競売物件はお買い得?入札前に知っておきたい基本知識とリスク

「競売物件」といえば、「格安で購入できる」というイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。競売物件は、安いというメリットだけでなくリスクもあります。今回は、競売物件に関する基本知識や購入のメリットおよびリスク、購入の手順について説明します。

競売物件とは

競売物件とは、債務の返済ができなくなった人が保有している不動産を裁判所が差し押さえ、販売する物件のことです。債権者の競売申し立てに基づいて公告され、入札によって落札者を決定します。もっとも高額の価格を付けた落札者に物件を売却し、その代金が残債(ローンなどにおいて支払いの済んでいない金額)に充てられます。

不動産を購入するという意味では通常の取引と変わりないように見えますが、競売は宅地建物取引業法ではなく民事執行法が適用されるという違いがあります。

また、競売物件にはマンションや一戸建てのほか、事務所、店舗、オフィスビル、土地など多様な種類があることも特徴です。不動産競売流通協会の発表(「競売物件統計データ」)によると、2017年はマンションが4,320件、戸建てが16,443件公告されています。

競売物件を購入するメリットやリスク

競売物件の概要が分かったところで、競売物件のメリットやリスクについて見ていきましょう。

競売物件のメリット

競売物件を購入するメリットには、次のようなものがあります。

  • 格安で購入することができる
  • 市場に出にくい物件が売りに出ることがある
  • 裁判所から購入するためスムーズに手続きを進めることができる

競売物件は、市場価格に比べて格安で購入することができます。そのため、不動産に関連する法人だけでなく、個人で入札する人もいます。

さらに、競売では、離島や山間の土地など、通常の不動産市場には出てきにくい特殊な物件も売りに出されます。道路に面していない場所や変形した土地、市街化調整区域内の建物など、一般的に売りにくい不動産は市場にはなかなか出てきません。しかし裁判所が開催する競売では、こうした立地や土地の形、建物の大小に関係なく手続きが行われます。

また、民間の不動産取引の場合、売主と買主の権利がぶつかり合うと所有権の移転がスムーズに進まないケースもあります。しかし、競売物件の場合は売主側が裁判所であるため、落札後の所有権移転などが着実に実行されるという利点があります。

競売物件のリスク

価格面などにおいてメリットがある競売物件ですが、以下のようなリスクがあることも理解しておかなければなりません。

買主側への手厚い保護がない

競売では一般の不動産取引のように、担当者が重要事項を説明してくれるわけではありません。購入者の利益の保護を目的とした宅地建物取引業法の対象ではないため、自己責任の部分が多くなります。通常の不動産取引で買主に認められている権利が保証されておらず、手厚い保護がないことが大きなリスクといえます。

内見ができない

基本的に内見ができないため、自分で競売物件の情報を調べる必要があります。競売物件の情報は、物件を管轄する地方裁判所の競売物件閲覧室や競売物件のインターネットサイトに用意されている「物件明細書」「現況調査報告書」「評価書」といった書類で調べることができます。

瑕疵担保責任を追及できない

一般的な住宅の購入と違って、買主は売主に疵担保責任(商品に欠陥があった場合、売主が買主に対して負わなければならない担保責任)を問うことができません。たとえ購入後に欠陥が見つかったとしても、損害賠償請求や契約の解除はできないため、注意する必要があります。

引き渡し義務がない

競売物件については、引き渡しの義務を裁判所は負っていません。裁判所では所有権の名義の書き換えを行い、書類上では持ち主を確定しますが、物件の引き渡しまでは面倒を見てくれません。つまり、占有者がいる場合には落札者が自ら交渉を行い、立ち退きを要求する必要があります。

また、物件の中の残留物(たとえゴミのようなものであっても)に関しては、購入者に所有権が移らないものなので、勝手に処分ができません。残留物の処分についても、購入者が自ら占有者と交渉するといった対応をする必要があります。

「売却基準価額」の2割以上を保証金として納付する必要がある

入札を行う際には、裁判所が設定する「売却基準価額」の2割以上の保証金を納付しなければなりません。落札価格はこの「売却基準価額」の8割以上の価格を付ける必要があります。競売には住宅ローンが使えないため、支払いは現金で行います。

競売物件を購入する手順

メリットやさまざまなリスクを理解したうえで、競売物件を購入する場合の流れを見ていきましょう。

1. 物件の確認

裁判所における競売物件の入札は、通常は1週間程度の入札期間が設けられます。この方法を「期間入札」と呼びます。

公告された物件のなかに気に入ったものがあるときには、前述した「物件明細書」「現況調査報告書」「評価書」を閲覧し、競売物件の内容を確認します。これらの書類から、所在地や写真、図面などを見ることができますが、現地調査は自分で行う必要があります。

2. 保証金の納付、入札

「売却基準価額」の2割以上の金額で保証金の納付をし、入札期間内に入札を行います。この保証金は落札できなかった場合には返金されます。

3. 開札

入札期間が締め切られると入札参加者が立会い、執行官が封を開けて最高価格で落札した人を決定します。これを開札といい、落札者は「最高価買受申出人」と呼ばれます。

4. 売却許可の決定

最高価買受申出人に民事執行法に定められた「売却不許可事由(売却が許可されない理由となる事柄)」がなければ売却許可決定がなされ、以降は「最高価買受申出人」から「買受人」という呼称に変わります。

5. 代金納付、所有権の移転登記

買受人は通常は1か月以内に、入札価格から保証金を差し引いた額を一括で支払わなければなりません。代金が納付されると、およそ1~2週間で買受人に対する所有権移転登記と抵当権等抹消登記が行われ、不動産の所有が確定します。

通常の取引であれば登記後には売主から不動産の引き渡しが行われますが、競売では書面上での処理となります。先ほどご説明したように、競売では物件引き渡しの義務はないため、注意が必要です。

まとめ

競売物件は一般的な不動産取引と、適用される法律やルールが異なります。競売についてよく知らないまま、安さに引かれて安易に落札すると、後悔することにもなりかねません。メリットやリスクを理解したうえで、競売物件を購入するようにしましょう。

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