信用取引は危険? 仕組みとメリット・デメリットを理解しよう

投資に関する用語として、「信用取引」という言葉を耳にしたことはありますか?信用取引について聞いたことがある人の中には、危険だというイメージを持っている人もいるかもしれませんが、信用取引とは一体どういったものなのでしょうか。今回は、信用取引の概要や仕組み、メリット・デメリットについて解説します。

信用取引とは

信用取引とは、証券会社に一定以上の担保を入れて現金や株式を借り、それを元手に株取引をすることを指します。現金のほか、株式や投資信託などの有価証券も担保として認められることがありますが、担保として認められる有価証券の種類や銘柄、担保としての評価額の算出方法などは、証券会社により異なります。

新規で信用取引を行う場合、約定代金(注文が成立したときの価格)に対する担保の金額の割合である「委託保証金率」は30%以上、担保金額は30万円以上必要であることが法で定められており、その条件内で各社が割合を決めます。つまり、委託保証金率が30%の証券会社では、30万円の保証金で100万円の取引ができることになります。この場合、担保の金額の約3.3倍までの取引ができますが、このように手持ち資金以上の取引ができる「レバレッジ効果」が信用取引の大きな特徴です。

また、各証券会社で20%、25%などの委託保証金維持率が設定されています。信用取引を繰り返すなかで、約定代金に対する担保の割合が委託保証金維持率を下回った場合は、追加で保証金(追証)を差し入れなければいけない決まりがあります。

ほかにも、信用取引の主な特徴としては、以下のようなものがあります。

  • 決済の期限が6ヶ月以内の制度信用取引と無期限の一般信用取引がある
  • 株式を借りて取引を始めることができるため、現金取引ではできない「売り」からの取引ができる
  • 同じ保証金で、一日何度も売買を繰り返すことができる

信用取引の仕組みは?

信用取引にはお金を借りて株式の買いから始める「信用買い」と、株式を借りて売りから始める「信用売り」があります。それぞれの仕組みを見てみましょう。

信用買い

担保を入れて証券会社からお金を借り、そのお金で株式を購入することから取引をスタートさせることを「信用買い」といいます。

購入した株式を売却した金額から、購入したときの代金や株式委託手数料、金利、管理費、名義書換料などの諸費用を差し引いた差額が利益となります。予測と異なり購入時より株価が下落して、損失が出ることもあります。

では、信用買いの簡単な例を見ていきましょう。いずれも諸費用は10万円とします。

 

  • 100万円を借りて株式を購入し、120万円で売却した場合:120万円-(100万円+10万円)=10万円(10万円の利益)
  • 100万円を借りて株式を購入し、80万円で売却した場合:80万円-(100万円+10万円)=-30万円(30万円の損失)

信用買いの決済方法は、上記例のように買った株式を売却して借りたお金を返済する方法「差金決済」のほか、手元にあるお金で株式を引き取る「現引き」による方法があります。

例えば、制度信用取引で、決済期限内に思うような値動きをせず、「差金決済」をすると損失が発生してしまう場合は「現引き」での決済を選択することも有効です。

信用売り

担保を入れて証券会社から株式を借り、その株式を売却することからスタートさせることを「信用売り」といいます。売却した株式と同じ銘柄を買い戻し、売却した代金から買い戻した代金や株式委託手数料、貸株料、管理費などの諸費用を差し引いた金額が利益または損失になります。こちらも、簡単な例を見ていきましょう。いずれも諸費用は10万円とします。

  • 株券を借りて100万円で売却し、その後同銘柄の株式を80万円で買い戻した場合:100万円-(80万円+10万円)=10万円(10万円の利益)
  • 株券を借りて100万円で売却し、その後同銘柄の株式を120万円で買い戻した場合:100万円-(120万円+10万円)=-30万円(30万円の損失)

信用売りの決済の方法は、売却した株式と同じ銘柄・数量を買い戻す方法と、保有していたり別の方法で入手したりした同じ銘柄・数量の株式を証券会社に返す「現渡し」で決済する方法があります。制度信用取引で決済期限内に株価が思うように値下がりしなかった場合に、「現渡し」が選択されることがあります。

ちなみに、現渡しは、「つなぎ売り」に利用される場合があります。つなぎ売りとは、もともと保有している株式が値下がりすると予測される場合、その株式は保有したままで信用取引によって同じ銘柄の株式を空売りすることを指します。予想通り値下がりした場合は買い戻しによる決済を行い、予想に反して値上がりした場合は、保有している株式の「現渡し」により決済することで、損失を回避、あるいは軽減します。

信用取引のメリット・デメリット

信用取引の仕組みがわかったところで、メリット・デメリットを見ていきましょう。

メリット

信用取引のメリットには、以下のようなものがあります。

レバレッジ効果が見込める

例えば、手持ちが30万円であれば現金取引では30万円までの取引しかできません。信用取引の場合は、同じ手持ち資金30万円で最高約100万円の取引ができるのです。

それぞれ株価が20%値上がりしたとして30万円の現金取引では利益は30万円×20%=6万円、100万円の信用取引では100万円×20%=20万円となります。同じ手持ち資金30万円で、利益に14万円もの差がつくのです。これをレバレッジ効果といいます。このレバレッジ効果が、信用取引の最も大きなメリットといえます。

株式市場の下落局面でも利益を狙える

現物取引と異なり、信用取引では「売り」から取引を始めることができるため、株式市場の下落局面でも利益を狙うことが可能です。

資金効率が良い

現物取引の場合は、有価証券の受渡しをせずに、売却金額と買付金額との差額で決済する「差金決済」が禁止されています。そのため、株式を購入しその日のうちに売却することはできても、その日のうちに再度購入するといった運用はできません。信用取引では差金決済が許されているため、同じ担保で日に何度でも売買を繰り返すことができ、また、売買で得た利益をさらに運用することもできます。

デメリット

信用取引には、以下のようなデメリットもあります。

現物取引に比べて損失が大きくなる

メリットであるレバレッジ効果の反対の側面で、株価が予想と異なる方向へ進んだ場合の損失が現物取引より大きくなる点がデメリットです。

例えば手持ち30万円で株式を購入して20%下落した場合、6万円の損失で済みますが、手持ち30万円を元手に100万円の信用取引をした場合は、損失は20万円になります。

現物取引より余計にコストがかかる

現物取引でもかかる株式委託手数料に加え、金利や管理費、賃株料などが余計にかかります。また、各社が設定している委託保証金維持率を下回った場合に差し入れなければいけない「追証」や、信用買いの際に証券会社が保有する株式では足りなかった場合に機関投資家から株式を借りる際に支払う「逆日歩」など、追加の費用がかかる場合もありますので、注意が必要です。

まとめ

信用取引は手持ちの資金以上の売買ができるため、大きな利益を得られる可能性があると同時に大きな損失が生じる可能性もあります。信用取引を行う場合は、しっかり勉強をして、メリット・デメリット、リスクなどを理解したうえで始めるようにしましょう。

関連記事