初心者に向いている資産運用の種類と知っておきたいリスク

老後資金の不足などが取りざたされる中で、資産運用に興味を持つ人も増えていることでしょう。しかし、資産運用にはリスクもありますから、初心者が安易に行うと、かえって資産を失うことになりかねません。

そこで、資産運用初心者の方に向けて、資産運用とは何かということから、資産運用のリスク、おすすめの資産運用方法まで、まとめてご紹介します。

そもそも、資産運用とは何でしょうか。実行に移す前に、まずは資産運用がどのようなものなのか、意味を理解しておきましょう。

資産運用は今ある資産を活用して増やす方法

資産運用とは、「今ある資産を運用して増やす」ことを目指して行うものです。 

つまり、「100万円を金庫に入れて大切にしまっておく」のは、資産運用ではありません。なぜなら、このとき資産は運用されておらず、100万円という金額が増えることはないからです。一方、「100万円で宝くじを買って一獲千金を狙う」のも、資産運用とはいい難いでしょう。これは、運用によって資産を増やそうとするのではなく、ギャンブルに近いものだからです。 

それでは、どのようなことが資産運用なのかというと、「国債を買って10年後に金利を含めた金額を受け取る」「株式を買い、配当金を得る」「株式を買い、値上がりしたタイミングで売却する」といったことなどが該当します。

資産運用と資産形成

資産運用とよく似た言葉に「資産形成」があります。老後資金の問題を論じる際には、資産形成という言葉が使われることもありますが、これらはそれぞれ異なる事柄を指す言葉です。 

資産形成というのは、「資産を形成する」と書くとおり、「これまではなかった資産をつくる」行為です。副業で収入を増やしたり、節約をしたりして資産を築く行為を資産形成と呼びます。一方の資産運用は、元手を増やす行為です。つまり、まずは資産形成を行い、その後、形成した資産を活用して増やすために資産運用を行う、ということです。 

ただし、資産運用と資産形成は、同時に行うことができます。ある程度のまとまった資産ができて資産運用を始めたとしても、引き続き資産形成をすれば、より運用の幅を広げ、資産の絶対量を増やすことができます。 

将来の不安を払拭し、まとまった資産を築くためには、資産形成の継続と適切な資産運用をすることが大切です。

預金も資産運用のひとつ

「資産運用」=「投資」と考えている人がいるとしたら、それは誤解といえるでしょう。資産運用とは、今ある資産を活用して増やすことですから、投資だけが資産運用の手段ではありません。例えば、利息を受け取ることのできる「預金」も資産運用方法の一種です。 

預金には預金保険制度があり、預金保険制度に加入している金融機関であれば、たとえ倒産したとしても原則1,000万円までは保護されるという、非常に手堅い運用商品です。その半面、預金の金利は非常に低く、ほとんど増加が見込めないというデメリットもあります。 

そのため、「資産の一部を預金しておくことで大幅に目減りするのを防ぐ」目的で利用するのであれば問題ありませんが、運用して資産を増やすという意味では、あまりメリットがありません。資産運用先のひとつとして預金を利用するのは悪いことではありませんが、資産の増加を目指すのなら、積極的な投資も併用する必要があるでしょう。 

一方、元本割れのリスクがある外貨預金については円預金よりも金利が高く、為替レートの変動によっては大きな利益を得ることも夢ではありません。このように、資産運用にはリスクがあるものほどリターンも大きいという法則があります。

資産運用のあるべきスタンス

資産運用はギャンブルではありませんから、短期間で億万長者を目指すようなものではありません。 

投資はリスクが大きいほどリターンも大きくなりますから、大きなリターンを狙う場合、それだけ大きなリスクを許容する必要があるということです。しかし、あまりに大きなリスクを負う投資は、資産運用というより、不確実でギャンブル性のある「投機」になってしまいます。 

資産運用は中長期的に資産を増加させることを目的としていますから、短期間で爆発的な利益を得ようとするものではないことを覚えておきましょう。

キャピタルゲインとインカムゲイン

資産運用で得られる利益には、「キャピタルゲイン」と「インカムゲイン」の2種類があります。投資をするときは、どちらを目指しているのかを意識しておきましょう。

・キャピタルゲイン

保有している資産の価値が上昇した後に売却することで得られる利益をキャピタルゲインといいます。例えば、株式を購入し、値上がりしてから売却して得る差益はキャピタルゲインに当たります。他に、キャピタルゲインを狙える資産運用方法には、金やプラチナなどへの投資が挙げられます。

・インカムゲイン

インカムゲインは、資産を保有していることによって得られる利益のことです。同じ株式投資でも、株式を保有していることで得られる株主優待や株主配当は、インカムゲインに当たります。インカムゲインには、他に不動産投資による賃料収入、債券を保有することによる金利収入などが挙げられます。

資産運用のリスク

資産運用にはさまざまな手法がありますが、一貫していえるのは、リターンが大きいほどリスクも大きくなるということです。資産の運用先を選ぶときは、どのような目的で資産運用をするのか、また、リスクをどの程度許容できるのかを合わせて考えることになるでしょう。 

例えば、「老後資金を長期的に形成したい、リスクは取りたくない」という場合は、預貯金や債券を中心に資産運用を行うのが適しています。一方、「教育資金として15年後までに資産をためたい」という場合は、学資保険やジュニアNISAを活用できます。

とはいえ、どのような商品も、全くリスクがないということはありません。資産運用をする上で直面する可能性があるリスクには、次のようなものがあります。

価格下落リスク

価格下落リスクは、保有している株式等の資産の価格が下落するリスクです。ただし、価格変動は下落すれば損失になりますが、上昇すれば利益になります。価格変動することが悪いと考えるのではなく、下落リスクを許容して上昇する可能性を取るのか、下落リスクを許容できないのかを考えることが大切です。

為替リスク

為替リスクは、外貨預金や外貨建ての保険を利用する際に関わってくるものです。また、為替ヘッジなしで外国株を買う際も、為替リスクが関係してきます。 

例えば、1ドル100円のときに、5万円分を外貨預金に預けたとしましょう(このとき手数料等は考慮しないものとする)。5万円は500ドルですから、500ドルの預金があることになります。その後、円高になって1ドルが80円になった場合、500ドルの価値は4万円しかなくなってしまいます。こうなると、多少金利が良かったとしても、損失が出てしまう可能性が高まります。これが為替リスクです。 

しかし、これも価格変動と同じように、必ず下がるわけではなく、上がることもあります。上記の場合で、円安が進んで1ドルが120円になれば、それだけで1万円の差益を得ることができます。

一般的に、為替リスクは利率が高い外貨商品ほど高くなるといわれています。ここでも、ハイリスク・ハイリターンになる可能性が高いということです。

信用リスク

国債や社債といった債券は、それぞれの債券を発行している団体の信用によって成り立っています。この信用が裏切られた場合、期待通りのリターンが得られない可能性があります。例えば、社債を保有している会社に大きな問題が起こった場合、当初の約束通りの利息が支払われなかったり、元本割れしたりする可能性があります。これを「デフォルト(債務不履行)」と呼びます。

インフレリスク

物価上昇によって、貨幣価値が下がってしまうリスクを指します。例えば、30年前と今では、貨幣価値は同じとはいえません。昔の100円と今の100円ではできることが違うように、今の資産も、将来的に同じだけの価値を保持できるとは限らないのです。これがインフレリスクです。 

保有資産を現金で持ち続けた場合や、低金利でも元本保証のある預金商品で運用を続けた場合、資産を減らすことなく長くキープできるでしょう。しかし、キープした資産は「同じ金額」であっても、「同じ価値」とは限らないのです。

金利上昇時に資金を活用できないリスク

当初から長く利率が固定されるタイプの債券や長期定期預金は、将来的に金利が下がっても当初の利率で運用を続けられるというメリットがあります。一方で、金利が上昇した場合も、低金利のまま運用しなければならないというデメリットもあります。

初心者におすすめの資産運用の種類

初心者が資産運用をする場合、少額で始めたほうが無難でしょう。資産を運用する方法はさまざまありますが、どんな方法にせよ、リスクがあるためです。また、少額でさまざまな商品にトライすることで、自分に合った運用方法を見つけたり、運用のノウハウを身に付けたりできるでしょう。

ここでは、少額から始められる資産運用の種類をご紹介します。

ミニ株

ミニ株とは、1株から株を購入できる取引方法です。通常、株を購入するときは、最低株式数が決まっていて、例えば、Aという企業の銘柄が「売買単位100」となっていれば、100株単位でしか購入できません。A銘柄の1株当たりの株価が5,000円であれば、5,000円×100株=50万円が最低の購入金額です。気軽に株に手を出そうと思っても、高く感じる人もいるでしょう。 

しかし、ミニ株の場合は1株から購入できるので、先ほどのA銘柄の例であれば5,000円×1株=5,000円でA銘柄の株を購入できることになります。初心者でも試しやすいといえるでしょう。 

ただし、ミニ株を取り扱う証券会社や銘柄は限られているので、すべての銘柄がミニ株で購入できるわけではありません。また、ミニ株は通常の株に比べて利益の額が低くなります。つまり、リスクが低い分、利益も少なくなるのです。ある程度運用に回せる資産が増えたら、通常の株の購入に挑戦してもいいでしょう。

ロボアドバイザー

ロボアドバイザーとは、ロボットが投資の専門家に代わってインターネット上で投資アドバイスや運用をしてくれるサービスです。専門家に依頼する投資信託よりも手数料が安く、100円から始められるものもあります。AIのプログラムで投資判断をしたり、全自動で資産を運用したりしてくれます。 

従来の投資信託は最低申込単位があり、ある程度の資金が必要で、初心者で気軽に始めたい人にとってはハードルが高いかもしれません。また、投資信託は専門家が運用を行い、運用によって得られた利益を還元してくれる仕組みですが、手数料をはじめとする諸々の費用もかかります。 

一方、ロボアドバイザーの場合、最初に年齢、資産状況、リスク許容度などを伝える必要がありますが、その後の運用は全自動です。資産の1%前後が信託報酬と別にサービス手数料としてかかりますが、投資信託よりも安い手数料になりますので、長期運用を考えるとコスト削減につながります。 

ロボアドバイザーの利回りは、4~15%ほどと幅があります。これは、リスク許容度に応じて変わってきますから、自分がどれだけのリスクを許容できるかを考えておく必要があります。もちろん、ロボアドバイザーを利用しても元本割れする可能性がありますので、よく検討してから始めましょう。

投信積立

投信積立とは積立型の投資信託で、月々100円という少額からスタートできるサービスもあります。毎月一定額の投資信託を購入しながら積み立てていきます。投信積立は、専門家に資産運用を委託するため、FXや株式投資のように資産を大幅に減らすリスクを軽減でき、毎月一定額を自動で購入するので、資産運用に関わる手間が省けるでしょう。 

投信積立では、運用先が分散投資を行うため、リスクの軽減につながります。さらに、決まった時期に決まった金額で購入する「ドルコスト平均法」で毎月金融商品を購入するため、購入単価を平準化でき、資産運用のリスクをより軽減できます。ただし、投信積立には手数料がかかり、元本保証されていないため、注意が必要です。 

また、投信積立の利回りは運用次第です。リスクをどれだけ取るかによりますし、手数料の他に利益に対して税金20.315%(所得税15.315%、住民税5%)が課されますから、手元に残る金額は思った以上に少ない場合があります。

不動産投資

不動産投資はその名のとおり、不動産を購入して行う投資方法です。不動産を購入して、売約した際に差益を得る場合と、購入した不動産を賃貸に出して賃料を得る場合があります。不動産価値が上昇しにくい経済状況では、売却益を期待するよりも、ローンを組んで投資用の不動産を購入し、賃貸で安定的に家賃収入を得る投資方法が利用されます。

不動産購入となると大きな元手が必要と考えられますが、計画的にローンを組むことで、資金が少なくても不動産投資を始めることが可能です。また、ローンを組むことで生命保険としての効果が得られたり、最終的には不動産という現物が残ったりというメリットがあります。 

不動産投資は、購入する不動産の種類で運用の方法も利回りも大きく変わります。また、空室や家賃滞納といったリスクがあることを考えておく必要があるでしょう。

資産運用に活用できる主な節税方法

資産運用を行って利益が出た場合、額に応じて課税されます。資産運用にかかる税金を節約する方法として、iDeCoやNISAといった制度があります。

iDeCo

iDeCoは、私的年金制度のひとつで、運用方法や掛け金を自分で決めることができます。任意の年金ですが、掛け金が全額所得控除されるため節税になり、資産運用として活用できます。

毎月最低5,000円からスタートでき、上限は職業などによって異なります。原則、途中解約はできないため、無理のない範囲で始めましょう。

NISA

NISAは、毎年一定金額の範囲内で購入した金融商品から得られる利益が非課税になる制度です。年間120万円の範囲内の購入であれば、NISA口座で購入した金融商品の利益に税金がかかりません。非課税期間は最長5年間です。 

通常、株式の売却益には、20.315%の税金がかかるため、100万円の売却益が出ても、20万3,150円を納税することになります。それがNISAでは最長5年間は非課税になり、売却益の100万円がそのまま手取りとなります。 

NISA口座は1人1口座までと開設が制限されています。また、NISAで取引した損益は、他の証券口座の売却益や配当金等と赤字と黒字を合算する「損益通算」ができません。通常の証券口座であれば、3年間は損失の繰り越しができますが、NISAではできないので注意しましょう。

ジュニアNISA

ジュニアNISAとは、未成年者(0~19歳)を対象とした少額投資非課税制度です。年間80万円分の非課税投資枠が設定されます。非課税期間は最長5年間です。ジュニアNISAを利用できるのは、原則、親などの親族です。 

ジュニアNISAを利用すれば、子どもや孫の代わりに資産を運用し、将来のために長期投資ができます。原則として子ども(口座開設者)が18歳(3月31日時点で18歳である年の前年12月31日)になるまでは払い出しができません。ジュニアNISAもNISAと同じく限度額まで非課税で運用できますが、災害などやむを得ないケースを除き、途中で払い出した場合は、非課税で受け取った過去の売買益に対しても課税されます。

つみたてNISA

つみたてNISAとは、少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度です。購入できる金額は年間40万円まで、非課税期間は最長20年、購入可能な商品は、長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託に限られています。

他のNISAでもいえることですが、定期預金と違って元本割れの可能性があることに注意しましょう。

初心者が資産運用で気を付けたいこと

最後に、初心者が資産運用をする上で、気を付けておくべきことを3つご紹介します。

短期的な利益を求めない

目先の利益にとらわれると、冷静な判断を失ったり、ハイリスクな投資に手を出したりする恐れが高くなります。資産運用は中長期的に行うものですから、一時的な値下がりを気にしすぎたり、成果が出ないからといってすぐに諦めたりするのはおすすめできません。

自分で情報収集する

人によって、それぞれ適した投資スタイルは異なります。自分で考え選択していくことで、より投資の理解を深めることができるでしょう。 

投資をするときは、人の言うことをうのみにするのではなく、自分自身で情報を収集し、自分の希望に合った資産運用のスタイルを模索するようにしてください。

1点集中せず、分散させる

投資は、いくつかの方法を平行して行うことで、リスクを軽減させることができます。預金、債券、投資信託、株式、不動産など、さまざまな投資商品の中から、異なるタイプを選んでバランス投資を行いましょう。

銀行や証券会社の言うとおりに投資を行っても、必ずもうかるとは限りません。反対に、銀行や証券会社の利益にはなっても、顧客の利益にはならないような商品をすすめられる可能性もあります。

そのようなことにならないように、自分自身で複数の専門家から話を聞いたり、情報収集をしたりして、偏りのない知識を身に付けましょう。まずはリスクの少ない少額の投資から始めて、資産運用とはどのようなものなのか体験してみることもおすすめです。

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