住宅ローンで耳にする元利均等返済と元金均等返済とは?

住宅ローンを検討する際、「元利均等返済」と「元金均等返済」という言葉を耳にすることがあるでしょう。どちらも返済方法ですが、自分に合ったほうを選ぶ必要があります。ここではそれぞれの特徴について、モデルケースを使って違いを解説します。住宅ローンを検討する際の参考にしてください。

元利均等返済は、住宅ローンの毎月の返済額、つまり「元金」と「利息」の合計額が、一定になるように計算された返済方法です。「利息」はローンの残高に応じて計算されるため、毎月の返済額は一定であっても、「元金」と「利息」の割合は異なっています。はじめは、ローン残高が多くなるため、返済額に占める「利息」の割合も大きいですが、返済が進めば進むほど、「元金」が占める割合が大きくなっていきます。元利均等返済の主なメリットとデメリットを確認しておきましょう。

メリット

  • 住宅ローンの総額や金利、返済期間など、返済方法以外のすべての条件が同じだった場合は、最初のころの月々の返済額が、元金均等返済よりも少なくすみます。
  • 毎月の返済額が同じであるため、月々の家計管理がしやすくなります。

デメリット

  • 返済方法以外のすべての条件が同じだった場合は、元金均等返済より元金部分の減りが遅くなります。
  • 返済方法以外のすべての条件が同じだった場合は、元金均等返済より返済の総額が多くなります。

「元金均等返済」は、住宅ローンの「元金」の総額を返済期間で等分し、毎月の返済額のうち「元金」部分が一定になるように計算された返済方法です。「元金」部分は一定ですが、「利息」はローン残高に応じて算出されるため、最初のころは多く、返済が進むにしたがって減っていきます。「元金」と「利息」を合わせた月々の返済額も、最初のころは多く、段々と少なくなっていきます。主なメリットとデメリットは以下のとおりです。

メリット

  • 毎月の返済額が段々と少なくなっていきます。
  • 返済方法以外のすべての条件が同じだった場合は、元利均等返済より元金部分の減りが早くなります。
  • 返済方法以外のすべての条件が同じだった場合は、元利均等返済より返済総額が少なくすみます。

デメリット

    • 返済方法以外のすべての条件が同じだった場合は、返済開始当初の月々の返済額が元利均等返済より多くなります。
    • 返済負担率(年収に対する年間返済額の割合)がローンを組む際の審査基準になる場合、返済開始当初の年間返済額が多いため、元利均等返済に比べて審査が不利になる可能性があります。

848_01_元利均等返済と元金均等返済の返済額を確認しよう.jpg

それぞれの特徴がわかったところで、元利均等返済を選択した場合と元金均等返済を選択した場合の月々の返済額や返済総額などの違いを、実際に数字を入れて確認していきましょう。

元利均等返済と元金均等返済の毎月の返済額の計算方法ですが、それぞれ以下のようになります。

  • 元利均等返済…{借入金額×月利×(1+月利)α乗}÷{(1+月利)α-1}
  • 元金均等返済…借入金額÷α×{1+(α-計算時の返済回+1)×月利}

※月利は一月あたりの金利、αは返済回数です。

上記の計算式に根気よく数字をあてはめて計算していくと返済額や返済総額を出すことは可能ですが、かなりの手間がかかり現実的ではありません。

そこで、シミュレーターを使うと、簡単に比較することができます。

ここでは住宅金融支援機構のシミュレーターを利用し、借入期間30年の固定金利1.3%、ボーナス払いなしで3,000万円の住宅ローンを組んだ場合をモデルケースに見ていきます。

なお、本来住宅ローンを組む際には手数料や保証料などがかかりますが、ここでは計算を簡略にするため、考慮しません。また、返済方法以外の条件はまったく同じとします。

元利均等返済

返済総額は、3,624万5,144円になります。

  • 当初…6万8,181円(元金部分)+3万2,500円(利息部分)=10万681円(月の返済額) 2,993万1,819円(ローン残高)
  • 5年後…7万2,679円+2万8,002円=10万681円 2,577万5,594円
  • 10年後…7万7,558円+2万3,123円=10万681円  2,126万7,636円
  • 15年後…8万2,763円+1万7,918円=10万681円 1,645万7,098円
  • 20年後…8万8,319円+1万2,362円=10万681円 1,132万3,666円
  • 30年後…10万557円+108円=10万665円 0円

元金均等返済

返済総額は、3,586万6,095円になります。

  • 当初…8万3,333円(元金部分)+3万2,500円(利息部分)=11万5,833円(月の返済額) 2,991万6,667円(ローン残高)
  • 5年後…8万3,333円+2万7,173円=11万506円 2,500万20円
  • 10年後…8万3,333円+2万1,756円=10万5,089円 2,000万40円
  • 15年後…8万3,333円+1万6,340円=9万9,673円 1,500万60円
  • 20年後…8万3,333円+1万923円=9万4,256円 1,000万80円
  • 30年後…8万3,453円+90円=8万3,543円 0円

元利均等返済と元金均等返済の返済額の違い

両者を比較すると、元利均等返済の月々の返済額は10万681円、元金均等返済の初月の返済額は11万5,833円と、1万5,152円の差があります。総務省のデータによると、一世帯あたりの月の平均支出は約24万円です。この数字から見ると、1カ月あたり1万5,152円の差は決して小さくはないでしょう。

一方、当初の予定どおり30年間かけて返済したと仮定すると、「元金」と「利息」を合わせた返済総額では元利均等返済が3,624万5,144円、元金均等返済が3,586万6,095円と、元金均等返済のほうが37万9,049円少なくなります。現在は超低金利時代のため以前に見られたほどの差はありませんが、約38万円の違いも小さくはないでしょう。

なお、当初の月々の返済額が少なくすみ、顧客にアピールしやすいといった点から、金融機関や不動産会社などが出すローン返済のシミュレーションは、元利均等返済で算出している場合があります。また、そもそも元金均等返済ができない金融機関もありますので、元金均等返済を考えている場合は前もって確認しましょう。

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モデルケースで返済額や返済総額の違いを見てきましたが、では、何を基準に返済方法を選べばよいのでしょうか。

途中繰り上げ返済や借り換えなどをせずに当初の予定通り30年をかけて返済する場合で、全期間を通して生活に支障を来すことなく毎月の返済ができるのであれば、当然返済総額の少ない元金均等返済にすべきでしょう。

しかし、住宅ローンは、返済総額を抑えること以上に、生活に支障を与えないようにしながら着実に月々の返済を行っていくことが重要です。例えばまだ若くて収入がそれほど多くない場合は、当初の月々の返済額が少ない元利均等返済が適切といえます。

また、モデルケースでは15年後に元利均等返済と元金均等返済の月の返済額が逆転します。子どもが小さくて比較的お金がかからず月々のローン返済にお金を多めに回せるなら、元金均等返済を選択するとよいでしょう。ちょうど大学進学など教育費のピークを迎えるころに、月々の返済額が減ることになります。

なお、ここまでは丸々30年をかけて住宅ローンを返済する前提で説明していますが、当初返済額の少ない元利均等返済を選択してその分を貯蓄に回し、早めに繰り上げ返済をし、結果的に総返済総額を抑えるという方法もあります。

返済総額だけに着目するのでなく、月々の返済に無理はないか、これからのライフステージやライフイベントと照らし合わせて問題がないかなどの視点で考えたうえで、可能な限り返済総額を抑えることが大切です。

なお、不動産投資で住宅ローンを利用する場合は、返済額のうち利息部分を「経費」に算入できます。したがって「節税」を意識するのであれば、当初の返済額のうち利息部分の占める割合が大きい元利均等返済を選択するのもひとつの手です。

住宅ローンの金利には、「変動金利型」「固定金利期間選択型」「全期間固定金利型」の3種類があります。

同じ借入金額でも、どれを選ぶかによって返済額は大きく変わってきます。したがって、家計状況や今後のライフプランなどに応じて、適切なものを選択することが大切です。

3つの金利の内容やメリット・デメリット、おすすめのケースについて解説します。

通常半年ごとに「金利」が、5年ごとに「返済額」が見直されるタイプです。金利は、短期プライムレートに連動します。短期プライムレートとは、金融機関が優良企業に向けて1年以内の短期で貸し出す際に適用する最優遇金利です。

金利が下がれば、返済額が少なくなり、上がれば多くなります。ただし、返済額が多くなる場合でも、急激な負担を避けるため、多くの金融機関や商品がそれまでの返済額の125%までに上限を定めています。これを「125%ルール」といいます。ただし、これは「元利均等返済」のみに適用されるルールです。理由は後ほど説明します。

メリット

固定金利期間選択型や全期間固定金利型に比べて、金利が低く設定されています。金利が下落局面にある場合は低金利を持続することができ、他のタイプと比べて総返済額が少なく済みます。

デメリット

短期プライムレートが上昇すると、それに連動して金利が上がってしまうのが最大のデメリットです。

通常「125%ルール」があるため、急激に返済額が上がることはありませんが、これには注意が必要です。先ほどこのルールは元利均等返済のみに適用されると説明しましたが、それは、毎月の返済額の「元金」部分と「利息」部分の割合を調整することで、このルールの上限を守るためです。

例えば、本来なら135%の上昇になるはずのケースでは、125%に抑えることで、10%分が免除になるわけではなく、10%分の元金の返済が先送りされる形で処理されるのです。元金の支払いが先送りになるということは、さらにそのぶんの利息も発生することを意味します。「先送り」が重なり、最終返済回までに完済できなかった場合は、残金を一括で支払わなくてはいけない可能性も出てきます。ただし、かなり極端なケースで実際にはほとんどないと考えられますが、125%ルールにそのような側面があるということだけは知っておく必要があるでしょう。

そのほか、将来の家計の見通しが立てにくいのも変動金利型のマイナス点です。

おすすめのケース

仮に返済額がアップしても、ムリなく返済を続けられるかどうかがポイントになります。例えば次のようなケースが、変動金利型がおすすめなケースです。

  • 共働きなど家計に余裕がある
  • 貯蓄が十分にある
  • 短期間で繰り上げ返済を行うめどがついている
  • 借入金額が少ない

3年や5年、10年など当初の一定期間の金利が変わらないタイプです。金融機関により選択できる固定金利期間の年数は異なり、固定金利期間が短いほど、金利が低くなります。固定金利期間終了後は、再度固定金利期間を選択するか、変動金利に変更するかを決めなければいけません。

メリット

一定期間金利が変わらないので、安心感があります。今後の金利水準の推移に応じて、金利の種類を見直せることも利点です。

デメリット

後ほど説明する全期間固定金利型よりは金利が低いのですが、変動金利型よりは金利が高くなります。また、変動金利型のような125%ルールがなく、固定金利期間後の金利水準によっては、返済額がそれ以前と比べて大幅に増えてしまう可能性があります。

おすすめのケース

出費がかさむ時期があらかじめわかっている場合、その期間が終わるまで金利を固定するといった活用法があります。あるいは、将来的に収入の増加や支出の減少が見込める場合にも適しているといえるでしょう。

  • 子育てが少し落ち着き、数年後には妻が働きに出る予定である
  • 繰り上げ返済を何年後かに行い、ローン残高を減らせる見込みがある

全期間を通して金利がまったく変わらないタイプで、住宅金融支援機構の「フラット35」がその代表です。フラット35はさまざまな金融機関で扱っていますが、金融機関ごとに金利が異なります。

メリット

金利上昇局面に入っても返済額がずっと変わらないため、安心です。また、将来の家計の見通しが立てやすい点も大きなメリットでしょう。

デメリット

変動金利や固定金利期間選択型に比べて金利が高くなります。仮に返済期間に金利水準が下がったとしても、借り換えない限りその恩恵を受けられないこともデメリットです。

おすすめのケース

 

金利が上昇する場合を考慮すると、全期間固定金利型を選択した場合、リスク回避になります。また、個人事業主などで年収の変動が激しい場合、今後収入が減る可能性がある場合もおすすめです。ほかには性格によって、全期間固定金利型が向いているケースがあります。

  • 借入金額が多い
  • 長期で借入をしている
  • 妻が出産で仕事をやめる予定がある
  • 貯蓄が少ない
  • 慎重派で、少しのリスクも許容できない
  • 金利動向のチェックを面倒に感じる

住宅ローンをスムーズに返済するには、元利均等返済と元金均等返済の選択がポイントとなります。それぞれの特徴をよく理解し、ライフスタイルや将来のライフイベントと照らし合わせて、慎重に選ぶようにしましょう。

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