なぜ不動産投資は失敗する? 始める前に知っておくべきリスクについて

不動産投資について、「失敗するのではないか」「リスクが大きい」などと考え、尻込みする人もいるでしょう。不動産投資の失敗は、事前にどのようなリスクがあるのかを理解できていなかったり、リスクに対する対策が不十分だったりするために起こります。

そこで、不動産投資でよくある失敗例と、それを回避するための方法をまとめました。

不動産投資は、不動産にまつわる投資全般を指す言葉です。一般的には、「マンションの一室やアパート、戸建てなどを購入して、貸し出すことで賃貸料を得る」という投資手法を指す場合が多くなっています。 

不動産から利益を得る方法は他に、駐車場経営、民泊、REIT、レンタルスペース経営などがありますが、ここでは、居住用の部屋を貸し出す不動産投資について説明します。

不動産投資のリスク

不動産投資は、株式投資や投資信託などとは違い、「不動産」という現物を手にすることができる投資です。そのため、投資した物の価値がゼロになるリスクは低く、長期的に安定した利益を得られる投資手法といわれています。

しかし、不動産投資にリスクがないわけではありません。不動産投資をする上で知っておかなければならない3つのリスクについてまとめました。

経済的リスク

不動産投資を行う際、「もともと持っている不動産を貸し出す」という場合は、それほど大きな経済的リスクを負うことはありません。また、「全額キャッシュで物件を購入した」という人も、あまり心配はいらないでしょう。

しかし、多くの場合は、数千万~数億円に上ることもある物件は手元資金で購入するのではなく、ローンを組んで購入するのが一般的です。 

不動産投資は投資ですから、利益を上げることを目的としています。例えば、「月々家賃が10万円、ローンの返済額が8万円」という物件だった場合、手元に残る月々当たりの利益はいくらになるでしょうか? 答えは、「差額の2万円から、管理会社に支払う管理費や修繕積立金、固定資産税等を引いた金額」です。 

不動産投資をする際、「家賃とローン返済額の差額が利益になる」と考える人がいますが、これは間違いです。不動産投資にはさまざまな経費がかかりますから、その分も利益から差し引く必要があります。このような経費を当初から想定しておかないと、「思ったよりも利益が上がらなかった」ということになりかねません。 

さらに、不動産投資では数十年にわたる長期ローンを組むことも珍しくありません。その間に金利が上昇し、返済額がアップしたり、元金の返済が進まなくなったりする可能性もあるでしょう。このような、投資金額に関するリスクが経済的リスクです。

運用リスク

運用リスクとは、不動産という投資資産を運用する際に、起こり得るリスクです。このとき、最も起こる可能性が高いリスクが「空室」。

不動産投資では、物件を借りる人がいなければ一切利益を得ることができません。その間も、当然管理費やローンは払い続けなければいけませんから、空室期間が長くなればなるほど負担が増えていきます。 

入居者を早期に見つけるためには、多くの広告費がかかったり、家賃を下げたりしなければならない可能性もあるでしょう。そうなれば、さらにコストがかさみます。 

その他、「入居者はいるが家賃を滞納していて払ってくれない」「夜逃げされた」「周辺環境の変化によって平均賃料が下落した」「管理会社が倒産した」といった問題が起こることもあります。

物件リスク

不動産経営では、物件そのものに問題が起きる可能性も考えておかなければなりません。 

不動産投資において多くの方が心配するリスクに、「災害などに遭って物件自体がなくなったり、価値がゼロになったりしてしまう」というものがあります。これも、不動産投資のリスクのひとつです。 

このような重大なトラブルが起こらなかったとしても、物件は築年数を経るごとに老朽化します。内装設備のリフォームや入れ替えは不動産を保有しているオーナーが行うため、定期的に数十万円前後のリフォーム費用が必要になるでしょう。

さらに、マンションでは定期的に大規模修繕を行います。大規模修繕の際に修繕費が足りなければ追加で一時金を支払うことになりますし、適切な修繕が行われなければ、物件自体の価値が下落します。 

また、アパートを一棟購入して経営している場合は、このような修繕を自分自身で計画・実行する必要があります。そのための費用についても、あらかじめ自分で用意しなければいけません。

不動産投資の失敗例

続いて不動産投資のよくある失敗例と、その解決策を3つご紹介します。不動産投資を行うときは、失敗する可能性があるということを意識し、事前にできるだけ失敗リスクを低減させておきましょう。

ケース1 賃借人が決まらない

不動産を探すときに、空室リスクは常に考慮に入れておくべきものです。どんなに利回りが良い物件でも、借り手がいなければ利回りはゼロになってしまいます。

賃借人が決まらない原因は、主に次の3点です。 

  • 立地が悪い
  • 物件と家賃が見合っていない
  • 管理会社に集客力がない 

つまり、不動産投資をする物件を探す際に、「立地の魅力」と「同条件の物件の家賃相場」を十分調べた上で、「信頼できる管理会社」を見つけられれば、このような失敗を減らせるということです。 

なお、不動産の中には、「すでに賃借人がいる物件だから安心」「空室でも家賃を支払うサブリース制度だから安心」という物件もあります。しかし、賃借人がいても、1年後、3年後、5年後も住み続けるとは限りません。また、サブリース契約の賃料は、入居者がいなければどんどん下げられてしまいます。 

同様に、「近くに大学があるから」「大規模商業施設があって人気のエリアだから」といった要素にも注意が必要です。1つの条件に依存して入居者を探している場合、その大学や商業施設が撤退した際に、物件価値が大幅に下落したり、入居者がつかなくなったりする可能性が高いからです。 

「◯◯だから大丈夫」という言葉をうのみにせず、自分自身で物件の価値を見定め、長期的に借り手がつく物件なのか検討することが大切です。

ケース2 修繕費などがかさむ

ありがちなのが、「安く中古物件を購入したら、設備が老朽化していてリフォーム費用が高くついた」というケースです。 

賃貸物件では、室内の設備の不具合などは、オーナー負担で直すことになります。キッチンまわりやエアコン、トイレ、換気扇といった設備類の耐用年数は、物件の耐用年数よりもずっと短くなります。 

中古物件の場合はもちろん、新築物件を購入した場合も、ある程度年数が経過した後は、こうした設備の修繕費がかかるということを、あらかじめ織り込んで資金計画を立てておきましょう。

ケース3 ローンを返済できなくなる

不動産投資をする際にローンを組むときは、「たとえ空室になったとしても、返済できる金額かどうか」をしっかり考えましょう。空室が数カ月続いただけで返済ができなくなるようでは、安心して不動産投資を行うことはできません。 

ローンを組む際、銀行は年収と借入金の額のバランスを見て融資の審査を通すかどうかを検討します。しかし、「融資の審査が通った」=「問題なく返済できる借入額である」ということではありません。借入利息を高く設定することで、無理なく返済できる金額以上の額を銀行が貸し付ける場合があるからです。 

「空室ができると直ちに返済が滞ってしまう」というような不動産投資は、かなりハイリスクだといえるでしょう。自分自身の返済能力を見極めて借り入れを行わなければ、「資産を増やす目的で始めた不動産投資によって自己破産に追い込まれる」という可能性もあるのです。 

長期的に見て無理のない、余裕を持った返済計画を立てましょう。

アドバイス

不動産投資は、手法を間違えずに行えば、長期的に決まった利益を得ることができる上に、ローン返済後には物件という資産を得ることもできる魅力的な投資です。メリットを十分に生かすためにも、落とし穴にはまらないようにしてください。

不動産投資をこれから新たに始めようと考えている人は、次の5点を意識して投資を行いましょう。

1 物件選びを妥協しない

不動産投資における「不動産」とは、株式投資における「株式」と同じ投資商品です。しかも、株のように簡単に複数に投資をしたり、買い替えたりすることはできません。

たまたま目に付いた物件に決めるようなことはせず、自分自身で購入する物件の条件を決めた上で、妥協のない物件探しを行いましょう。

2 高利回りに飛び付かない

投資用不動産を取り扱っている不動産会社の中には、「物件利回り」を明記している会社も少なくありません。しかし、利回りだけを比較して投資用不動産を決めるのは非常に危険です。

繰り返し述べているように、利回りというのは、あくまでも「入居者がついた場合の利回り」で、入居者がいなければ意味のないものです。長期的に入居者が得られる物件なのかどうか、しっかり検討しましょう。

3 管理会社任せにしない

不動産投資は、「一度投資して終わり」というものではありません。返済は長く続きますし、その間には入居者がかわったり、設備のリフォームを行ったりする必要も出てきます。不動産を購入し、管理会社に任せておけば毎月お金が入ってくるという認識では、うまくいかない可能性が高いでしょう。 

不動産投資をするときは、「自分は不動産を保有して、経営を行っている」という意識を持って、自発的に物件に関わり、収支をチェックするようにしてください。 

例えば、保有不動産の周辺環境の変化や家賃の状況を継続的に調査すれば、常に的確な家賃設定ができるようになります。また、経費になるものを正しく申告すれば、それだけ節税することも可能です。金利状況によっては、ローンの借り換えがメリットになることもあるでしょう。 

得られる利益を最大化する努力を常に惜しまないことが、不動産投資の成功につながります。

4 自分で情報収集をする

投資用不動産を探す際、不動産会社や管理会社に質問したり、情報提供を依頼したりすることはとても大切です。しかし、不動産会社や管理会社からの情報だけに頼っては、自社にとって不都合なデータを秘匿される恐れもあるでしょう。これは、銀行のローンに関する情報も同様です。 

このような事態を防ぐためには、自分自身でインターネット等を使った情報収集をすることが重要です。加えて、不動産投資家が集まる場に顔を出して話を聞いたり、複数の不動産会社のセミナーに参加して幅広い意見を耳にしたりすることが役立ちます。

5 頼れるパートナーを見つける

投資用不動産を販売している不動産会社の中には、賃借人探しや物件の管理までを一括して行ってくれるところもあります。このような会社とは、物件購入後も長い付き合いを続けていくことになります。 

しかし、中には、物件購入後の対応が良くなかったり、十分なサポートが受けられなかったりする業者も存在しています。保有物件を良い状態に保ち、適切に入居者を募集できるかどうかは、付き合う業者によっても変わってきます。会社の対応やこれまでの歴史などを確認して、本当に信頼できるパートナーを探しましょう。

不動産投資は多額の費用を元手に行うものですから、安易に手を出して失敗すると、大きなダメージにつながりかねません。不動産会社や物件自体の価値、管理会社、投資金額などを十分に吟味し、リスクをできるだけ低減させることが大切です。

不動産投資のミドルリスク・ロングリターンのメリットを得るためにも、長期的に収益を上げられる不動産と、信頼できるパートナーを見つけましょう。

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