グロース株投資とバリュー株投資の違いと金利の影響を見極めよう

株式投資の投資手法は、主に「グロース株投資」と「バリュー株投資」に分類できます。この記事では、グロース株とバリュー株の違いとメリット・デメリットを紹介します。また、金利動向によってどちらの投資手法が有利なのかについて解説します。

株式投資を行う際は、特定の投資指標を元に購入を検討するのが基本となります。グロース株とバリュー株について紹介する前に、まずは代表的な投資指標となる「PER」と「PBR」ついて説明します。 

PER

PERは「Price Earnings Ratio」の略で、株価収益率のことです。株価を1株当たり当期純利益(EPS)で割って求めます。計算式は以下の通りです。

  • PER(株価収益率)=株価÷1株当たり当期純利益(EPS) 

PBR

PBRは「Price Book-value Ratio」の略で、株価純資産倍率といいます。株価が1株あたり純資産(BPS)の何倍まで買われているかを見る指標です。計算式は以下の通りです。

  • PBR(株価純資産倍率)=株価÷1株当たり純資産(BPS)
     

グロース株とは

グロース株は「成長株」ともいいます。売上や利益が毎年増えていて、今後も増加が見込める企業の株式のことです。IT株のように革新的な技術やサービスを通じて市場シェアを拡大して増収増益を続けている企業が多く、ほんの数年で株価が数倍から数十倍に上昇することも珍しくありません。 

たとえば、アメリカでは「GAFA」 が代表的なグロース株です。GAFAとは、以下のアメリカを代表するIT企業の頭文字をとった造語です。

G Google(グーグル)
A Apple(アップル)
F Facebook(フェイスブック)
A Amazon(アマゾン)

これらのIT企業は、現在のアメリカ市場だけでなく、世界のマーケットを牽引しているといっても過言ではありません。
日本の代表的なグロース株は、ファーストリテイリングや資生堂などがあります。

投資家がグロース株に投資する場合、現在成長している企業が今後もさらに成長すると考えて資金を投じます。つまり、「企業の成長を買う」のです。 

グロース株を探す時に注目すべきは、「売上高や利益(経常利益)が毎期順調に伸びているか」という点です。過去3年程度の売上と利益が毎年伸びている企業を会社四季報などで探し、以下の投資指標をチェックしておきましょう。成長率や伸び率が順調に伸びていれば、今後も株価の上昇が見込めると判断します。 

  • 売上高成長率={(当期売上高-前期売上高)÷前期売上高}× 100
  • 経常利益伸び率={(当期経常利益-前期経常利益)÷前期経常利益}×100 

四季報では今後の業績予想も掲載されているので、「今期以降も売上と利益が伸びるかどうか」を確認するようにします。今期と同程度の予想では、「グロース株」とはいえません。 

グロース株の株価は今後の業績を見据えて動くので、将来に向かって売上や利益が成長していなければ、さらなる株価上昇は見込みにくくなるのです。

グロース株の最大のメリットは、大きな利益を狙えることです。上昇トレンドが続けば、株価が2倍や3倍になることも珍しくありません。

アメリカでは株価が10倍になった銘柄を「テンバガー」と呼びます。本来テンバガーは野球用語であり、「1試合で10塁打(テンバガー)という大きな成果をあげる」という意味でした。それが株式用語としても使われるようになり、「株価が10倍くらいに跳ね上がる爆発的な銘柄(もしくは上昇しそうな銘柄)」をテンバガーと呼ぶようになったのです。テンバガーを狙えるのもグロース株の魅力です。

グロース株は企業の成長性を買うので、PERやPBRなどの投資指標が割高でも購入することになります。
成長が続いている間は良いのですが、市場の期待を下回ると大きく売られる可能性があります。

一度売られると半値近くまで暴落する銘柄もあるので、損切り注文をきちんと入れておくなどリスク管理を徹底しておくことが大切です。

  • リスクをとって大きなリターンを狙いたい人
  • 投資経験のある中・上級者 

グロース株は急落のリスクがあるものの、大きなリターンも狙えることから、バリュー株よりも人気があります。テンバガーなど大きな利益が狙えるのも魅力です。 

しかし、下落リスクも高いので、売上や利益の伸びをきちんとチェックし、損切りをきちんとするようにしましょう。また、株価が高い銘柄を買うこととなるので、投資経験のある中・上級者向きの手法といえます。

バリュー株は割安株ともいい、企業価値と比較して株価が割安になっている株式のことです。グロース株に比べて売上や利益の成長があまり期待できないことから、株価が企業価値と比較して安く放置されていることが多くなります。 

知名度の低い企業も多く、堅実経営を続けていても投資家の人気が低い銘柄もあるのです。 

バリュー株投資とは、企業価値よりも低くなっている株価が「いつか見直されて上昇する」と信じて資金を投じることです。ただし、株価の上昇がいつ、どのタイミングで起こるかというのは分かりません。バリュー株投資は、長期でじっくりと値上がりを待つ手法になります。

バリュー株を見つけるための指標は、記事冒頭で紹介したPERやPBRなどが基準となります。以下にバリュー株の探し方について、投資指標をふまえたうえで解説します。

PER 目安 14.41倍以下

一般に、PERが高いと割高で、低いと割安とみなされます。PERは何倍が妥当かというのは業種ごとに異なりますが、東証1部全銘柄の予想PERは14.41倍。バリュー株と判断するには、この水準を下回ることが必要です。 

ただし、業績が不安定な銘柄は避けるようにしましょう。今期は割安でも、来期以降に業績が悪化すると割安とは言えなくなるからです。業績や利益の伸びは少なくても、毎年きちんと安定的に利益をあげている銘柄から選ぶことをオススメします。

PBR 目安1倍以下

PBR1倍は「企業の解散価値」と見なされ、1倍を割ると売られすぎと判断します。バリュー株はPBR1倍以下の銘柄の中から選ぶようにします。

バリュー株は、企業価値と比べて売られすぎた銘柄を買いにいくので、グロース株と比べて下落リスクは低くなります。下値不安も少ないので、日々の株価に一喜一憂することはありません。ただし、企業業績が大きく悪化するときは売り込まれるリスクもあるので、決算などはきちんと確認するようにしましょう。

バリュー株は利益がでるまでに時間がかかります。割安に放置されている銘柄というのは、人気のない銘柄です。グロース株は市場の注目を集めることが多いのですが、バリュー株に資金が入らない時期も多々あります。 

バリュー株に投資する時は、短期ではなく長期で成果を出すことを考えるようにしましょう。

  • リスクを抑えたい人
  • 投資初心者 

バリュー株は下値不安が少ないので、グロース株に比べて初心者でも安心して投資できます。ただし、株式投資なので元本が保証されているわけではありません。業績や利益が安定しているかなどの確認が必要です。

TOPIX

現在の市場でバリュー株とグロース株どちらが優位なのかは、「TOPIXスタイルインデックス」を見ればわかります。TOPIXスタイルインデックスは、TOPIXの構成銘柄を連結PBRなどの指標を用いて分類した株価指数です。 

また、グロース株・バリュー株のどちらが優位なのかは、金利動向に大きな影響を受けます。金利低下局面では、グロース株の方がバリュー株よりも買われやすくなります。金利が低下する局面では、社債の発行などで調達した資金を生かして独自の成長につなげられるグロース株が有利になるからです。 

一方、金利が上昇する局面ではバリュー株が優位になります。たとえば、代表的なバリュー株である銀行株は、金利上昇局面になると貸出金利上昇によって利益向上が望めるようになるのです。

今回は、グロース株とバリュー株の違いについて解説しました。グロース株は成長性に投資するので大きな利益を狙えますが、成長が鈍化すると急落するリスクがあります。 

一方、バリュー株は割安な株を買うので下値不安が少ないというメリットがあります。投資初心者はリスクが比較的低いバリュー株から始めるようにしましょう。株式投資では利益をだすことも大事ですが、それ以上に損失を抑えることが重要だからです。 

また、グロース株は金利低下局面、バリュー株は金利上昇局面で優位性があります。どちらの投資手法にするかを決める時は、金利動向にも注目しておくようにしましょう。

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