貯蓄と投資のバランスは目的で変わる! 20代~60代の割合も紹介

将来の不安を解消するためには、計画的な資産形成を行うことが重要となります。資産形成には大きく分けて「貯蓄」と「投資」の2つの方法があります。今後、資産形成を考えている方は「貯蓄」と「投資」のバランスに悩んでいるのではないでしょうか。このバランスは老後まで時間がある20代と、老後が近い50代では資産形成の内容が異なります。

今回は日本の資産形成の現状と、年代ごとのバランスついてご紹介します。

就職や結婚、住宅購入や子供の誕生、老後の生活など、人生にはさまざまなイベントがあります。こういった将来起こるイベントに、それぞれいくらお金が必要なのかを計画することを「ライフプランニング」といいます。

理想的なライフプランを実現するためには、早めの資産形成が大切です。資産形成には「貯蓄」と「投資」の2つの方法があります。

「貯蓄」とはお金を蓄えることで、「銀行の預金」などが当てはまります。これに対し、「投資」は利益を見込んでお金を運用することで、「株式」や「投資信託」の購入などが当てはまります。 

実はこのライフプランを踏まえた資産形成のバランスが日本とアメリカでは大きく異なることをご存知でしょうか。日本銀行調査統計局が発表している数値をもとに解説していきます。

アメリカと日本

アメリカと日本の投資事情から見る投資の必要性

ここで、金融先進国と言われているアメリカの投資事情を見ながら、投資の必要性について考えてみましょう。 

アメリカの家計における金融資産は、投資によるものが約52.8%(債務債券6.5%・投資信託12.0%・株式等34.3%)と、実に半分以上を占めています。

日本の75歳以上の高齢世帯の金融資産は、ここ20年でほぼ横ばいだったのに対し、アメリカでは3倍に伸びています。アメリカ株式市場が好調だったことや制度的な後押しもあり、現役時代から投資を継続的に行い、金融資産が大きく増加したと考えられます。

また、アメリカの半分以上の州で金融教育が行われていることも、投資の高い割合に大きく影響しています。アメリカでは小学校から高校まで、それぞれのレベルごとに応じて投資に関する教育環境が整備されています。子供のころから投資についてきちんと学んでいるので、日本よりも金融リテラシーが高いといえるでしょう。平均的に投資について一定の知識があり身近なものになっているため、所得を得るようになってから自然と投資を始める流れになっています。一方日本は、投資はごく一部のお金持ちがやるもの、リスクがあるもの、など知識がないことによる「なんとなく悪いイメージ」だけが先行してしまい、投資を積極的にやろうという雰囲気があまりありません。 

こういった背景からか、日本の家計における金融資産は、貯蓄である「預貯金」が53.3%を超え、投資はわずか15.2%しかありません。「貯蓄だけでも将来のお金を貯めることが可能では?」と考える方もいるでしょう。たしかに、バブル崩壊の1990年前後までは、投資の必要はありませんでした。当時は銀行金利が高く、お金を預けているだけで、一定の増加が望めました。さらに、終身雇用・年功序列が当たり前で、一生懸命働いていれば給料は右肩上がり、定年後も手厚い年金制度があったので投資の必要性はありませんでした。

しかし、終身雇用制度は崩壊へと進んでいるうえ、手厚い年金がもらえるという保証もありません。また超低金利が続いているので、銀行へ預金をしていても貯金額はほとんど増えないでしょう。このように、「国や銀行に頼っておけば良かった時代」というのは終わりました。現在は、預貯金だけではなく自分自身で投資を行い、将来のために資産形成をする時代となったのです。
参照:日本銀行調査統計局「資金循環の日米欧比較」 

それでは、貯蓄と投資はどのようなバランスで使い分ければいいのでしょうか。そのポイントは「お金を使う目的」「家計状況」です。

投資は元本が保証されていないので、損失がでる可能性があります。そのため「3~5年後に必要なお金」といったように、使う時期が決まっている資金としては、投資よりも貯蓄の方が向いています。 

たとえば、教育資金などは必要な時期や金額が決まっているので、毎月決まった額を貯蓄や保険で積立てておけば、必要になったときにすぐ資金を用意することが可能です。しかし投資は、損失がでて、必要な時期に用意できない可能性があるため、注意が必要です。

教育資金ほど厳密ではないものの、老後資金も必要な時期はある程度決まっています。「豊かな老後」のためにお金を用意するので、どの程度の金額が必要なのかは人それぞれになります。

これらの点からも、投資は老後資金の準備に向いています。10年、20年と長期での運用を考えた場合、投資した場合の収益率は安定し、資金が大きく増える可能性があるからです。

国内外の株式や債券に積立・分散投資した場合の収益率を考えましょう。保有期間が5年の場合はマイナスも発生しますが、保有期間が20年になるとプラスのリターンに収れんし、そのばらつきも小さくなります。基本的に経済全体の波というものは、上昇と下降を繰り返します。短期間だけを見ればリターンにばらつきがあっても、長期間に見れば安定しているのです。

また、投資に回せる余裕資金があるかという家計状況も考える必要があります。余裕資金とは、生活していくなかですぐ必要とはならない、家計にそれほど影響を与えない資金のことです。 

ライフプランやその時の家計状況に応じて貯蓄と投資を使い分けることが、望ましい資産形成だといえます。

ポートフォリオ

無理のない資産形成を行うためにも、投資では「ポートフォリオ」を作る必要があります。ポートフォリオとは、保有する資産の組み合わせや比率のことです。 

また投資には、リターンとリスクがあります。リターンとは収益率のことで、リスクとはリターンの振れ幅のことです。リスクが高くなればなるほどリターンも大きくなります。 

たとえば、元本が保証されている預貯金よりも株式の方がリスクは大きくなりますが、その分大きなリターンも望めるのです。 

それでは、投資対象を国内外の株式と債券にした場合、どのような比率でポートフォリオを組めばいいのでしょうか。私たちの年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、「長期的な観点から安全かつ効率的な運用」を行うための基本ポートフォリオを定めています。 

株式と債券の比率は50%ずつで、バランスをとりながらリターンを目指すポートフォリオです。 

それでは、GPIFのポートフォリオを基本にして、年代別のオススメ比率をご紹介します。ただし、個人のライフプランや資金量によってポートフォリオは異なるので、あくまでも参考程度に考えてください。 

20代の比率 株式の比率を増やして積極運用

  • 国内株式:40%
  • 外国株式:30%
  • 国内債券:20%
  • 外国債券:10%

20代は老後まで40年以上の時間があります。さきほどの国際分散投資の例でも20年以上の長期投資の場合、収益率が安定することがわかっています。少額でも構わないので、株式の比率を高めた積極運用を行っていきましょう。為替リスクのある外国株式や外国債券にも積極的に挑戦していきましょう。 

30代の比率 ライフステージに合わせて調整

  • 国内株式:35%
  • 外国株式:25%
  • 国内債券:25%
  • 外国債券:15%

30代は20代よりもリスク許容度が低くなりますが、20~30年の運用期間を確保できます。しっかり運用することによって将来の年金資金の基礎を作れるので、やはり国内外の株式を中心に積極運用を行うようにしましょう。 

ただ、結婚や出産などイベントも多い時期です。無理をせず、少額でも余裕資金の範囲内で投資を続けるようにしましょう。 

40代の比率 収益と安全性のバランスを考える

  • 国内株式:30%
  • 外国株式:20%
  • 国内債券:35%
  • 外国債券:15%

40代は住宅ローンや教育資金の負担などが大きい時期です。ただ、20代・30代に比べて所得も増えているでしょうから、老後資金のために投資を続けていくことが大切です。

これまでの運用結果を考え、さらに投資を増やして積極運用を続けるのか、資産を減らさないように保守的な運用をするのか決めるようにします。 

50代の比率 安定運用への移行時期

  • 国内株式:20%
  • 外国株式:10%
  • 国内債券:60%
  • 外国債券:10%

50代はリタイアの時期が近づいています。教育資金や住宅ローンの目途がついている場合は、積立金額を積極的に引き上げましょう。ただし、運用期間が限られているので、株式の比率を落とし、債券中心の運用にします。 

大切な老後資金が大きく変動しないよう、収益性から安全性を意識した運用へ切り替えていくのです。

60代の比率 リスクを抑えて安定運用

  • 国内株式:10%
  • 外国株式:10%
  • 国内債券:70%
  • 外国債券:10%

老後は、安定した収入が見込めないため、これまで積み立てた資産を取り崩していく時期になります。現代は、人生100年時代を迎え、今後老後の期間はどのくらいになるかわかりません。老後の運用は資産を減らさないことを考えましょう。そのため、有価証券中心の運用から、国内国債など元本保証型を増やします。 

日米の金融資産比率は大きな差があります。日本はバブル期まで給料が右肩上がりに増え、老後も手厚い年金制度がありました。しかし、現在の環境は大きく変わっています。 

日本もアメリカのように積極的な投資をする必要性が高まっています。
世代ごとに貯蓄と投資の比率を決め、老後に備えた資産形成をするようにしましょう。

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