今なぜ海外不動産投資が注目されるのか? メリット・デメリットから考える

近年、世界経済の行く末に不透明度が増し、従来の市場成長戦略には限界も指摘され始めています。日本も例外ではなく、景気好調を実感できる場面は少ないまま、超低金利、マイナス金利政策下の状況が継続されています。かつてのようにただ貯蓄、預金さえしていれば、利息である程度の資産が築ける時代ではもはやありません。老後2,000万円問題や少子高齢化、労働力不足など、さまざまな面で将来への不安が高まっています。

こうした現状に対応するには、現役世代から積極的な資産運用を考え、資産運用の知識をつけながら実践していく必要があるでしょう。確かな方針とプランで攻めた経済的自衛策をとること、多角的に資産形成を目指していくことが、不透明な未来のさまざまなリスクをコントロールし、より賢く、安心で豊かな生活への道を作っていくと考えられます。 

預金のみには頼れない現状、他に利用できる金融商品は数多く存在します。株式や国債、FX、投資信託、REIT、外貨預金、仕組預金、個人年金、保険商品、不動産、先物取引、暗号資産、純金積立など選択肢は挙げればきりがありません。市場とニーズの多様化から、今後も新たな投資先となる対象は多く生まれてくることでしょう。

一般的なものとしてはまず、保険や株式が挙げられます。これらはごく身近な投資のかたちであり、すでに利用されている方も多いことでしょう。しかし成功する資産運用の基本、リスク対策の基本は、やはり分散投資です。よりタイプの異なるものを上手く組み合わせ、自身の運用プランに取り入れていくことを検討してみましょう。

そこで今回は、その分散投資の対象として、近年再び人気と関心が高まっている不動産投資、とくに新たな注目の的の海外不動産投資について、国内不動産との違いにも触れながら解説していきます。

海外不動産投資とは、その名の通り、外国に存在する不動産物件、土地や建物を購入し、運用や売買を行うことで収益を得ることを目指すものです。物件の立地場所が海外であるという点を除けば、大枠の仕組みは国内不動産投資と変わりません。そこで先に不動産投資そのもののメリットを確認しておきましょう。

不動産投資

資産と定期収入源の確保

中長期的な資産運用方法として用いれば、不動産という財産を確保しつつ、運用による不労所得を安定して得ていくことができます。年金や預金の切り崩しに依存せず、老後や万一の場合などの将来に備え、まとまった定期収入を確保できる可能性が高いことが、不動産投資の大きな魅力です。 

節税効果

投資することで節税効果が期待できる点もメリットです。まとまった初期投資が必要というイメージのある不動産投資ですが、実際はローンを利用する方が多いです。また家賃収入を得られることを考えると、スタートのハードルを低くすることができます。一方、取得した不動産は長く高い価値をもつため、下記2点の利用が可能で、税金面に優れたメリットをもたらします。 

  • 減価償却の仕組み
  • 所得税や住民税、相続税といった各種税金の軽減 

減価償却とは、経年によって緩やかに減少していく資産価値を、その資産の耐用年数に応じて按分し、毎年の経費として計上できるという仕組みです。耐用年数が40年で2,000万円の建物である場合、耐用年数が40年の定額法償却率は0.025%ですので、毎年50万円を費用計上し、課税対象の所得(収益)から差し引くことが可能になります。運用にかかった経費とともに差し引けるため、控除額が大きくなり、高い節税効果を発揮させられます。 

給与所得など他から得た収入も含めて通算で申告、課税対象額を決定する仕組みも有利に働きます。法定耐用年数をすべて経過している建物の場合、その法定耐用年数の20%に相当する年数が耐用年数とされます。例えば、店舗・住宅用で木造の場合、耐用年数は22年。使用可能期間がその22年を超えていると、22年×20%で4.4年となり、4年での加速度償却が可能となります。所得が多い方の所得税圧縮効果も非常に高く見込めるでしょう。

メリット 

では、海外不動産投資ならではのメリットとは何でしょうか。国内不動産も大いに魅力的ですが、海外不動産を選択することで享受できる特有のメリットについて、さらにみていきましょう。 

より高い節税効果と見込まれる売却益

海外の中でも欧米では日本国内に比べ、新築志向が低く、中古住宅に安定して高いニーズがあります。 

このニーズの高さや、何代も住み継いでいくことをごく自然なことととらえる文化背景から、建物価値を長年にわたって高く評価してもらえる傾向にあります。先述の不動産保有による節税効果を、より大きな長期のメリットとして享受できます。 

もちろん建物価格の評価が長期間高く維持されやすいということは、売却時にも経年劣化による価格低下を抑えられるということであり、売却益への期待も高まります。 

利回りの良さ

海外不動産投資ならではの最大のメリットは、やはり、とくに新興国を選択することで得られる利回りの良さでしょう。高い経済成長率を背景とした不動産価格の上昇、人口増加と新規産業・市場の創出に伴う、まとまった“住”ニーズの発生に支えられ、他にない優れた利回りの投資として扱うことができます。 

中でもアジア圏の新興国は魅力的です。外国資本の流入率が高いため、世界経済の影響を受けた変動もみられますが、そうした国々は近年、比較的安定した高い経済成長率を記録しており、カンボジアやベトナム、フィリピン、ラオスなどを中心に、前年比7%前後の優れた値を維持してきています。 

不動産投資では、賃貸運用による家賃収入といった運用益(インカムゲイン)だけでなく、より安く取得して高く売却する売買差益(キャピタルゲイン)も狙うことができますが、高い経済成長を続ける国でこそ、国民所得や物価の上昇に伴う不動産価格の上昇で、売買差益が大きなリターンとして期待できます。購入物件のエリアが、新たな開発地域、急速な発展地域に該当すれば、想定以上の利益になることもしばしばです。 

さらに、日本国内では少子高齢化、出生率の低下で人口減少や過疎が問題となっていますが、世界的にみれば人口増加が大きな問題であり、そのもとは新興国における人口爆発、人口増にあります。人口が増加すれば、それだけ生活場所に寄せられるニーズも高まりますから、不動産価格の上昇を強く支える需要の増加を想定できるでしょう。出稼ぎ労働者が新たな住まいを求めることでも、ニーズは高まり、市場の不動産価格が上昇することとなります。 

このように、インカムゲイン・キャピタルゲインの両方を狙える、双方で魅力的な収益の伸びが見込めるという、海外不動産投資ならではの大きなメリットがあります。 

初期投資を抑えられる

円に対し、物件の市場価値が低いうちに購入する新興国での海外不動産投資ならば、スタート時の購入価額を安価に抑えやすく、少額から始められるというメリットもあります。思いもよらないお得な価格で、立派な物件のオーナーになれたという方は少なくありません。手軽に始めた投資が他にない利回りの良さを発揮し、まとまった利益を生んでくれることが十分にあります。 

分散投資になる

海外不動産のメリットのひとつとして、分散投資によるリスク低減というメリットも得られます。単一の通貨や単一の国の不動産に投資の資産を集中させていると、その市場に想定外の変化が生じた際、大切な資産を大きく減じてしまう可能性があります。しかし、異なる動きの市場、複数の対象に投資を分散させていれば、資産全ての価値が大きく下がるという事態を防ぐことができるでしょう。 

経済成長後の日本の円は稀にみる安定通貨なのでイメージしづらいかもしれませんが、その安定性も絶対ではありません。不動産や株式であれば、バブル崩壊による大幅下落も経験しています。より多角的な分散投資を行いたいと考えるなら、海外不動産投資は十分検討に値する、賢い選択肢です。

デメリット

ここまで国内外共通や海外ならではのメリットを紹介してきましたが、どんなものにもメリット・デメリットの両方があるように、やはり特有のデメリットも存在します。検討するならば、あらかじめそれを把握しておくことが重要でしょう。

情報収集の難しさ

国内における不動産であれば、自ら足を運んで現地や物件の状況を確認したり、周囲の評判について情報を収集したりすることが比較的容易ですが、海外の場合、下記のような項目が困難であるというデメリットがあります。 

  • 現地における高頻度の物件状況と周囲環境の確認
  • 言葉の障壁
  • 日本とは異なる生活習慣や文化背景
  • ニーズの違いによる評価の見定め
  • 不動産取得に関連する法律や税金の仕組みの違い

個人で現地確認や資料の収集と読み込みを十分に行い、該当国について不動産を取り巻く状況に相当程度詳しくなってから始めるとなると、ハードルは高くなってしまいます。一般には入手しづらい最新情報も含め、投資判断に必要な情報の確保と、確かな手続きの実行という観点から、信頼できる現地の仲介不動産業者や、日本から利用できる関連業者など、頼れるパートナーを求め、デメリットをカバーすることをお勧めします。 

為替変動リスク

外貨建てで資産を保有・運用する投資のひとつですから、現地通貨と日本円との市場価値変動により、思わぬ損をしてしまうリスクがあります。せっかく売買を通じてキャピタルゲインを得ても、大幅に円高が進めば、円ベースの自己資産としてごくわずかな収益になってしまったり、かえって目減りしてしまったりする可能性があるということです。 

しかし、逆に購入時に比べて円安となっていれば、現地通貨で発生した収益よりも得をすることももちろんあります。変動要素が増えるという点に留意しておけば、メリットにもデメリットにもなることですから、許容できないリスクではないでしょう。 

カントリーリスク

メリットの大きい新興国を選択した場合、国内情勢の不安定さが目立つことも多く、紛争や動乱の発生、政治体制の急激な変化など、保有する不動産価値にも深刻な影響を与える事態が生じやすい傾向があります。海外不動産投資では、こうしたその国特有のカントリーリスクに注意しなければなりません。未来に何が起こるか分からないのはどの土地も同じ、万人・万国共通ですが、より小さな情勢変化に意識的であることが失敗を防ぐために重要となります。 

融資条件でマイナス

国内の不動産投資では、比較的容易に融資を受けやすいものの、海外不動産の場合は事情が異なります。海外の金融機関で口座を開き、やりとりを行っていくことが必要となる他、外国人として融資を受けるために満たすべき条件やハードルが高めになり、ローンを組みにくくなります。大手グローバル銀行であるHSBCでローンを組む場合は、自己資本比率として15〜40%が求められるなど、厳しい条件提示となりやすい面があります。 

安価な物件であれば現金一括での購入で解決しますが、不動産売買として融資を受けるケースがより一般的でしょう。解決策がないわけではありません。フリーローンを利用するといった手法も考えられます。情報収集とあわせ専門家のサポートを受けるなどしながら、余裕をもって綿密な資金計画を立てていきましょう。

アジア

海外不動産投資のメリット、魅力を最大限に享受できる投資先といえば、やはり人口増加と経済成長が顕著にみられるアジア圏の新興国でしょう。アジアでも最高水準の賃貸利回りと英語での取り引きが基本で便利なフィリピンや、工業発展がめざましく、物価が安い利点のあるマレーシア、海外富裕層の出入りも多く安定性が高いシンガポールなどは代表的な候補です。 

その中でカンボジアは、注目度がまだ低いものの、高い経済成長率と人口増加に加え、中国などからの資本投下で不動産市場の成長が助長されています。縫製品に代表される輸出品の増加、建設業やサービス業の順調な伸びなどからも、安定して高い今後の経済成長が見込まれている国です。

カンボジアでは、人件費や物件価格の値頃感、固定資産税が非常に安いことをはじめとする税制面の有利さ、USドル決済の浸透などで、始めやすさとメリットの大きさが兼ね備わっているという特徴があります。ただし同国では外国人の土地所有が禁じられているため、投資対象はコンドミニアムやアパートの物件所有が主となります。物件着工前に購入し、工事の進捗にあわせて残りを分割で支払っていくプレビルド方式が一般的であり、完成間近の評価額が高まった時点で、売買差益を狙って売るといった手法をとる投資家もみられます。賃貸経営の場合、現時点では一部の富裕層や外国人向けでインカムゲインを狙うのが主流ですが、今後の経済発展でさらに対象層を広げることができる期待も十分にあります。投資先として思いつきにくい国かもしれませんが、穴場とみられる今こそ検討価値は高いでしょう。

いかがでしたか。海外不動産投資には、特有の注意点が存在するものの、それを考慮してもあまりある魅力と可能性があります。ぜひこの機会に自身の資産運用へ活かすことを検討してみてください。

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