルールの見直しをするようにしましょう。

まとめ

共働きをしても、思うように貯蓄ができないケースがあります。お互いの収入をしっかり把握して、きちんとコミュニケーションをとったうえで、計画的に貯蓄をするなど、健全な家計管理を目指しましょう。

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